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ネタバレ考察『ラストマイル』ロッカー2.7m/s→0 70kgは暗号?最後のシーンの意味と感想解説

映画ラストマイル

映画ラストマイル

映画『ラストマイル』は物流センターを舞台にした爆弾テロサスペンス!かと思わせて、Amazonのような巨大企業と日本社会の関係を問いかけた社会派だった。

ネタバレ少なめの感想

 

 

ネタバレ考察1:ロッカーの文字2.7m/s→0 70kgの意味

↓映画『ラストマイル』ストーリーあらすじネタバレ・ラスト結末・犯人の解説はコチラの記事へ↓

『ラストマイル』ネタバレ考察・ロッカーの文字と最後の表情,山﨑の暗号,爆弾を仕掛けた方法と犯行動機

 

5年前に飛び降りた山﨑(中村倫也)がロッカーに残した2.7m/s→0 70kgは何かの暗号だろうか。

エレナ(満島ひかり)と孔(岡田将生)の会話から、2.7m/sがベルトコンベアの時速で、70kgがベルトコンベアの耐荷重であるとわかる。

いろいろな解釈ができるが、結論からいうと山﨑の「俺1人でもデイリーファーストのような超巨大企業に一矢報いることができる」という決意だと考える。

成人男性の平均体重が70kg前後、山﨑もそれくらいの体重だと仮定すると、俺1人でもどうにかベルトコンベアを止めることはできる。ベルトコンベアが止まれば、センターの物流が止まる…と盲目的に考えたのかもしれない。

序盤では物流センターに何百人もの派遣社員が出勤して機械的な作業を繰り返す様子が映された。山﨑は、自分たち人間がまるでベルトコンベアを動かすためのパーツにすぎないと気づいて精神を病んでいったようにも思える。

人間が物流を利用するのではなく、物流に支配されている逆転現象が起こっているのだ。それだけでなく、羊急便の下請けの佐野親子や、過労死したやっちゃんのように、頑張っても賃金安くて報われない労働環境がデイリーファーストを中心にどんどん広がっていく。山﨑はそれを止めたかったのだと思う。

何かの暗号!というわけではなく、「俺1人でもこの歯車を止められるかもしれない→2.7m/s→0 70kg!」という、追い詰められた末にすがりついた彼なりの希望だったのではないだろうか。

 

ネタバレ考察2:タイトル「ラストマイル」の意味

タイトルのラストマイルは物流業界のラストワンマイルからきており、顧客へ商品を届ける最後の区間を指している。佐野親子のような下請けドライバーがこのラストマイルを担当する。
これを映画のタイトルにしたのはなぜか?

大企業・DAILY FAST側のセンター長のエレナが、ラストマイル側(ドライバー側)の立場から考えられるようになった点を伝えたくてタイトルにしたのだと感じた。途中までは物流を止めない奮闘をしていた彼女が、最後にはベルトコンベアを止めたのだ。
企業内部の人間が経営側を見るのではなく、下請けの労働力に目を向けることで業界全体の改善につながる。タイトルまで秀逸。

エレナのような人材がもっと早く登場すれば、ドライバー父・佐野昭(火野正平)が尊敬していた伝説の配達員・やっちゃんが過労死することもなかったかもしれない。
エレナからバトンを渡された孔(岡田将生)は末端の労働力に目を向けてサポートすることができるだろうか。ラストの孔のうなだれた表情からその難しさが伝わってくる。

ネタバレ解説:犯人はどうやって爆弾を紛れ込ませた?

まず、5年前に飛び降りた山﨑の婚約者・筧まりか(仁村紗和)がどうやって爆弾を紛れ込ませたのか?

彼女は配送代行のシステム(自分が持っている商品をDAILY FASTに代わりに配送させる)を利用した。

  1. ブラックフライデー前にセールになる商品をチェックして購入(セール品は絶対売れるから)
  2. そして自分で購入した12個の商品に爆弾を仕掛ける
  3. 配送代行システムにその商品の配送を依頼し、センター内に持ち込ませる
  4. 物流スタッフとして配送代行のラベルを剥がして、DAILY FASTのサイトで購入された同一商品とすり替える
  5. 爆弾が入った商品が配送される

という流れ。

一旦商品を買って爆弾を仕掛け、配送代行システムでDAILY FASTにまぎれこませて、通常受注分とすり替えた。

DAILY FASTのサイトで購入されたが、どこで爆弾を仕掛けたのかわからないように見せかけたというわけ。

 

筧まりかの動機についてはこちらの記事へ

ロッカーの文字に対するエレナの最終回答

エレナはロッカーの文字を見て山﨑の真意を読み取った。そして山﨑の婚約者だった筧まりかも、山﨑の意思を継いだからこそ爆弾テロという最悪の方法でどうにかデイリーファーストの負の連鎖を止めようとしたと理解した。

山﨑と筧まりかのやり方に対して、エレナは羊急便や下請けのドライバーたちをストライキさせて単価20円の賃上げアップに成功する。

山﨑と筧まりかは1人で戦った。エレナはみんなで団結した。

そしてエレナは、デイリーファーストという非人間的なシステムに立ち向かうのではなく、その末端のラストマイルで働いている人間たちに注目した。

この違いが山﨑とエレナの明暗をわけたように思える。

次のページでは五十嵐や孔の最後の表情の意味について解説していく↓↓

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