TBS日曜劇場『御上先生』(みかみせんせい)を鑑賞(三上先生じゃないよ)。
社会システムを斬る鋭いヒューマンドラマで、それぞれの信念が深淵でぶつかり合う展開に痺れた。テーマ性も深く、考察要素もめちゃくちゃ多い。
全話のあらすじネタバレと考察すべき5つのポイント、細かい伏線をまとめました。
御上先生が隣徳に来た本当の理由、彼を見つめる幻影の正体は兄? 御上の協力者は槙野?一色先生?学校に送られてきた2つのFAX怪文書の意味を徹底解説!



『御上先生』相関図
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『御上先生』第1話あらすじネタバレ結末
ネタバレ1:御上先生が私立・隣徳学院へ赴任
令和6年の国家公務員総合職の一次試験で、受験者・真山弓弦(三流大学卒)が他の受験生(東大生)をナイフで殺害する事件が発生。
その事件の直後、文科省の官僚・御上孝(みかみ たかし/松坂桃李)は東大合格者県内トップの隣徳学院(りんとくがくいん)に赴任してくる。
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御上は3年2組の担任となったが、その代わり1、2年のときに担任だった是枝文香(これえだ ふみか/吉岡里帆)が副担任に降格される。そのため是枝や生徒たちは御上に不満を募らせた。
御上は生徒たちに、「君たちは成績優秀だあ真のエリートではなく、上級国民予備軍だ…」と言い放った。
ネタバレ2:不倫問題の背後にある本当の闇
報道部の神崎拓斗(かんざき たくと/奥平大兼)は、御上が文科省からの天下りを斡旋した犯罪者で、ほとぼりが冷めるまでこの学校に赴任させられたと校内新聞を出す。
御上はクラスの生徒たちの前で、天下りの責任を取らされたのは本当だが、自分は天下り斡旋なんかしてはいないと語る。
御上は「本当の闇が知りたければ放課後に教室に来い」と神崎に言う。神崎は教室にやってきた。
御上は、神崎が以前に暴いて校内新聞にした隣徳学院の教師同士の不倫問題で辞職させられた教師・冴島悠子(さえじまゆうこ/常盤貴子)が現在はコンビニでバイトしている…と写真を見せる。
そして、神崎が暴いた教師の不倫問題は、御上の天下り斡旋問題、そして国家公務員試験での殺人事件ともつながっている…と衝撃の事実を告げるのだった。
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第2話あらすじネタバレ
神崎は新聞で不倫を暴露した元教師・冴島(常盤貴子)のもとへ行き、なぜ女性である彼女だけが辞めさせられたのかの原因が古代理事長(北村一輝)ら学院側にあると考える。
御上は拘置所にいる公務員試験での殺人犯・真山弓弦(堀田真由)に会いに行く。彼女は辞職した冴島の娘だった。弓弦は「テロだった…」と語るが、具体的な犯行動機はまだわからない。
第2話の詳細はこちら↓

第3話あらすじネタバレ
殺人犯の真山弓弦(堀田真由)の回想:自作の爆弾を作って国家試験の会場に持ち込んだ。自爆テロを起こそうとしたが爆弾が起動せず、渋谷を刃物で殺害した。
御上(松坂桃李)は弓弦に、君が孤独だったことを知っている。しかし世の中は君の行動で何も変わらなかった…と告げる。
神崎は元教師の冴島から不倫や辞職について本当のことを聞き出そうとする。
冴島は不倫は夫の暴力が原因で、辞職も自ら選んだ。あなたが書いた記事は全部本当のことだと語った。
神崎は富永蒼(蒔田彩珠)と次元賢太(窪塚愛流)の家に行く。
次元の家には最新のPC設備があり、御上の兄・宏太(こうた/新原泰佑)が22年前、中学の頃に学校で声明文を発表して自死したことを突き止めていた。
神崎は御上に隣徳にきた理由は復讐か?と問いかけた。
隣徳に脅迫文がFAXで送られてくる。
第3話のストーリー詳細はコチラ↓

第4話あらすじネタバレ
槙野(岡田将生)は高見家と書かれた墓に手を合わせる。かつて槙野が見舞いに行った際、病室から飛び降りてしまった人物だった。
国家試験での殺人犯・真山弓弦(堀田真由)と元教師の冴島(常盤貴子)が親子だとわかり、冴島はコンビニを辞めて引っ越しを余儀なくされる。
神崎(奥平大兼)は自分が1年前に作った隣徳新聞に対しての責任と葛藤を感じていた。神崎は拘置所で真山弓弦に会おうとするが拒否され、ばったり冴島に出くわす。冴島は不倫問題について「真実なんかない」と言った。
神崎は次元から御上の兄・宏太(こうた)の自殺ついて、2ちゃんねるのスレッドを見せられて驚く。宏太は模擬国連で表彰されるレベルの天才だったようだ。
是枝(吉岡里帆)はFAX怪文書の内容を読み解き、ヤマトタケル=官僚で御上(松坂桃李)が何らか関係していると追及した。
隣徳祭(文化祭)で東雲が教科書検定の闇を暴露する展示をする。視察に来た文部科学副大臣のタキザワは展示を見て激怒した。
職員室にはまた怪文書FAXが届く。隣徳に裏口から入った人々を罰する内容だった。
同行していた槙野はのちに御上に電話でやりすぎだと伝える。御上は生徒に手を出したら許さないと言った。その会話の内容を塚田も聞いていた。
御上は家で自分の計画のボードを眺める。
第4話のストーリー詳細解説はコチラ↓

