TBSの日曜劇場『御上先生』(みかみせんせい)第2話を鑑賞(三上先生ではありません)。
「第2話のあらすじネタバレ」と「殺人犯の正体からわかるメッセージと目的の徹底考察」「ハゲワシと少女について」「謎の青年の正体解説」をまとめました。
そしてついに堀田真由さんが驚きの配役で登場!
『御上先生』第2話あらすじネタバレ結末
ネタバレ1:教師同士の不倫問題
神崎拓斗(かんざき たくと/奥平大兼)は1年前に自分が書いた隣徳新聞のことを思い出していた。英語担当教師同士の冴島先生と筒井先生がでホテルに入っていった写真を載せた。
神崎は御上孝(みかみ たかし/松坂桃李)から冴島の現在を知らされたことで、彼女が働いているコンビニへ足を運ぶ。クラスメイトの次元賢太(窪塚愛流)が調査に協力すると言うが、神崎は断った。
神崎は冴島に話を聞かせてほしいと何日もコンビニに通うが、そのたびに何度も断られる。
ある雨の日、とうとう冴島が折れ「あなたが書いた新聞はあふれそうなコップの最後の1滴だった。辞職も離婚もあなたの責任じゃない」と言って傘を渡してきた。神崎はその場に立ち尽くす。
翌日、公務員総合職試験会場での殺人事件の犯人が隣徳学院を不倫で辞職した冴島の子供だという記事がネットメディアを賑わせた。学校に記者が押し寄せる。
神崎は「自分のせいで殺人事件が起こった…」と責任を感じた。御上が神崎の背中を押し、一緒に学校へ入る。
ネタバレ2:犯人の意外な正体
御上と是枝文香(これえだ ふみか/吉岡里帆)は3年2組の生徒たちに不倫問題と殺人事件の関連について説明する。クラスでマスコミにどう対処するかの話し合いになった。
神崎は「シャッターを切ったあの時(冴島がホテルに入るとき)、冴島先生を狙うハゲワシの存在を考えていなかった。ハゲワシを絶対に捕まえる」と言った。
みんなの言葉を聞いた御上は「いい意見交換だった」と言った。
富永蒼(蒔田彩珠)は東雲温(上坂樹里)にある相談を持ちかけられる。
官僚の槙野恭介(まきの きょうすけ/岡田将生)は料亭に呼ばれ、上司の塚田幸村(つかだ ゆきむら/及川光博)から中岡壮馬(林泰文)を紹介される。中岡は闇の仲人(やみのなこうど)と呼ばれている人物だ。
中岡は隣徳学院の件で各界から塚田さんにお願いが来ている…と言った。塚田は、槙野がいる前でその話をしないでほしいと返した。
御上は午前半休をとって東京拘置所へ。そこで冴島の娘・真山弓弦(まやまゆづる/堀田真由)と面会し、「なんで殺した?」と言った。弓弦は「テロだから、もしくは革命」と答えた。
『御上先生』第2話の考察:殺人犯のメッセージとは?
考察1:真山弓弦の殺しの目的はテロ?
殺人犯・真山弓弦に堀田真由さんがキャスティングされていたことに驚き!
堀田真由さんは同じく飯田和孝プロデューサーの日曜劇場「アンチヒーロー」でも重要な役柄を演じていた(その繋がりでのキャスティングだろう)。
そして殺人犯の真山弓弦が堀田真由さんが演じる女性だったことが視聴者への強烈なメッセージになっている。
視聴者の多くは「弓弦(ゆづる)?テロ犯?男っぽいな、息子だろう…」と決めつけていたのではないか(私も含めてだが)。
誰しもに何らかのバイアス・フィルターがかかっている。弓弦が娘だった展開には私たちの先入観や固定観念を突きつける意図があったと考えられる。
考え過ぎかと思うかもしれないが、犯人を無意識に「男」と考えてしまう思考回路は、辞職や降格させる教師を「女にしよ!」と無意識に決める思考回路と構造上は変わらない。
(目に見える差別というより無意識下の差別がテーマになっている)
そして本題の真山弓弦が殺人を犯した目的について。
彼女は「テロ・革命」としか言っていないので正確な理由は判明していない。殺した渋谷友介とは面識がないようで、試験会場で見た中でいけすかない奴だから殺したようだ。
おそらく根幹となる動機は、母・冴島悠子が女性だから辞職に追い込まれたことが許せなかったことなのだろう。現代社会が性差別にゆがんでいると考え犯行にいたったと考えられる(弓弦自身が社会から何らかの抑圧を受けていた可能性もある)。
弓弦は殺人事件によって、女性である自分が男性社会の中枢(エリートたちの国家試験)を破壊したというメッセージを送りたかったのではないだろうか。
非力な女性が意味もなく男性を殺す無差別テロを起こせた意図もそえて。
弓弦は御上が面会にきた際に「官僚だから会った」と言っていた。官僚を通じて自分の主張(社会が腐っていること)を世間に伝えたかったのだと思われる。
(弓弦と冴島の家族関係も元から壊れていたようで、その辺の理由もあるかもしれないが)
ちなみに御上がポストに投函していた封筒は、拘置所の真山弓弦宛だと考えられる。
考察2:不倫とジェンダー格差の問題
