映画『ライオン・キング:ムファサ』(Mufasa: The Lion King)を鑑賞。
ムファサとスカーの過去に胸が熱くなった。ストーリーは複雑ではないけど、自分がライオンになった気持ちで楽しめる超絶エンターテイメント!
『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスが監督とディズニーがタッグを組んだこともあってかライオンキングの世界にまでポリコレが持ち込まれていることなども考察していく。
血統を否定したはぐれ者たちの視点、ヴィランがホワイトライオンの意味も解説!
良い点と残念な点の忖度なしの感想レビューも!
映画『ライオン・キング:ムファサ』あらすじ
シンバとナラの間に2人目の子どもが生まれようとしていた。
マンドリルのラフィキは、シンバの長女・キアラにムファサとスカーの壮大な物語を話す。プンバァとティモンも聞いていた。
幼いムファサは、母と父と一緒に理想の王国ミレーレを目指していた。しかし洪水に襲われ、ムファサは両親と離れ離れになってしまう。
川に流されて遠くまでやってきたムファサを助けてくれたのは、ある王国の王・オバシの息子・タカ(のちのスカー)だった。
ムファサとタカは兄弟のように仲良く暮らす。しかしオバシは“野良”だと言ってムファサを受け入れなかった。タカの母・エシェはムファサに優しかった。エシェはムファサに狩りを教えてくれた。
しかしオバシとエシェの群れは、体が大きく白いライオン“はぐれ者(アウトサイダー)”たちの群れに襲われることになり…。
ちょこっと感想
近年のディズニー作品ではNo.1だと感じた。
2019年の前作の映像も綺麗だったけど、今作はさらにバージョンアップ!
特に、水や氷の表現がため息がもれるほど美しくて泣いた。
アップのシーンもたくさんあってムファサとタカに感情移入しまくり!子供が見ても絶対に面白いと思う。
ストーリーとしてはムファサとタカの葛藤、そしてはぐれ者と戦うわりとわりとシンプルなものだが、ライオンになった気持ちで楽しめる超実写!超絶エンターテインメントだった。
映画『ライオン・キング:ムファサ』ネタバレ・ラスト結末
体が大きくなってきた青年・ムファサはエシェと狩りに出かけていたが、そこではぐれ者の白ライオンたちに襲われる。ムファサはエシェを守り、1匹を殺した。タカはその様子を眺めていたが、恐ろしくて助けに行くことができなかった。
はぐれ者(アウトサイダー)のリーダー・キロスは、ムファサに息子を殺されたことで怒り狂っていた。
キロスたちが近づいてくることを知ったオバシとエシェは、ムファサとタカに遠くに逃げるように言った。
キロスはオバシの群れにやってくる(皆殺しにされた)。
ムファサとタカははぐれ者たちから逃げ、理想の楽園ミレーレを目指して旅を続ける。
2匹はサラビというメスライオンに出会った。サラビの一族もはぐれ者たちに滅ぼされてしまったという。サラビの護衛として鳥のサズーもいた。
ムファサたちは群れから追い出されたマンドリルのラフィキに出会う。ラフィキは夢でミレーレを見た!と言って3匹を案内する。
タカはサラビを好きになった。
ムファサたちははぐれ者のキロスたちに追いつかれる。サラビが蜂の巣で象の群れを混乱させてキロスと仲間の通り道を破壊した。
ムファサは象に体当たりされて気を失っていたサラビを助ける。
ムファサはタカを気遣い、彼がサラビを助けたことにした。
その後、ムファサたちは雪山を登った。ザズーがムファサたちの足跡を消していく。
サラビは助けてくれたのはムファサだと気づく。2人は恋に落ちた。それを見ていたタカはムファサを憎む。
タカは追ってきていたキロスにムファサを殺してくれと頼む。そしてキロスに忠誠を誓った。
ムファサたちはついに豊かな土地・ミレーレにやってくる。しかし、タカの目印を追ったはぐれ者のキロスたちも追いついてきた。
ムファサは、ミレーレの動物たちにみんなではぐれ者たちと戦おう!と呼びかけた。草食動物たちがはぐれ者たちを跳ね飛ばす。
ムファサはキロスに洞窟に落とされた。キロスに顔を引き裂かれそうになったところでタカが庇ってくれた。タカの目のところに大きな傷がつく。
ムファサはキロスと戦い、洞窟の地下水に落ちる。昔洪水に流されたことで水が苦手だったムファサだが、心を落ち着けて振動を感じ、大きな岩が水に落ちてくるのを察する。そしてキロスを岩に当てて沈めた。