『御上先生』考察:バタフライエフェクトの関係
御上先生のテーマはバタフライエフェクト(ブラジルの蝶の羽ばたきがテキサスで竜巻を起こすカオス理論。全く関係ないと思っていた行動が実は大きな影響を与えているという意味)。
全ての事件が綺麗につながって行くと考えられる。飯田和孝さんがプロデューサーだし『アンチヒーロー』っぽい展開(すべての案件が繋がっていく)になるのだろう。
考察1:天下り斡旋問題
文科省から民間研究施設への天下りが発覚。御上は天下りの仲介をした疑惑で官僚仲間から密告され、それが原因で隣徳学院に赴任させられた格好だ。
つまり、天下り仲介の責任を不当になすりつけられた。
今のところ密告したのは同期の槙野恭介(まきの きょうすけ/岡田将生)だという匂わせがあるが、ミスリードっぽい。黒幕は塚田幸村(つかだ ゆきむら/及川光博)なのか?
ただ御上自身が天下り問題と試験での殺人事件、隣徳学院の不倫問題に関連があると知っているということは…御上は密告されたと見せかけて計画通りだった可能性が高そう。
御上は3話で何者かに電話で「例の件、明日に実行します」と言い、その翌日に隣徳に脅迫文のFAXが届いた。御上が敬語を使っていることから槙野ではなさそうだ。もしかして一色先生か?
3話のラストでは槙野が誰かの墓参りをしていた。御上の兄・宏太(こうた)の墓かもしれないと思ったが、4話で高見家の墓だと判明。槙野が見舞いに行く直前に飛び降り自殺をしてしまった人物のようだ。
4話では槙野が文化祭の教科書検定の展示の件で御上に怒りの電話を入れていた。塚田が横で聞いているので、塚田にふたりが協力関係にあることがバレないようにしつつ、永田町が官僚人事を握っている件を伝えたかったのかもしれない。
官僚人事の件は「御上が左遷させられる」という脅しに聞こえるが、実際は「天下り斡旋問題に永田町の政治家が絡んでいる」と巧妙に伝えていたのではないか。
隣徳への出向も含めて、御上と槙野が協力して計画していた(槙野が御上の出向を進言したのも塚田を騙すためのポーズ)。
もしくは御上と槙野が塚田潰しの件で利害が一致し、今後共闘する流れがありそうだ。
御上は大事な兄を失った。
槙野も高見という人物の死に葛藤を抱えている。高見も御上の兄と同じように正義感が強かったがゆえに文科省に潰されたのかもしれない。
御上たちは官僚の塚田や文科省の面子を潰して復讐と改革を成し遂げようとしているのではないだろうか。
考察2:教師の不倫問題と報道の正義
生徒の神崎が隣徳学院の教師同士の不倫を暴いて新聞にした事件。教師だった冴島悠子(常盤貴子)は自主退職に追い込まれて夫と離婚。コンビニでバイトをしている。
第2話で殺人犯の真山弓弦(堀田真由)は冴島の娘だと判明。不倫が暴かれた冴島元教師の娘・弓弦が公務員試験での殺人事件を起こしたとわかった。
神崎は自分の記事に正義を見出そうとしているが、御上に「報道を志すものの記事ではない」と論破された。
報道の正義については本作の脚本を担当した詩森ろばさんが『新聞記者』(2019/藤井道人監督)で描いたテーマと通底している。松坂桃李も『新聞記者』に出演している。

