『御上先生』がついに最終回を迎えた。教育や人生についての示唆や洞察に富んだ最高のフィナーレだった。
最終回のあらすじをネタバレ有りで徹底解説!
- 御上と槙野の深い絆
- 古代理事長はヴィランでありながら社会人の象徴
- 不正入学の告発、千木明と真山弓弦
- まだ改革は道半ば、続編ある?
- 蝶の意味とバタフライエフェクト
- ラストシーンの宏太の幻影の意味
これらについて徹底考察!
『御上先生』最終回10話あらすじネタバレまとめ


千木明の不正入学を暴露するか話し合い
冴島のUSBデータには千木明ら不正入学をした生徒たちの情報が載っていた。
次元の家にやってきた槙野(岡田将生)は、数年前に部下の高見が仕事で倒れて自殺したときに絶望していたが、そこで寄り添ってくれたのが御上(松坂桃李)だったと神崎たちに話す。
御上は槙野と協力し、隣徳に赴任してきたのだった。
槙野は中岡がいるバーに盗聴器を仕掛け、中岡と塚田の不正についての密談の証拠を得たと話す。
是枝が徳井税理士から譲り受けた写真を見せる。古代理事長、塚田、千木明代議士(父親)は古い知り合いだった。
次元が不正の全体像をまとめる。永田町の政治家が中岡に不正入学の要望を伝え、塚田がそれを古代に伝え、隣徳が不正入学を受け入れたら文科省から多額の助成金が渡る仕組みだった。隣徳は不正入学者の親からの寄付も受け取れる。塚田はその見返りに内閣人事局に出世させてもらえる仕組みだった。
神崎は千木明を呼び出して不正入学のことを記事に書いていいか聞いた。千木明は、議員の父は仕事をできなくなるし、自分の人生だけでなく妹の人生も壊れるから決められないと言った。
御上は千木明と向き合うための授業をする。神崎が神崎、富永、次元そして生徒たちは隣徳と官僚の不正をどう告発するか考える。
授業を聞いていた溝端は不正に関わっていたことを生徒たちに告白し、不正の音声データ(古代の会話)が入ったSDカードを神崎に託した。
千木明は「報道を志すものの信念に沿って行動して」と言う。御上は千木明の発言を受け、この証拠を守って不正の事実を公表しようと言った。
最終回のラスト結末
御上は古代、塚田、中岡と料亭で東元官房長官の娘の不正入学について会談をする。古代と御上は今は不正入学はまずいと断り、東元官房長官が政治資金パーティーで不当に金を受け取ったことで彼を脅そうと提案。中岡が激怒する。古代は教育の信念がないものと話をするのは嫌だと怒った。
そこへ槙野がやってくる。御上と槙野がグルだったことに慌てふためく3人。
警視庁捜査二課の刑事たちがやってきて塚田、中岡、古代たちを取り調べのために連行(一連の流れはプランオカミ3)。
神崎は不正の記事を書いて父に託す。翌日、隣徳の不正が東都新聞の一面に載った。
古代は記者会見の前に自分が道を間違えたことを悔い、御上に真の教育改革を託した。
千木明は隣徳で卒業はせず高卒認定を取り、一般受験を目指す。
冴島は娘の弓弦と面会。弓弦は罪と向き合うことを決意したようだった。
3月になり、御上の最後の授業と卒業式が行われる。御上は最後に考え続けることと、答えのない質問の素晴らしさを説いた。
神崎は御上に「俺を助けに来たんでしょ?」と言った。一色先生が御上に「宏太のような生徒がいるから救ってほしい」と頼んでいたのだ。神崎は「俺は何があっても死なないから」と言った。
卒業で喜ぶクラスメイトたちの中に千木良もいる。それぞれの道へ羽ばたいていった。
真山弓弦の裁判には、冴島だけでなく、御上、神崎、次元たちも来ていた。
槙野は通信制で教職課程を取るという。
御上は隣徳での教員を続ける事になる。
ドラマ『御上先生』最終回10話終わり
『御上先生』最終回10話考察まとめ
御上と槙野の関係を深掘り
御上と槙野は、高見の葬式までは同期だけど仲は良くなかったもよう。槙野は同期の御上が出世の邪魔だと考えていたのかもしれない。
御上は高見が限界に近づいているといち早く気づき、槙野に伝えた。しかし槙野は高見をケアしなかった。その結果、槙野は自分のせいで高見が死んだと考えて絶望する。
そんな槙野に対して、御上は“自分のせいで誰かが死んでしまった者”として接した。御上も兄・宏太を救えなかったことを背負っているのだ。
御上と槙野の友情は最終回でしか描かれなかったが、相当に強いものだったとわかる。
古代理事長は私たちの象徴
古代理事長が教育に関して素晴らしい信念を持ちながら、教育改革を成し遂げるために不正入学で助成金を貰う苦渋の選択をしていたという展開が深かった。
システムを変えようとしてシステムに組み込まれる。カール・マルクスが唱えた「疎外(人間が作ったシステムに人間が振り回される状況)」のような概念がうまく表現されていた。古代は既存の教育システムを破壊したかったが、歯車に成り下がってしまったわけだ。
