
『Tシャツが乾くまで』7話考察まとめ(ネタバレ)
充とあずさの関係は、咲子との関係以上?
充とあずさが初めてコインランドリーであったのは2024年6月21日。
咲子と充が妊活をあきらめて一軒家を買ったのも、丁度2024年くらいなのかもしれません。
充は家を買ったことで、より咲子との幸せを感じて逃げたくなった…と語っています。それでも逃げなかったのは、あずさに話を聞いてもらえるようになったからでしょう。
そして充が今回失踪して戻って来れなかったのも、あずさがいなくて咲子と一緒にいるのが耐えられないから。咲子本人が理由ではないんです。あずさがいないことが理由なんです。
切ないというか、充と咲子の関係に手の施しようがあるのでしょうか。
咲子が感じるように、充にとってあずさは本当にどうでもいい人同士といえるのか?
どうでもいい人同士だったとしても、咲子が1番してあげたかった充を支えるという役割を、あずさが担ってしまった。
家族のような関係性という意味では、あずさ>咲子ともいえます。誰よりも家族を望んでいた咲子からしたらショックすぎる。子供もあきらめざるをえず、夫には他に家族のような関係の女性がいた。
あずさは、孤児院で育ったこともあって、誰かと家族のような関係になるのが得意なのかもしれません。それが充を救いましたが、結果、咲子の心をズタボロにもしています。
あずさが充にグイグイきた理由
あずさがコインランドリーで充にめちゃくちゃグイグイくる感じも変わってますよね。こういう人だと思えばそれで終わるのかもしれないですが、普通は、コインランドリーで女性が男性に話しかけることとかまずありません。洗濯物に下着とか入ってますから…。
やはり、あずさが施設育ちというのが関係しているのでしょう。あずさは職員を親代わりに話を聞いてもらいたかったが、たくさんの子供がいたので思うように聞いてもらえなかったと言っています。つまり、グイグイいかないと話を聞いてもらえない。そこからこのバグった距離感が身についたのかもしれません。
ちなみにあずさが充に提案した、他人なら打ち明けやすいというのは俗にストレンジャー・オン・ザ・トレイン現象と呼ばれています。旅先・列車などで出会った人には、もう二度と会うことがないから…と身の上話をしやすい現象。
でも、あずさは1年もの間(回数にして12回)充と会話を続けています。毎回、1時間くらいはあのテンションで話し続けてるってことになります。これ他人(ストレンジャー)ですか?
お互いに、他人と言い聞かせて心の拠り所にしていた感も否めません。
ちなみにストレンジャー・オン・ザ・トレイン(列車)は、充が小学生の頃に通ったマスターのところに列車の模型が置いてあった描写にも繋がりますね。
あずさの性格については、今回、予想以上にぐいぐい来ると面食らいました。でも考えてみると、樹生の回想のあずさも確かにグイグイくる感じでしたね。勝手に良妻賢母的な雰囲気の人なのかと思ってましたが、それもフィルターですね。
ちなみに充があずさと最初に会ったときに読んでいたのは伊坂幸太郎の「クジラアタマの王様」でしょうか。はっきりと見えません。
充の失踪癖の理由、感情の処理を親から学べなかった
充はあずさが夫や子供と離れたいと思っていると平然と口にしたのを聞いて、愛する人と離れたいと思ってもいいんだ…と初めて知ったようでした。
充は親に構われなかったので、きっと感情を発散する方法、感情の処理などを幼少期に学ぶことができなかったのでしょう。だから、見えないストレスがずっと溜まり続けて、失踪してしまう。
いわば、逃げる方法を知らないから逃げてしまう。そんなジレンマがあります。
充は幼少期に親とのコミュニケーションに問題があったため、自分の感情に名前をつけて名指しにすることができなかった。言葉にして発散することができなかった。
結果、しんどいが溜まり、子供でも自己完結できた失踪をすることになった。そして、大人になってもその失踪癖は消えなかった。
充は幸せという状態を知らないため、それを維持する方法も知らない。そのような内面の経緯があって、大きな不安を抱えることになったのでしょう。
喫茶ひこうきの名前の由来
喫茶店の名前=ひこうきは、これに乗ればいつでも逃げられる場所という願いをこめてつけられたのでしょう。
少しでも失踪癖を和らげるためのネーミングなのかもしれません。しかし、咲子が結構やってくる。充の心は休まらない。
2組の関係性の違い
充とあずさの関係は、不倫ではないけどお互いに身の上話やパートナーのことを何でも話し合える関係。
樹生と咲子の関係も、不倫ではないけど、パートナーの喪失を話し合える関係。
2組の関係性は似ている。似ているけど、咲子と樹生の関係のほうがより不倫には近いという皮肉があります。
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