また、辞めさせられた冴島が女性教員で、男性教員は関連の予備校に異動になっていることから、男女格差という社会問題に繋がってくる。
色々な謎や問題提起が散りばめられてはいるが、本質的には御上が不正の問題に取り組む過程で、神崎のような勘違いした生徒を愛を持って変えていくヒューマンドラマだ。
考察3:国家公務員試験での殺人事件
試験会場で三流大卒の真山弓弦(まやまゆづる/堀田真由)が東大卒の受験者・渋谷(しぶたに)を後ろから刺して殺害。
真山の母・冴島元教師の不倫問題と関係しているのはもちろん、試験会場で反抗に及んだことに何らかの強いメッセージがあるのは確実だ。
殺人事件の真相は自作の爆弾を試験会場に持ち込んでテロを起こそうとした→不発だったため予定を変更して渋谷を刃物で刺した…というもの。
被害者・渋谷友介は会場でぶつかられたときに目についてターゲットにしたようだ。
今のところ真山弓弦は犯行動機について「革命…」としか言っておらず、具体的な理由は明かされていない。
弓弦がいじめで引きこもりだったことに加え、母・冴島悠子が不倫で辞職に追い込まれたことも無関係ではないだろう
この事件が調べられることによって、弓弦の母・冴島の不倫問題が虚偽だった、もしくはやむを得ない理由があった…と繋がる可能性もある。
考察4:御上の過去と闇・兄の悲劇
御上は中学時代に兄・御上宏太(こうた/演-新原泰佑)から教わったPersonal is Political(個人的なことは政治的なこと)という言葉を大切にしていた。
現在、教師となった御上を見つめる兄・宏太は幻影だ。宏太も当時は報道部に所属していたようで、神崎と重なる。正義を為そうとして「まずは壊さないと…」と暴走してしまったことが第2話の回想で判明している。
御上の兄・宏太は正義感が強かったが、それが仇になって死んでしまった。3話では、兄・宏太は中学のときに声明文を校内放送で発表して自殺したと判明。
御上が隣徳にきたのは兄も関係している。過去の事件が現在の事件につながってくるパターンがきた!
御上と兄は啓陵学園に通っていた。啓陵学園と隣徳学院に何か黒い繋がりがありそうだ。裏に同じような不正があるのだろう。
古代理事長がもともと啓陵学園に関わっていた。
あとはSNS上ではその少女が養護教諭の一色真由美(臼田あさ美)で、現在の御上の協力者という考察もあった。2人の関係性も気になるところだ。
考察5:FAXの怪文書の意味
隣徳はくにのまほろば
このくにに平川門より入りし者たち数多あり
お前の不正をわたしは観ている倭建命(やまとたけるのみこと)
第3話で送られてきた上記の内容のFAX文書。第4話では是枝がこれを解析する。
まほろば=素晴らしい場所。平川門=霞ヶ関の桜田門の反対にある門。正門ではなく裏門。
よって文章の意味は、隣徳学院に裏口から入ってきた者が多数いる…となる。
権力者の生徒の裏口入学を指している線が濃厚になった。
「まほろば」は漢字で書くと「真秀ろば」で、古代理事長の下の名前・真秀を指しているようでもある。
是枝はヤマトタケル=官僚の御上だと推察していた。
古事記によると倭建命(やまとたけるのみこと)は幼い頃に兄を殺している。よって倭建命=兄の死に責任を感じている御上自身だと考察する。FAXの怪文書は御上か槙野が送ったのではないか。
そして第4話では新たなFAXが↓↓
我は平川門より入る人々に
草那藝之太刀(くさなぎのたち)を振り下ろす者なり
お前の不正はまもなく白日のもとにさらされる倭建命(ヤマトタケル)
裏口入学した人々に制裁を加える…という意味だろう。
“お前”と単数形になっている。不正の黒幕=古代理事長の可能性が高い。
“不正”には中岡が塚田に“お願い”をしている「隣徳の件」も絡んでいるのだろう。
隣徳には政治家など有力者の子息が多いはず。
よって、
- 隣徳への裏口入学(成績の操作などで東大への推薦入試枠まで提供するなど)
- 古代理事長が隣徳の生徒を使って官僚と有力者の橋渡しをしている
この2パターンが考えられる。
隣徳学院が20年で東大進学率で県内トップの進学校に躍進したのも、裏で霞ヶ関(官僚や政治家)と強力な繋がりがあったからだろう。
その他の細かい伏線
1話の序盤で登場したハッカーみたいな人物は誰だろうか(PCモニターがたくさんある部屋にいた人物)。→第3話でこの人物は次元賢太(つぎもと けんた/窪塚愛流)だと判明した。
第2話では金髪の謎の青年(なにわ男子・高橋恭平)が登場。彼の正体はまだ不明だ。
女子生徒・千木明が保健室へ行く椎葉のことを見つめていたがどういう意味か?好意があるのかもしれない。
御上がアゲハ蝶を窓から逃がすときにかけた言葉、口パクは何だったのか?
細かい伏線がたくさんあるドラマだと思った。



『御上先生』キャスト
御上孝(みかみ たかし)|cast 松坂桃李
隣徳学院の教員↓
是枝文香(これえだ ふみか 国語教師)|cast 吉岡里帆
溝端完(みぞはた たもつ 学年主任)|cast 迫田孝也
一色真由美(いっしき まゆみ 養護教諭)|cast 臼田あさ美
文部科学省の官僚↓
槙野恭介(まきの きょうすけ/御上の同期)|cast 岡田将生
津吹隼人(つぶき はやと)|cast 櫻井海音
塚田幸村(つかだ ゆきむら)|cast 及川光博
隣徳学院 3年2組の生徒↓
神崎拓斗(かんざき たくと)|cast 奥平大兼
富永蒼(とみなが あおい)|cast 蒔田彩珠
次元賢太(つぎもと けんた)|cast 窪塚愛流
椎葉春乃(しいば はるの)|cast 吉柳咲良
宮澤涼(みやざわ りょう)|cast 豊田裕大
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