第2話までのストーリーでは男女の格差問題が中核をなしている(ルッキズムにも触れていたし、これから社会問題全般を扱うのだろうけど)。
教師の不倫問題で女性の冴島だけが辞職に追い込まれたこと。御上の赴任によって担任を外されたのがその学年で唯一の女性教員・是枝だったことなどが問われていた。
是枝自身が一色との会話で「殺人事件で自分に何の責任もないと思っていた。不倫問題の記事が出た際にも生徒のことしか考えていなかった」と認めていた。先程の真山弓弦は男性だと思い込まされた問題とあいまって、ジェンダーに関する巧妙な問いかけになっている。
単に女性の権利が侵害されているだけでなく、女性も男性優位の社会の一旦を担いでいるジレンマが表現されている。
女性も男性社会に組み込まれている。女性たちの何気ない行動も男性優位の基盤を支えている。そんな社会システムの根幹の問題にしっかり触れている点が素晴らしいと思った。
ちなみに冴島先生がもしかして不倫してないのでは?という意見がネット上で結構あるが、このドラマのリテラシー的に実際に不倫はしていたのは事実で、そのうえで彼女の家庭環境や男女で罪の差があるのか考えよう的な展開になりそう。
冴島先生は家庭の問題などで神経をすり減らしており、神崎に写真を取られているのもわかっていたのではないか(すべて壊してもいいと思っていた)。
考察3:謎の青年の正体
なにわ男子・高橋恭平さん演じる金髪の謎の青年が登場。
謎の青年は、殺人犯の真山弓弦の闇というタイトルの週刊誌を握りしめていた。
謎の青年の正体は弓弦の兄弟(冴島の息子)の可能性が高そうだ。
1話と2話でワンシーンずつ登場したハッカーみたいな人物も彼ではないか。
冴島の家庭がどんな問題を抱えていたのかが今後のキーポイントになるだろう。
考察4:ハゲワシと少女
第2話で登場したピュリツァー賞受賞の「ハゲワシと少女」の写真(飢え死にしそうな少女をハゲワシが狙う写真)。
御上と神崎は「写真を撮ったカメラマンのケビン・カーターがシャッターを押す前に少女を助けろとの批判にさらされて自殺した」という話をする。
神崎はケビン・カーターと自分を重ね、「シャッターを押すべきだった。俺は死なないけど…」と言う。
このとき御上は「自分を過信しない方がいい…」と言っていた。この言葉から御上の高校の頃の親友も報道で正義を為そうとして自分の力を過信し、罪の意識に耐えきれずに死を選んでしまった可能性が読み取れる。
神崎は冴島の不倫問題について、冴島が誰かの餌食になると考えていなかったことを反省し、冴島を陥れたハゲワシを見つけると宣言する。
御上の提案によるクラスの話し合いで神崎からこの言葉を引き出したことは、前半の金八先生ではない教師の理想像を作りあげたいという御上の目的が半ば達成されたことを意味する(シリアスな雰囲気だけど感動のシーン)。
生徒が自分で考えてこんなに重厚な答えを導き出した。これは御上先生が金八先生に変わる新たな教師の理想像である証明だろう。日本の教育を変えたいという製作陣の強い思いが伝わってくる。
ハゲワシは報道による二次被害や、情報の歪曲や統制をする存在のメタファーだろう。
今のところ神崎は古代理事長がハゲワシだと考えている。
しかし古代理事長は自信満々に取材してみては?と言った。隣徳ゼミナールへの異動を2人に打診したのは本当かもしれない。TVの答弁でのパーソナルイズポリティカルの発言や、溝端に「教育に必要なのは長期的な視点」と諭しているのを見ても、古代は教育者として今のところ至極真っ当である。
実際は、不倫した女性側は男性に比べて好奇の目にさらされやすいこともあって、冴島はやむを得ず辞職を選んだのではないか。そういった広い意味でのジェンダー格差が問われそうだ。
ちなみにメディアに試験会場殺人事件と隣徳の不倫記事に関連性があることをリークした人物がいたことになるが、犯人は溝端(迫田孝也)だと予想する。
『御上先生』キャスト
御上孝(みかみ たかし)|cast 松坂桃李
隣徳学院の教員↓
是枝文香(これえだ ふみか 国語教師)|cast 吉岡里帆
溝端完(みぞはた たもつ 学年主任)|cast 迫田孝也
一色真由美(いっしき まゆみ 養護教諭)|cast 臼田あさ美
文部科学省の官僚↓
槙野恭介(まきの きょうすけ/御上の同期)|cast 岡田将生
津吹隼人(つぶき はやと)|cast 櫻井海音
塚田幸村(つかだ ゆきむら)|cast 及川光博
隣徳学院 3年2組の生徒↓
神崎拓斗(かんざき たくと)|cast 奥平大兼
富永蒼(とみなが あおい)|cast 蒔田彩珠
次元賢太(つぎもと けんた)|cast 窪塚愛流
椎葉春乃(しいば はるの)|cast 吉柳咲良
宮澤涼(みやざわ りょう)|cast 豊田裕大
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