『名探偵コナン 隻眼の残像』ネタバレ感想&ラスト考察/真犯人にツッコミどころ?フラッシュバックあらすじ

『名探偵コナン 隻眼の残像』

アニメ映画『名探偵コナン 隻眼の残像』(めいたんていコナン せきがんのフラッシュバック)を鑑賞!

脚本自体は実写映画でも通用する本格ミステリー級だと感じたいっぽう、複雑すぎてストーリーに推進力がなかったとも感じた。

  1. あらすじ
  2. ネタバレラスト結末
  3. 良い点と悪い点の忖度ゼロの感想評価
  4. ストーリー構成の考察

これらをまとめました。ストーリーでよくわからなかった部分がある人は復習用にどうぞ。

『名探偵コナン 隻眼の残像』あらすじ

10カ月前:長野県警の大和 敢助(やまと かんすけ)は、御厨 貞邦(みくりや さだくに/8年前に銃砲店強盗傷害事件を起こして服役し、仮釈放中に姿をくらました人物)を追って八ヶ岳連峰(雪山)へと入った。

八ヶ岳にて吹雪の中である人物を目撃した敢助は、その人物に左目を撃たれてしまう。大規模な雪崩が起き、敢助は巻き込まれた

現在:敢助は左目を撃たれ雪崩に巻き込まれた「八ヶ岳連峰未宝岳雪崩事故」からなんとか生還し、上原由衣と一緒に国立天文台野辺山で職員が襲われた事件について調査をしていた。

敢助は雪崩のとき何者かに助けられたが、撃たれた前後の記憶がなく、誰が助けてくれたかはわからない。逃げた御厨は諸伏 高明(もろふし たかあき)によって逮捕されていた。

毛利 小五郎に警察時代の相棒・鮫谷 浩二(さめたに こうじ)から連絡があり、「長野の八ヶ岳連峰未宝岳雪崩事故に巻き込まれた敢助について聞きたい」と言われる。
小五郎は蘭やコナンと一緒に待ち合わせ場所の公園へ行く。しかし、鮫谷は公園で何者かにライフル銃で撃たれて即死した
小五郎は鮫谷の仇を討つことを誓って長野へ行き、敢助や由衣と合流する。

コナンは、先に国立天文台野辺山に観光に来ていた阿笠博士や灰原、元太たちと合流するフリをして小五郎たちの捜査に加わる。長野に着いたコナンは何者かに盗聴器を仕掛けられた。一連の事件の全貌には公安や国家が関わっていて…。

『名探偵コナン 隻眼の残像』ネタバレ・ラスト結末の解説

コナンは自分のマフラーに盗聴器を仕掛けたのが山梨県警に勤める隠れ公安・林 篤信(はやし あつのぶ)だと気づく。盗聴器を仕掛けるよう指示したのは公安の風見 裕也(かざみ ゆうや)だということも突き止めた。
コナンは公安の安室 透(あむろ とおる)と連絡を取り、付けられたマフラーの盗聴器を取らずに公安と情報を共有することにした。

小五郎は死んだ鮫谷が刑務所で服役中の御厨(みくりや)と面会していたと知り、御厨に会いに行く。
御厨は8年前の銃砲店強盗傷害事件の犯人の1人だ。
もう1人の犯人・鷲頭隆は司法取引によって御厨を裏切り、執行猶予3年で服役はしておらず、現在は姿をくらませている。御厨は裏切った鷲頭隆を探し出して殺そうとしていたが敢助に追われ、高明に逮捕されたのだ

8年前の銃砲店強盗傷害事件で店にいた従業員・舟久保 真希(ふなくぼ まき)はバイアスロンの強化選手だった。しかし、強盗に入られた際に足に傷を負ったため成績が落ちてオリンピック選考から外され、自殺してしまったのだ
真希の父・英三は「消えた犯人・鷲頭隆を探し出せ!!」と敢助を責める。

夜になり、敢助と由衣が捜査のために八ヶ岳で車を走らせていた。敢助は由衣が死んだ甲斐巡査の事件調査のために虎田家に嫁いだことについて話す。由衣は「あなたが死んだと思っていた。あなたならどうしたの?」と語気を強めた。

そのとき2人は何者かにライフルで狙撃される。近くでBBQをしていた元太や光彦が銃声を聞いて駆けつけ、狙撃犯と乱闘になった。狙撃犯は蘭の空手からも逃げ切った。別行動していた小五郎やコナンもやってくる。

敢助と由衣は近くの山中で炭焼き小屋を見つける。家主は大友隆という人物だった。大友が休んでくれというので、敢助やコナンたちはそこで一夜を明かすことにする。

大友は銃のような装置を持っていた。山肌に信号を送って小規模な雪崩を適度に起こさせて大規模な雪崩を防ぐ“アバランチコントロール”に使用するものらしい。

コナンは大友隆の体にライフル使用者特有のアザがあるのを見て怪しんだ。

翌日、山の中で敢助が狙撃される。高明が敢助をかばって足を撃たれ、そのまま崖から落ちて氷がはった川に落ちてしまう。高明は意識を失いかけ死んだ弟・景光(ひろみつ)の幻影と対話する
コナンや小五郎たちがなんとか高明を助けた。

