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韓国ドラマ『ザ・グローリー』日本のドラマとの差。いじめ問題は起こったら終了!(ネタバレなし)

韓国ドラマ『ザ・グローリー』

ネットフリックスの韓国ドラマ『ザ・グローリー』をパート2の結末まで全16話視聴。

壮絶ないじめを受けた女子高生・ドンウンが18年後にいじめっ子のヨンジンたちに復讐する話なのだが、本作にあるすごい怖いテーマに気づいた。

感想や日本のドラマとの差について語っていく。

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韓ドラ『ザ・グローリー』いじめ問題は基本的に取り返しがつかない

(ちょっとからかったり、ちょっと仲間外れにされるような誰もが経験するようなものはいじめから除外)

『ザ・グローリー』を見ていてヒシヒシと伝わってくるのは、主人公は自分の尊厳を取り戻すために復讐をしているのであって、いじめの問題を解決したいのではない!ということ。よく考えると怖い事実。

いじめの問題は発生したらもう遅い、基本的に解決が不可能だということ。

本人の努力や、いじめた人間の謝罪では基本解決しない。なぜなら心が壊されているからだ。

心の問題は体のように目には見えないが、回復しないダメージを負うことがある。事故で腕を失ってしまったらつなげることができない(すぐに処置しない限り)と同じだ。

一緒にすると色々誤解がありそうだが、いじめを受けた人は戦場でのPTSDや親の虐待によるトラウマと近しいダメージを負うことになる。

ドラマ『ザ・グローリー』から学べるのは、いじめは起こってしまったら取り返しがつかないので、絶対に起こしてはならないという倫理規範だ。

端的にいうと、「子供同士でいじめが起こっても人生長いしなんとかなる」というのは大人の都合の良い解釈でしかないと知り、そういう考えは捨てるべきだということ。

そんなシリアスなメッセージが浮かび上がってきた。

日本ドラマと韓ドラの差

K-POPなどの影響もあり、今や年配の方だけでなく若い世代にまで韓ドラが浸透している。イカゲームはNetflixの世界ランキングで1位を獲得するほどの人気を見せた。

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私は日本のドラマも韓ドラもそれなりに見ているが、脚本や演出は韓国ドラマのほうが平均的に高いと感じることが多い。ザ・グローリーもキム・ウンスクによる優れた脚本・ストーリーラインが見どころだった。

  • 日本の製作陣は海外で最新技術やノウハウを学ぶ機会が少ない
  • 日本はガラパゴス的な制作環境により分業化が進まず、細かい分野のプロがいない
  • 韓国は国がエンタメにしっかり投資し、若手の海外研修なども多い
  • 韓国の人は作品のクオリティに超辛口だから手が抜けない

などなど理由はたくさんある。

結論をいうと世界をマーケットとしている韓ドラと、国内だけに目を向けている日本の違いがある。

日本は人口が多いこともあり、日本だけでビジネスが成立する。海外受けを狙う必要はないという前提条件が、いつしかスポンサーがそれなりに設けられればいいと良くないカタチで固定化されてしまったのだろう。

あと個人的にかなり問題だと思うのが、日本のドラマには韓ドラ(ザ・グローリー)のように社会的・倫理的なテーマを上手に入れ込んだ作品が少ない。

社会問題を入れたら入れたで話が小難しくなるので、メインターゲットの中高年には受け入れられないというジレンマがあるのだろう。

結果、日本では表面上だけで泣かせてくる記号的な作品が量産されている

極論をいえば、海外に受け入れられなくても日本独自のすごいドラマや映画が作られればそれでいいと思う。しかし挑戦できる構造やクオリティを求める構造にはなっていないのだ。

斬新なドラマを求めている私にとっては切ない現実だ。