映画『告白 コンフェッション』。『賭博黙示録カイジ』の福本伸行原案×かわぐちかいじ作画の原作漫画を生田斗真×ヤン・イクチュンで実写化。
シンプルなワンシチュエーションサスペンスかと思いきや後半のサイコホラーな展開に夢中になれた。あらすじ解説と感想、ラストの考察、原作漫画との決定的な違いについて語っていく。
『告白 コンフェッション』あらすじ解説
浅井啓介(生田斗真)とリュウ・ジヨン(ヤン・イクチュン)は雪山で遭難しかけている。16年前にこの山で遭難して死体も見つからなかった西田さゆり(奈緒)の慰霊登山をしていたところだった。
(浅井、ジヨン、さゆりは大学の登山部の仲間だった。ジヨンは当時、韓国から日本に留学していた)。
猛吹雪になりジヨンが足を怪我して動けなくなってしまう。ジヨンはもう助からないと考え、「16年前、俺がさゆりを殺した」と告白する。
もうダメかと思われた矢先、浅井は吹雪の向こう側に山小屋があるのを発見。ジヨンを担いでそこに連れていく。助かった…。
山小屋に入ったジヨンは浅井がいないところで救助隊に電話し「1人です…」と言っていた。
浅井は、山小屋のキッチンに包丁がないことに気づく。ジヨンが取ったのか?ジヨンの目つきが怖い。韓国語でブツブツ何か言っていて様子が明らかにおかしい。
浅井は確信する。ジヨンは殺人を告白したことを後悔しているのだと。そして、殺人の真相を知った俺を殺そうとしているのだと…。
浅井は足を大怪我しているジヨンに負けるはずはなかった。しかし高山病で視界がぼやけはじめる。そしてとうとうジヨンが襲いかかってきた…。果たして16年前のさゆり行方不明事件の真相は?
ネタバレ感想:告白を後悔した男たちの狂気と夢オチ
ジヨンが殺人の告白を後悔して真相を知った浅井を殺そうとしているだけのサスペンスではなかった。1時間14分と短いがサイコサスペンスの醍醐味がしっかり凝縮されていて面白かった。
欲をいえば序盤の山小屋に入ってからのシーンが若干間延びしていた気もする。原作漫画だとここで浅井の独白がたっぷり入り、相手が自分を殺そうとしている…と疑心暗鬼になって狂気にさいなまれていく描写が生々しかった。しかし映画では生田斗真さん演じる浅井の独白がないため、あっさりしすぎていた印象だ。
後半では浅井が高山病で頭がおかしくなっている設定がボディブローのようにジワジワ効いてくる。救助隊が助けに来た幻想のシーンでは浅井の目が真っ白に濁っていた場面が狂気的で素晴らしかった。
高山病での幻覚の設定により、浅井の脳内でジヨンとの争いと事件の真相が幾重にもループしているように感じられて興味深い。夢オチといえばそうだが、夢オチ以上の歯応えがある。
後半では、なぜ浅井が序盤でジヨンの「俺が殺した」という告白を聞いてもそこまで動揺せず怒らなかったかの理由が判明する。浅井は“それ”を知っていたのだ。
次のページでは、映画ラストシーンの本当の意味を考察、ジヨンや浅井の動機や殺した理由、夢オチとループ構造、原作漫画との結末の大きな違いについて徹底解説!していく↓↓