装置が何者かによって使われ、雪崩が発生する。コナンがボンベを蹴って爆発させ反対側からも雪崩を起こして相殺させようとしたが間に合わず、敢助が巻き込まれて死亡した。

大友隆の正体が御厨の相方で銃砲店強盗事件の犯人・鷲頭隆だとわかる。鷲頭は大友と苗字を変え、真希が自殺した罪の意識から彼女の墓がある崖の近くに炭焼き小屋を構え、御厨に殺されるのを待っていたのだ。大友隆は真希の父・英三に泣いて謝る。

英三は、大友が真希を死に追いやった罪の意識に駆られて御厨に殺してもらおうと考えていたと知り、「お前の8年間はどうだった?」と言って涙を流した。

新一から送られてきたヒントもあり、小五郎は関係者全員をを天文台に呼んだ。そして隠れ公安だった林 篤信が真犯人だと告げる

蘭が犯人と戦った際に布で覆われたライフルが改造された小型のものであると気づいた。違法な改造ライフルを処分する権限を持っていたのは林だった。
元太が犯人の手袋に噛みついた時に口についた切れ端が鹿皮で、林の手袋も鹿皮だとわかる。
天文台に侵入して円井まどかを突き飛ばしたのも林だった。

コナンは林は自殺した真希の恋人だと推理。

敢助は実は生きており、10カ月前に左目を撃たれたときの記憶=御厨を追っていたときに山にいたのが林だと思い出していた。(10カ月前に雪崩から救ってくれたのは鷲頭隆で、今日の雪崩でも敢助は隆に助けられた)

林は10カ月前にも天文台に侵入して特殊なパラボラアンテナ付きの車を借り、情報収集衛星から国家間の秘匿情報を得て、それをネタに政府を脅し司法取引を増やす法案の可決を止めようとしていた

林は犯人の鷲頭隆が司法取引によって服役すらしなかったが恋人の真希は選手生命を絶たれて自殺したことに怒り、法改正を断固やめさせたかったのだ。

林は巨大アンテナ付きの観測車で逃げるが、灰原が天文台から放ったレーザーをコナンが板で反射させ、小五郎が銃で乗り物の動力部を撃って止めた。林は逮捕される。

エピローグ:敢助と由衣は結婚する雰囲気になる。

安室は収監中の林と会い「死亡した真希の個人情報を流出させたくないなら取調べで公安だったことを公表するな」と司法取引を持ちかけた。

隻眼の残像・各事件を時系列でわかりやすく解説&ラストの考察はコチラ

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『名探偵コナン 隻眼の残像』感想と評価:複雑だけどインパクトはない

全体的には可もなく不可もなしといった印象。内容が詰め込まれていて複雑でそこが面白さでもあったが、同時に弱点でもあったように思う。

ミステリーとしてパズルのピースがひとつずつハマっていく楽しさはあった。
いっぽう「劇場版の壮大な展開でテンションブチ上げじゃああ!」というカタルシスはない。

興行収入の面でも『100万ドルの五稜星』(2024)の158億円や『黒鉄の魚影』(2023)の138億円を超えるのは難しいだろう。100億円いくかな?

コナン初心者で長野県警のキャラに馴染みがない私のような人間は登場キャラの人情物語に思い入れがなくちょっと置いていかれた。。。大和敢助の上原由衣のエピソード「風林火山」だけでも予習して行くんだった。ただ、最後には敢助と由衣の大人の恋愛が渋くていいなと思えた。

設定が変に複雑で私も考えながらでないと追いつけなかったので、小学生とか絶対ついていけないだろこのストーリー。もはやコナンのメインターゲット層は大人なんだろうな。

あとは敢助と由衣の大人の恋愛はあったが、コナンと蘭のラブストーリーを楽しみにしていた人にとっては完全に期待外れだったかもしれない。

ストーリー構成の考察

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さてストーリーについて。

  1. コナン
  2. 長野県警と小五郎
  3. 公安の安室や風見
  4. 灰原や元太たち

序盤〜中盤はこの4つのグループに分かれて進んでいく。この構成からして複雑じゃない?!

