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映画エスターファーストキルの感想ネタバレ:父への欲望!エレクトラコンプレックス

映画エスターファーストキル

伝説のホラー:エスター(2009)の続編、映画エスターファーストキルを見てきました。

あらすじやネタバレありの正直な感想評価レビュー心理学のエレクトラコンプレックスの観点から本作を考察していきます。

エスターファーストキル:あらすじ

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映画「エスター」2009の前日譚。

2007年、エストニア精神疾患患者の療養施設。

年齢は31歳ながらホルモン分泌異常で見た目は子供のリーナは、施設で殺人を犯して逃げ出した。

そしてアメリカで4年前に行方不明になった少女・エスターになりすまそうと画策する。

4年ぶりにエスターと再会したオルブライト夫妻は喜ぶのだが…。

このオルブライト家を壮絶な悲劇が襲う!

映画エスターファーストキル:感想評価ネタバレ

第1作のクオリティには及ばないものの、前作の設定を逆手に取るようなストーリーがすごくよかったです。

リーナという少女がエスターになる物語なのですが、母親のトリシアはエスターが4年前に息子グンナー(エスターの兄)が妹のエスターを殺してしまったのを隠蔽した過去があります。

エスターが養子に来た先が狂った家族だったというアイデアが素晴らしい。前作とは違って殺人鬼と殺人鬼の対決の構図です。

イデアは良いのですが、細かい部分が結構ガバガバなのがエスターファーストキルの残念な点です。

エスターは頭脳が高い設定なのに結構わかりやすいミスをしたり、エスターに対抗する母トリシアや兄グンナーの行動も頭が良いとは言えず、全体的にマッチポンプ感(自作自演感)が強い。

ディティールのクオリティも高ければ、きっと本作も傑作になっていたことでしょう。

ちなみにエスターファーストキルはそこそこ成功しており、第3作の予定もあるようです。

第3作はエストニアの療養所のさらに昔、エスターの出生の秘密!が描かれるのではないでしょうか!

エスターファーストキル:トラウマの具現化の物語

今作、エスターファーストキルはトラウマが具現化した物語だと思いました。

母トリシアと兄グンナーにとって、4年前に本物のエスターを殺した過去はトラウマです。

そのトラウマがエスター再登場という形で現れます。エスターというトラウマがそのままエスターとして復活した感じですね。

トラウマの回帰をストレートに表現した優れたコンセプトだと思いました!

エレクトラコンプレックス:父親を取り合う母と娘

エスターファーストキルも前作エスターも、エスターという見かけは少女のモンスターが母親を殺して父親を奪おうと画策するエレクトラコンプレックスが根底にあると思いました。

(エレクトラコンプレックス:幼女が父親を独占するために母親に敵意を抱くもの。心理学者ユングの説)

つまり、父親を異性として好きになったというより、正確にいうと父親を父親として手に入れたいゆがんだ欲望があるのです。

そう考えると、本作でエスターがなぜオルブライト家から金品を奪って逃げずに父親を手に入れようとしたかも納得できるような気がします。

エスターが蛍光塗料を使って描いた父アレンの肖像画は、暗くすると涙が見えるというものでしたが、これは「アレンが妻トリシアに服従・束縛されて苦しんでいる。アレンは本当はトリシアから解放されて自由になりたいんだ!」というエスターの欲望の裏返しです。

本作エスターファーストキルについてのさらに詳しい考察やストーリーネタバレ結末解説については下記ページもご参照ください↓

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