21歳の女性のたんたんとしながらも嘘と欲にまみれた私生活を描いた映画『ナミビアの砂漠』。登場人物の心情吐露をあえてしない作品だったが、逆に河合優実の演技に没頭して現実に戻るのに苦労するほどだった。
映画『ナミビアの砂漠』あらすじ
カナ(河合優実)は脱毛サロンでやる気なく働き、夢や目標もなく過ごしていた。高校の頃の友人・イチカ(新谷ゆづみ)に呼び出されて喫茶店へ行くカナ。イチカはこの前自殺した自分達の同級生の佐野が首を吊る前日に自分に電話をしてきたと話す。隣で男性客たちがノーパ○しゃぶしゃぶについて熱く語っていたので、カナはその話に集中できなかった。
カナとイチカはホストクラブで遊ぶ。カナは先に店を出てハヤシ(金子大地)と楽しく酒を飲み明かす。家に帰ったカナは同棲している彼氏・ホンダ(寛一郎)に優しく介抱された。
実はカナとハヤシとは浮気だった。カナは優しいけれど退屈なホンダに飽きてハヤシに乗り換えることにした。
カナはホンダが出張中に風○に行ったことに怒ったふりをして、ホンダがいない間に家を出て、ハヤシと一緒に新しいアパートへ引っ越す。最初はうまく行っていた。カナは鼻にピアスを開け、ハヤシはカナがデザインしたイルカを肩に刺青する。
しかし売れないクリエイターとしてずっと作品を作り続けるハヤシがかまってくれなくなり、つかみあいの大喧嘩をするようになる。
元カレのホンダは職場にやってきて泣き出した。
カナは精神を病みそうになり、人生について考え始める。隣に住む遠山ひかり(唐田えりか)に声をかけられて…。
ネタバレ感想:若い女の生態観察をライブ配信
カナは浮気相手のハヤシに会うためにホンダに平気でウソをつく。ホンダが職場近くにやってきたときも、「赤ちゃんを堕ろした」とウソをつく。青春モノというより怠惰な女子のプライベートを延々見せつけられた印象。
でもどこか等身大で、河合優実さんの演技も相まってずっと見ていられるからある意味でミラクル(『あんのこと』も凄まじかった)。
カナのようにちょっと自分勝手な女性や、世の中にはもっとひどい人間だっているだろう。そういう人物にも愛おしい面があると気づかせてくれるような作品だった。
カナはときどきナミビアの砂漠の動物のライブ配信を見ていた。この映画自体もカナという女性にスポットを当てたライブ配信、もしくは生体観察のような作品なのだろう。
次のページではタイトル『ナミビアの砂漠』の本当の意味や、部屋の配置が左右反転した理由について考察&解説していく↓↓