特に公安の存在が話をややこしくさせていた気がする。序盤では公安が何を狙って動いているのか明かされないことも大きい。それに同じ公安でも風見と安室は別行動だし。

公安がコナンを盗聴し、コナンは小五郎を盗聴している構図も複雑(笑)↓。

隻眼の残像 相関図

ストーリーのテーマも「敢助が隻眼になった真相の究明と由衣との恋愛」「毛利小五郎による鮫谷の弔い合戦」「司法取引の良し悪しと法改正」と多層的で渋い。明らかに大人向けだ。

真犯人の林篤信の単独犯で法改正を阻むのが目的だったわりには、その他の要素を入れすぎて複雑になっているようにも見えた。

真犯人・林が雪山でアンテナを使って情報を集めていたところへ、死んだ恋人・真希の仇である御厨と敢助がやってくる確率からしてもはや天文学的だろう。

御厨が仇なんだから、林は敢助じゃなくて御厨を撃てばよかったのでは?とも思ってしまった(御厨を視認できなかったんだろうけど)。

さらに付近に鷲頭隆もいて敢助を助ける。

鷲頭隆は罪滅ぼしのために炭焼き小屋の名前をブッパ(御厨だけが知っている隆のあだ名)にしてそこに住むことで御厨を呼びよせて自分を殺させようとしていた。

なので林、御厨、敢助、鷲頭隆の4人が同じ雪山にいたことは不自然ではないような気もするしそこが脚本で1番巧みな部分ではあったと思うが、冷静に考えると「林は御厨を見なかったのか?」など気になるところはある。

林が人工衛星を傍受していた場所にたまたま御厨と敢助がやってきて、さらにその近くに鷲頭も住んでいた(真希の墓があった)ということになる。偶然が3つ重なっている。

一番は敢助の記憶喪失がご都合主義だと感じた。犯人を見た前後だけ丸々記憶が無い設定は使い勝手が良さそうだけどリアリティはない。あくまでミステリー・謎解きを生むための記憶喪失に見える。

真犯人の動機、ツッコミどころ

また、林は敢助が病院へ運ばれてきたのを見て、あとで記憶が戻る可能性を考えて殺害しておこうとは思わなかったのか?その方が早いと思った。

林の心理描写としては「敢助に目撃されたけど記憶ないみたいだし殺さなくていっか」→「10カ月後。公安が敢助に接触して人工衛星の話したら記憶戻っちゃうかも!やっぱり殺そ!」ってな感じなのだろうけど不自然。

また、林が恋人を死に追いやった当時の犯人に復讐するのではなく衛星から国家間のやり取りを傍受して政府を脅し法改正を阻もうとするという行動からしてちょっとぶっ飛んでいる。
恋人を死に追いやった犯人・鷲頭隆を探し出して復讐を果たす!という方向性に行くのが普通のミステリー(笑)。

まあ、犯人の目的が直接的な復讐じゃなくて法改正の阻止だったところも脚本の巧さといえばそうか。コナンシリーズ(『ゼロの執行人』や『緋色の弾丸』など)だけでなく『相棒』や『科捜研の女』シリーズまで手がける櫻井武晴さんらしい実写で映えそうな脚本

ただ犯人の林と自殺した真希がどういう関係だったのか気になる。なぜ林は真希をサポートしてあげられなかったのか?
林が恋人の真希を支えてあげられなかった経緯や、林が真希の父・英三と面識が全くない不自然さが頭をよぎる。

真希については、自分は選手生命を絶たれたのに鷲頭隆は司法取引で服役すらしていない虚しさで自殺したことはわかる。しかし、よく考えるとやっぱり恨みの矛先は司法取引ではなく犯行に及んだ御厨と鷲頭隆に向けられるのが自然な気がする。

司法取引を憎み政府を脅した林の動機にイマイチ説得力がない

隠れ公安多すぎ

林や鮫谷が隠れ公安の設定も、話を余計に複雑にしていると思った。

鮫谷は法改正の件で政府を脅している人物を捜査していた→犯人は公安の中にいた!という話なら実質公安の登場人物だけでストーリーは展開できそうだ。

しかしメインは長野県警なのでレイヤーが2層あって上手くハマっていない印象。公安か長野県警かどっちかだけの方がシンプルでよかった気もする。

パンフレットを買って読んでみると、原作者の青山剛昌さんが脚本の櫻井武晴さんに「長野県警と公安両方出してほしい」と要望を出したようなので仕方ないではあるが。

コナンが付けられた盗聴器を利用して公安の安室たちと情報共有し、風見をこき使う設定はすごく面白かった。

ラストのアクション意味不明

そしてラストのアクションはちょっと意味不明だった。
犯人の林を追い詰める時はコナンが反射パネルをスノボー代わりにしているなど、本格ミステリーから急にフワフワ設定のSFアクションになったのが違和感だった。あのパネルの破片みたいなのは厚みがあるので流石にスノボーみたいに滑れないでしょ。

あとはわざわざレーザーと反射+小五郎の射撃で林が乗っている巨大アンテナを止めようとしていたけど、もっと簡単に止められる方法が他にありそう…と思ってしまった。巨大アンテナを移動させるための線路ってそんな長いの? 無理して連携プレーで必殺技を繰り出した感が半端ない。

まとめ・総評

まとめると、面白かったけどストーリーが凝りすぎてて没入感が若干削がれた作品だった

文句ばっかり書いているように見えるが、シナリオをちょっと書いたことある私のような人間からすると本作の脚本はレベルもクオリティも超高い。あとはリアリティがどこにあるのが好きかの好みの問題。

隻眼のフラッシュバックの時系列でわかりやすく解説&ラストの考察はコチラ

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