その後、ミレーレの動物たちはムファサを王だと崇めた。ムファサは母と感動の再会を果たす。父は洪水で死んだという。
タカはムファサに許しをこう。ムファサはこの土地にいていいが、俺は一生お前の名を呼ばないと言った。タカは「これからはスカー(傷の意味)と呼べ」と返す。
ラフィキがキアラに話を終える。シンバが出産を終えたナラを連れてくる。キアラは生まれたばかりの弟に会った。
映画『ライオン・キング:ムファサ』感想
良かった点
ムファサとサラビが雪山で透明な氷を挟んで美しいハーモニーを奏でているシーンでは自然と涙が出た。人間って本当に美しいものを見たときに無条件で感動するんだね。
超実写化については前作ではライオンの表情がわかりにくいとか色々言われていたけど本作では改善されているし、3DCGレベルがリアルに迫っていると感じた。
ムファサとスカーの前日譚はオリジナルストーリーだが、1994年のアニメ版や2019年の前作のストーリーとの繋がりもスムーズだったと思う。
ラフィキがシンバを掲げたあの台座は、ムファサとキロスの戦いで作られたんだ…。そう考えると胸熱だった。
海外の大手レビューサイト・ロッテントマトズでは本作の批評家の支持率は56%と低いが、頭でっかちに批判をするのではなく、ライオンになった気で楽しむ映画だと思った。そういう意味では傑作だったと思う。
ちなみに英語版(オリジナル)でムファサの声を演じたアーロン・ピエールは『レベル・リッジ』などが評価されている次世代のスター候補。
残念な点:ライオンにまでポリコレのメスを入れた
細かいところだけど、ミレーレの動物たちがはぐれ者たちを集団でボコボコにしている描写はちょっとどうかと思った。集団リンチじゃん…。
はぐれ者たちも、もともと群れから追い出された可哀想な奴らなのに。
あとは、黒人やマイノリティ問題を徹底的に描いた『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督×ディズニーということもあって、本作もかなりポリコレしていると思った。
オスライオン・オバシは怠け者のように描かれ、主人公のムファサは母親がわりのエシェと一緒に狩りをする。
男(雄)をダメダメな感じに描き、メスと一緒に暮らした多様性がムファサの能力の高さと器の大きさを作り上げたような演出。
実際に自然界でもオスライオンが狩りをしないのは事実だが、穿った見方をすればライオンの世界にも人間のポリコレを持ち込んでいるように見えなくもない。これが世界のポリコレ最新事情(笑)。
人間の世界ではポリコレも大事かもしれないが、自然界にまで押し付けるべきではないのでは?
加えて前作同様、英語版の声優はほとんどがアフリカ系アメリカ人なのに対し、白き王・キロスだけ白人のマッツ・ミケルセンがキャスティングされている。
ヴィランだけ白人キャスト…。果たして偶然なのか。
あとはプンバァとティモンの熱唱を聴きたかったな。歌わせてあげてよ(笑)。
映画『ライオン・キング:ムファサ』考察
“弟”との絆を取り戻す物語
ムファサはスカー(タカ)との兄弟の絆を取り戻すことができなかった。
しかし、孫のキアラは新たに生まれた弟との絆を育んでいけそうなラストだった。
ムファサとタカの物語をラフィキがキアラに語るメタ構造(劇中劇)にしたのは、弟との絆が救いようのないものばかりでないと希望を示すためなのだろう。コンセプトがうますぎる。
血統を否定したはぐれ者たちの物語
今作ではムファサが別に王の血統・血筋ではなかったことが発覚。
逆に王の血統はタカだったことが判明。ムファサが王の器であり、タカがビビりで卑怯な者だという血統を否定した物語になっている。
そして本作は、ヒーローもヴィランも全員がはぐれ者で構成された物語だ。
ヴィランのはぐれ者(アウトサイダー)も、体が白いからそれぞれの群れから追放されたホワイトライオンの集まりだ。
- ムファサも両親から離れて“野良”と言われた迷子のはぐれ者
- タカは一族を殺されたはぐれ者
- サラビも一族を殺されたはぐれ者
- ラフィキもマンドリルなのにテングザルの群れで暮らしていて追い出されたはぐれ者。
差別を受けた者同士がどう手を取り合って、またはどう対立していくかを描いた点が興味深い。
ヴィランがホワイトライオンの意味!トラウマ克服の物語の視点からの考察は次のページへ↓↓
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