アニメ映画『プレデター:最凶頂上決戦』(Predator: Killer of Killers)をディズニープラスで鑑賞。
『プレデター』シリーズで初のアニメーション映画。
3つの国と時代、3人の主人公たちが存在意義をかけるようにプレデターと戦うセリフ少なめの決闘映画!
- あらすじ・ネタバレなしの感想
- ネタバレ・ラスト結末の解説
- 忖度なしの感想と評価
これらの情報をまとめました。
『プレデター:最凶頂上決戦』あらすじ
©︎hulu、Disney+
ダン・トラクテンバーグ監督は『プレデター』シリーズ前作『プレデター:ザ・プレイ』で高い評価を得た人物で、2025年11月7日に日米同時公開される『プレデター:バッドランド』(Predator: Badlands)の監督も務めている。

『プレデター:最凶頂上決戦』あらすじ:3人の主人公が独立したストーリーでプレデターと戦うオムニバス映画。
プレデターたちの聖典「ヤウージャの書」にこう書かれていた。「星々を巡り最強の獲物を探し求めよ」。
①「SHILD(盾)」西暦841年・北欧:ヴァイキングの族長・ウルサは父を殺された復讐のために敵対部族と戦う。その後、仲間を殺されたウルサは巨躯のプレデターと決闘を繰り広げることに。
②「SWORD(剣)」西暦1609年・日本:戦国武将の息子として生まれた兄・ケンジと弟・キヨシは、跡継ぎを決めるために兄弟で戦わされる。戦いを放棄したケンジはキヨシに頬を斬られて勘当される。20年後、ケンジはキヨシの転覆を狙って城へ攻め込むが、そこでプレデターに遭遇する。
③「Bullet(弾)」1941年・アメリカフロリダ州:青年ジョン・トーレスは戦争に招集された。パイロットになることは許されず、整備の仕事ばかりさせられていた。ある日、海域に巨大な戦闘機が現れる。トーレスはそれが未知の敵であると知り、仲間への忠告のために修理したばかりのオンボロ飛行機で飛び立った。
そして最後にプレデターたちの目的が明かされる。。。
ネタバレなし感想
「狩りとは決闘であり、命懸けで行われる崇高なもの」そんなコンセプトが光った佳作だった。
3人の登場人物にもプレデターにも命をかける理由があり、戦闘シーンから垣間見える誇り高さからも命より大事なものは何か?という問いがヒシヒシと伝わってきた。
怯えながらプレデターと戦う映画ではなく、恐怖を超えて戦士としてプレデターと対峙する物語。そしてプレデターもまた獰猛な捕食者ではなく、誇り高き戦士である。
同じくダン・トラクテンバーグ監督で2025年11月公開の『プレデター:バッドランド』も期待できそう。
アクションシーンも見応えあったけど、『アーケイン』とか超一流と比べると若干劣るかなと感じた。プロットも良かったしどうせなら実写で見たかった気もする。
プレデターたちが使うガジェットも良かった。空気を強力に振動させて相手を殴ったり吹き飛ばしたりする武器。相手を突き刺したら横からも刃が出る武器。飛行機にアンカーをぶっ刺してコントロールを失わせる武器etc。
『プレデター:最凶頂上決戦』ネタバレ・ラスト結末
SHILD(盾)
ウルサは幼少期にクリヴィチ族のゾランという男に父を殺された。
西暦841年・北欧。
成長したウルサは武器であるギザギザの刃がついた盾を持ち、息子・アンダースと仲間たちを連れてクリヴィチ族へ攻め込む。アンダースがついにゾランを討ち取った。
しかしそこへ巨大なプレデターが現れた。ウルサたちがグレンデルと呼んでいる謎の殺戮者だった。
ウルサの仲間は殺され、ウルサは吹き飛ばされて崖の下の氷がはった川に落ちる。プレデターがやってくる。ウルサは錨でプレデターを水の中に引き込み、彼が持つ武器の反動を利用して彼を殺した。
ウルサは息子のアンダースがプレデターに殺されて死んでいるのを見て絶望する。
SWORD(剣)
西暦1609年・日本。兄・ケンジと弟・キヨシは武将である父親に言われて決闘させられる。剣を抜かずに頬を切られたケンジは父親から勘当された。
それから20年後。父の死をきっかけに農民として隠れて生活していたケンジは弟・キヨシを失脚させるために城に攻め込む。ケンジはキヨシを倒すが殺さなかった。キヨシは城下に落ちる。
プレデターが現れケンジを狙う。襲われたケンジは城下の川に落下。キヨシもそこにいた。
2人はプレデターと戦って倒す。しかしキヨシは負った傷がもとで死亡した。
Bullet(弾)
1941年、アメリカ・フロリダ州。整備工場の息子ジョン・トーレスは、父のような自動車の整備工ではなくパイロットになりたかった。戦争が始まりトーレスは招集されるがパイロットではなく機体の整備の仕事をさせられた。
ある日、見たこともない武器で破壊された戦闘機が空母に着陸する。
トーレスは、仲間のバンディたちが戦闘機で戦っている敵の中に未知の敵が潜んでいると確信。修理したボロ戦闘機でバンディたちに危険を告げるために飛び立つ。
バンディたちはプレデターが操縦する巨大な戦闘機に襲われていた。バンディが自ら囮になって犠牲になる。
トーレスはプレデターが発射してきた武器を自分が乗った戦闘機に絡ませ、その戦闘機ごと突っ込ませて倒した。
ラスト結末:プレデターの王と決戦
ウルサ、ケンジ、トーレスの3人は冷凍睡眠から目覚める。3人とも過去にプレデターを倒してから別のプレデターに捕まって巨大な宇宙船に乗せられ、プレデターの惑星に連れてこられていたのだ。今が西暦何年なのかも不明だ。
3人はコロッセウムのような円形闘技場にあげられる。プレデターの王が「1人になるまで戦え、最後に残った者と私が戦う」と言った。
3人は協力してプレデターの王と戦って逃げる道を選ぶ。トーレスが宇宙船に侵入して操縦し、ウルサとケンジも飛び乗る。ケンジはプレデターの王に腕を切られていた。
ウルサは宇宙船を離陸させるために外に降りて敵と戦う。トーレスとケンジは宇宙船で逃げることに成功した。
捕まったウルサは再び冷凍睡眠させられた。
映画『プレデター:最凶頂上決戦』終わり
『プレデター:最凶頂上決戦』考察・ラストの意味
ラストシーンの意味
ウルサが冷凍睡眠させられて連れて行かれた場所には何体もの冷凍カプセルがあり、『プレデター:ザ・プレイ』の主人公・ナルの姿もあった。
もしかするとナルは次回作『プレデター:バッドランド』に登場するのかもしれない。
バッドランドは若いプレデターが主人公で、追放の土地・バッドランドで謎の少女と仲間になる…というあらすじなので、ナルがプレデターの協力者として出てくるのだろうか?
