TBS日曜劇場『御上先生』(みかみせんせい)第1話を鑑賞。
社会システムを斬る鋭いヒューマンドラマで、それぞれの信念が深淵でぶつかり合う展開に痺れた。
テーマ性も深く、考察要素もめちゃくちゃ多い。第1話のネタバレと考察すべき4つのポイントをまとめました。
『御上先生』第1話あらすじネタバレ結末
ネタバレ1:御上先生が私立・隣徳学院へ赴任
令和6年の国家公務員総合職の一次試験で、受験者・真山弓弦(三流大学卒)が他の受験生(東大生)をナイフで殺害する事件が発生。
その事件の直後、文科省の官僚・御上孝(みかみ たかし/松坂桃李)は東大合格者県内トップの隣徳学院に赴任してくる。
(©︎TBS公式)
御上は3年2組の担任となったが、1、2年のときに担任だった是枝文香(これえだ ふみか/吉岡里帆)が副担任に降格される結果になった。そのため是枝や生徒たちは御上に不満を募らせる。
御上は生徒たちに、君たちは成績優秀だあ真のエリートではなく、上級国民予備軍だと言い放った。
ネタバレ2:不倫問題の背後にある本当の闇
報道部の神崎拓斗(かんざき たくと/奥平大兼)は、御上が文科省からの天下りを斡旋した犯罪者で、ほとぼりが冷めるまでこの学校に赴任させられたと校内新聞を出す。
御上はクラスの生徒たちの前で、天下りの責任を取らされたのは本当だが、自分は天下り斡旋なんかしてはいないと言う。
御上は本当の闇が知りたければ放課後に教室に来いと神崎に言う。神崎はやってきた。
御上は、神崎が以前に暴いたこの学校の教師同士の不倫問題で辞職させられた教師・冴島悠子(さえじまゆうこ/常盤貴子)が現在はコンビニでバイトしていると写真を見せる。
御上は、君が暴いた教師の不倫問題は、御上の天下り斡旋問題、そして国家公務員試験での殺人事件とも関わっている…と告げるのだった。
『御上先生』第1話の考察:バタフライエフェクトの関係
御上先生のテーマはバタフライエフェクト(ブラジルの蝶の羽ばたきがテキサスで竜巻を起こすカオス理論。全く関係ないと思っていた行動が実は大きな影響を与えているという意味)。
全ての事件が綺麗につながって行くと考えられる。飯田和孝さんがプロデューサーだし『アンチヒーロー』っぽい展開(すべての案件が繋がっていく)になるのだろう。
考察1:天下り斡旋問題
文科省から民間研究施設への天下りが発覚。御上は「天下りの仲介をしていた!」と官僚仲間から密告され、それが原因で隣徳学院に赴任させられた格好だ。
つまり天下り仲介の責任を不当に擦りつけられた。
今のところ密告したのは同期の槙野恭介(まきの きょうすけ/岡田将生)だという匂わせがあるが、ミスリードっぽい。黒幕は塚田幸村(つかだ ゆきむら/及川光博)なのか?
ただ御上自身が天下り問題と試験での殺人事件、隣徳学院の不倫問題に関連があると知っているということは…御上は密告されたと見せかけて自ら志願したか、もしくは事件を究明する意図がある人物によって派遣された可能性が高そうだ。案外、御上と塚田がグルで、槙野を陥れる展開がありそう。
御上がなぜ隣徳学院の地下のようなところで作業しているのかにも理由がありそう。
考察2:教師の不倫問題
生徒の神崎が隣徳学院の教師同士の不倫を暴いた事件。教師だった冴島悠子(常盤貴子)はやめさせられて夫と離婚。コンビニでバイトをしている。
公務員試験での殺人事件後に冴島がニュースを見て泣き崩れていたので、犯人の真山は彼女の身内なのだろう。
神崎は報道に正義を見出そうとしているが、御上に「報道を志すものの記事ではない」と論破された。報道の正義については本作の脚本を担当した詩森ろばさんが『新聞記者』(2019/藤井道人監督)で描いたテーマと通底している。松坂桃李も『新聞記者』に出演している。
また、辞めさせられた冴島が女性教員で、男性教員は関連の予備校に異動になっていることから、男女格差を伝える意図もチラリと見えた。
考察3:国家公務員試験での殺人事件
試験会場で三流大卒の真山弓弦(まやまゆづる)が東大卒の受験者・渋谷(しぶたに)を後ろから刺して殺害。
不倫問題と関係しているのはもちろん、試験会場で反抗に及んだことに何らかのメッセージがあるのは確実だ。ナイフまで持ち込んでいたので計画的な犯行だったのだろう。
被害者・渋谷が誰なのかも今後明らかになっていくと思われる。
またこの事件が調べられることによって、教師の不倫問題が虚偽だったというふうに繋がるのかもしれない。
考察4:御上の過去
御上は高校時代に先輩(もしくは同級生)から教わったPersonal is Political(個人的なことは政治的なこと)という言葉を大切にしていた。
教師となった御上を時折見つめるこの先輩。正義感が強かったがそれが仇になって死んでしまったと思われる。教育を改革する目標はこの人物との関係がもとになっていそうだ。
御上の過去の事件が現在の事件につながってくるパターンも十分ありうる。
御上は神崎にこの先輩を重ねている。教師が生徒を導く本質的なヒューマンドラマが進行する中で社会の闇が暴かれていくのだろう。
『御上先生』キャスト
御上孝(みかみ たかし)|cast 松坂桃李
隣徳学院の教員↓
是枝文香(これえだ ふみか 国語教師)|cast 吉岡里帆
溝端完(みぞはた たもつ 学年主任)|cast 迫田孝也
一色真由美(いっしき まゆみ 養護教諭)|cast 臼田あさ美
文部科学省の官僚↓
槙野恭介(まきの きょうすけ/御上の同期)|cast 岡田将生
津吹隼人(つぶき はやと)|cast 櫻井海音
塚田幸村(つかだ ゆきむら)|cast 及川光博
隣徳学院 3年2組の生徒↓
神崎拓斗(かんざき たくと)|cast 奥平大兼
富永蒼(とみなが あおい)|cast 蒔田彩珠
次元賢太(つぎもと けんた)|cast 窪塚愛流
椎葉春乃(しいば はるの)|cast 吉柳咲良
宮澤涼(みやざわ りょう)|cast 豊田裕大
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