最終回では何より、古代理事長(北村一輝)の憑き物が落ちたような表情が良かった。
不正は悪だが、古代がしたことは御上が戦争が悪なのかについての答えが出ない問いと同じ類であったことは確かだ。
出身大学で生徒の評価が決まるような世の中だからこそ、全国でトップになってからその風潮を変えていきたかったのだろう。
古代は会見の前に、初めて「御上先生」と呼んだ(今までは「御上さん」)。御上を教育者として認めた感動的なシーンだった。
古代の立場はわれわれ社会人そのものだ。
「今働いている会社は割とグレーなことをしてるけど、俺が役職に上りつめて変えてやる!」そう考えて今は仕方なしと自分もグレーなことに手を染め、結局何も変えられない。似たような事例は枚挙にいとまがない。
犯罪に手を染めいないとしても、古代理事長のような信念の板挟みの状況にある社会人は非常に多いのではないか。
ヴィランでありながら社会人の象徴のような古代理事長のキャラ設定が絶妙だった。神がかっている。
千木明の不正告発、真山弓弦との対比
不正入学した千木明が卒業しないのは想定していたが、神崎が記事で隣徳の不正を全国に公表するまでやるとは驚いた。
千木明の父親は失職、不正入学した他の生徒の人生もめちゃくちゃになる。(隣徳で不正があったら他の生徒の推薦枠を大学側から取り消されるとかもありそうだけどその辺はどうなんだろ)。
千木明に関しては被害者なのに父親のやらかしのせいで家族がめちゃくちゃになる可能性がある。
犠牲が大きすぎるような気もしたが、御上と3年2組の生徒が千木明に寄り添ってくれるのだろうという希望があったので許容できた。
父親のせいで人生破滅しそうな千木明は、ある面で真山弓弦と似たような立場ともいえる。しかし千木明には御上や3年2組の生徒が寄り添ってくれた。卒業式の彼女の表情を見ていると人生に絶望などしていないとわかる。
追い詰められた後にどうなるかは仲間がいるかどうかで変わるのだ。
真山弓弦に関しては今後、冴島、神崎、御上らが数十年かけて支えていくのだろう。
改革はまだ終わっていない、続編ある?
御上と槙野、そして3年2組の生徒たちは隣徳の不正と、永田町、官僚の癒着を暴いたことで、教育や官僚腐敗のシステムの一角を崩すことができた。これで全体が変わるとは思えない。
おそらく本当の改革はここから、御上や社会に羽ばたいた3年2組の生徒たちが時間をかけて成し遂げてくれるのだろう。真の改革は一朝一夕で起こらない。しかし真の教育の効果は時間をかけてジワジワ広がっていきそうだ。
『御上先生』というドラマ自体も教育改革の一助になってくれればと願う(内容的には申し分ないと思う)。続編の『御上先生2』も期待したい!
最終回の真山弓弦の裁判のシーンでは弁護士席に長谷川博己さんと北村匠海さんに似たキャストがいたようだが、今後『御上先生』と『アンチヒーロー』を同じ世界線にした飯田和孝バースをやってほしいと思った(野木亜紀子バース的な)。
蝶の意味とバタフライエフェクトの全貌
バタフライエフェクトの全貌は、隣徳と官僚の不正→冴島の不倫疑惑→神崎の記事→冴島が離婚して弓弦が殺人事件を起こしたという流れ。
御上は最後に独白で「常にあなたがいた…」と言っていた。これは兄・宏太のこと、生徒のこと、そして弓弦のこと、ひいては関わってくれた全ての人のことだと考える。
御上がたたずむ教室に兄・宏太の幻影がいて、その幻影にはアゲハ蝶が止まっていた。
蝶は兄・宏太や真山弓弦、そして神崎のような「信念があるが崩れやすい弱者」や「バタフライエフェクトを起こした者」を意味するのだろう。要は守るべきものの象徴だ。
バタフライエフェクトを起こした蝶には、その影響や責任が跳ね返ってくる。
御上は第1話で蝶に「逃げ切れ」と言ったが、これは兄と似ている神崎へのメッセージだと思った。兄・宏太のようにならずバタフライエフェクトから逃げ切ってほしい。生きてほしいという意味だったのだろう。
ラストシーンの意味
御上が教室から出ようとすると、兄・宏太の幻影が窓の外を向いていた。肩にはアゲハ蝶がとまっている。
これまで宏太の幻影は、真っ直ぐに御上を見つめていることが多かった。
宏太の幻影が窓の外を向いているということは、御上が宏太の幻影=兄を助けられなかった罪悪感から解放されたことを意味しているのだろう。
御上は神崎ら生徒たちの人生を救ったことで罪悪感から解放され、自分自身も救われたのだと思った。
また窓が空いているので蝶は自力で外に逃げられるだろう。生徒たちは自立心を持ったのでもう御上が助ける必要がなくなった=真の教育達成という意味だと考えられる秀逸なラストだった。
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