また、プレデター国家の掟として、地球や他の星から連れてこられた最強の戦士たちと王が戦わなければならないことも判明。バッドランドにナルが登場しないにしても、ナルとウルサが冷凍睡眠から復活して王(キング)に立ち向かう続編も今後作られるかもしれない。
大切なのは魂(スピリッツ)
本作や『プレデター:ザ・プレイ』からわかるのが、ダン・トラクテンバーグ監督はプレデターシリーズの本質である狩るか狩られるかを真摯に追求しているということ。だからこそ興味深くて面白いものになっていると思う。
セリフは少ないが、狩るか狩られるかの極限のスリルと美しいアクションの数々は圧倒的なパワーのコンテンツになる。そこをピンポイントで狙っているようだ。
プレデターはただ狩りを楽しんでいるのではなく、獲物との決闘に対して侍スピリッツのようなものを持っている。
平和に生きるくらいなら戦って死ぬほうがマシだと考えていそう。
戦う相手にちゃんと武器を提供するなど、フェアプレーを心がけていて、結果よりも過程を重視している。
ある価値観でいえば高等な魂の持ち主なのだろう。1人1人が誇り高き戦士であることがわかる。

『プレデター:最凶頂上決戦』感想と評価
良かった点:3人の美しきアンソロジー
セリフは少ないが、3人の物語が美しかった。それぞれが過去に心の傷を負っており、それを乗り越えるプロット。
ウルサは幼少期に敵から「父を殺さないとお前を殺す」と脅された状態で、父から「やれ!」と言われたこともあって、自の手で父を殺してしまった。
幼いとはいえ父を殺した相手に立ち向かわなかったのは、戦士として相当な不名誉だろう。
ケンジとキヨシのストーリーは“木の葉は共に育つが共には散らぬという詩になぞらえた物語”だった。
武家のしきたりによって兄弟が別々の道を歩み、最後には兄弟の絆を取り戻してプレデターを討つ。しかしキヨシは死亡。先に散った木の葉となった。
トーレスが整備工場の息子でありながら車の整備も学んでいなかったのは父への反発もあったからだろう。
しかし最後には自らが乗る機体を修理しながらプレデターの戦艦に立ち向かっていった。父の存在を受け入れて強くなったように思える。
あとはプレデターがヴァイキング時代、戦国時代、第二次世界大戦中のアメリカのそれぞれから戦士を惑星に連れてくる設定もめちゃくちゃいいし便利だと思った。
プレデターの惑星にいろんな人間が登場しても不自然じゃないし、時代年代関係なく魅力的なキャラクターをいくらでも登場させられる。
冷凍睡眠によってウルサとかケンジが何百年も時間をスキップさせられているのも切ない。たとえ戦いに勝ったとしても彼らが生きていた時代はもうない。
それでも3人が協力して戦うところから人間が持つ普遍的な価値観や美学が感じられた。
残念な点
アクションシーンのアニメーションが若干カクカクしていた気がする。
また、アニメだから多少リアリティラインが下がるのは仕方ないにしても、トーレスが戦闘機の翼に飛び移って危険なパーツを取り除くシーンなどは流石にあり得ないと思ってしまった。その間にプレデターに撃たれるだろ…。
エンジンを止めて温度を下げ、プレデターの赤外線を回避する展開も、高所で気温が低いといっても、冷めるまでに時間かかりそうだけど。
あとは、ウルサが敵のアジトに攻めるとき、なぜ敵は正門を開けたのだろう?意味不明だった。
戦国時代のケンジとキヨシのストーリーは、なぜケンジが跡取りの座に執着していたかの細かい心理がよくわからなかったし、ケンジは剣士なのか忍者なのかもよくわからなかった。
まとめると『プレデター:最凶頂上決戦』(Predator: Killer of Killers)は、ダン・トラクテンバーグ監督によってシリーズの新たな方向性が確立された佳作だった。
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