映画『366日』を鑑賞。
HYの名曲『366日』をモチーフに作られたオリジナル純愛ストーリー。
あらすじ、ネタバレなしの感想、ラスト結末のネタバレ解説、鑑賞後の忖度なし感想をまとめました。
感動したけど、モヤッとするポイントも非常に多かった。
映画『366日』あらすじ・作品情報
公開日:2025年1月10日(金)
長さ:122分
監督|新城毅彦
脚本|福田果歩
あらすじ:うるう年は366日ある。玉城美海(たましろ みう/上白石萌歌)はうるう年の2月29日に生まれた。
高校3年の真喜屋湊(まきや みなと/赤楚衛二)は母を病気で失って悲しみにくれていた。そんなある日、海で美海と出会い、サーターアンダーギーをもらう。湊は美海と話しているうちに元気になっていった。2人は大好きなHYの曲を一緒に聴いて仲を深め、恋をし、やがて付き合うようになった。美海は、4年後にあなたが作った歌を聞かせてと湊に言う。
琉晴(りゅうせい中島裕翔)は幼馴染の美海のことが好きだったが、言い出せなかった。
湊は卒業し、大学進学のために状況する。2年後に美海も同じ大学へ通うことになるが、2人の運命が大きくすれ違っていくことになる。
キャスト↓
真喜屋湊(まきや みなと)|cast 赤楚衛二
玉城美海(たましろ みう)|cast 上白石萌歌
嘉陽田琉晴(かようだ りゅうせい)|cast 中島裕翔
望月香澄(もちづき かすみ)|cast 玉城ティナ
玉城明香里(たましろ あかり)|cast 国仲涼子
玉城一馬(たましろ かずま)|cast 杉本哲太
橘諒太(たちばな りょうた)|cast 溝端淳平
陽葵(ひまり)|cast 稲垣来泉
琥太郎(こたろう)|cast 齋藤潤
真喜屋由紀子(まきや ゆきこ)|cast 石田ひかり
ちょこっと感想(ネタバレなし)
30代のおっさんである私が観ても切なくて感動できる純愛ラブストーリー。沖縄で暮らす私からみても沖縄の魅力がしっかり表現できていた。HYの「366日」やアンサーソング「恋をして」等の楽曲も心にしみた。
ただ、悲劇や切なさを詰め込みすぎて節々でご都合主義や疑問符?を感じた。
10代から20代の若いカップルがデートで見る映画としてピッタリだと思うが、大人が見ても楽しめるかというと微妙。
良くも悪くも悲しい設定の数々が詰め込まれた福袋みたいな作品。ストーリーの犠牲になっているような人物など、ツッコミどころも多かった(ネタバレありの感想で詳しく書きます)。
映画『366日』ネタバレ・ラスト結末解説
2007年、美海は湊と同じ大学に通うために上京。湊は軽音サークルで中心的な存在だった。2人は一緒に住むことになる。
湊のバンドメンバーの香澄(もちづき かすみ/玉城ティナ)は湊のことが好きだったが、美海の存在もあり、言い出せなかった。
2009年、美海は通訳になる夢を叶えるために就活に励んでいた。何十社も受けるが不採用。
湊は音楽レーベルに務めていた。夢は楽曲を制作する側だったが、アーティストのプロモーション活動を主に担当していた。
先輩の橘諒太(たちばな りょうた/溝端淳平)が湊の作詞ノートを見つける。湊は、恋人の美海にいつか曲を贈りたいと話した。
そんなある日、湊は美海に突然の別れを切り出す。美海は悲しみ、妊娠していたことを言い出せなかった。
美海は沖縄に帰ってくる。琉晴は美海の妊娠を知りながら、家族になってほしいと言った。
湊は病院のベッドにいた。白血病だった。病気が理由で美海に別れを告げたのだ。
2012年の2月29日。美海は琉晴と結婚式をあげる。娘のひまりと3人で幸せな瞬間を過ごした。
白血病の治療を終えた湊は自分が作った楽曲を美海に聴かせるために沖縄に帰ってくる。しかし結婚すると知り、曲を渡せないまま帰った。
2024年。美海は不治の病でベッドで寝ていた。琉晴は娘・ひまり(稲垣来泉)にMDを渡し、東京にいる湊に渡してほしいと頼む。幼馴染の琥太郎(こたろう齋藤潤)もついてきた。
ひまりは東京で湊を探し、MDを渡す。美海からの好きだったという過去形のメッセージが録音されていた。湊はひまりが自分の娘であると気づいて涙を流す。
ひまりは沖縄へ帰り、湊が作った曲(HYの「恋をして」)を意識がない状態の母・美海に聴かせる。(美海はそのまま死亡したよう)。
映画『366日』終わり
映画『366日』感想:伝えろよっ!すれ違いまくり
良かった点
沖縄の海の美しさが画面いっぱいに広がっていた。赤楚衛二と上白石萌歌が裸足で波打ち際を歩き、告白し合うシーンにグッときた。
MDの演出も良かった。365日じゃ足りないくらい好き(閏年は366日)という言葉も胸に刺さった。湊に贈るMDのメモ欄の「好きです」を「好きでした」の過去形に書き直したディティールも良い。
美海と琉晴の対比として、ひまりと琥太郎の関係が希望として描かれているのがすごく良かった。
ひまりは冒頭で「好きな先輩が他の人と付き合った…」と落ち込んでいた。
ひまり=湊と付き合わなかった世界線の美海でもあるのだ。ひまりと琥太郎が幼馴染同士で付き合ってそのままゴールインする未来が見える。
残念な点
1番はやっぱり、湊、おまえ白血病だってちゃんと告白していたら良かったんじゃないの?美海も、妊娠を伝えておけば…と強く思った。
お互いに相手のためを思って口に出さなかったのだろうけど、もはや独りよがりレベル。
白血病で死ぬかもしれない、相手の人生や夢を壊したくないから別れる…これはまだ理解できる。ただ「好きじゃなくなった」とだけ言って捨てるのはいくらなんでも酷すぎ(美海は妊娠もしてるし)。
病気だと言えないなら、実は浮気してました〜とか相手の心が軽くなる嘘をついたほうが良かったような気がする。香澄に協力してもらって。
湊が理由も告げずに別れたことは、結果として美海にトラウマを植え付けて人生壊すことに相当すると思う。
どっちにしろ相手の人生を壊してしまうなら、白血病のことを伝えるのも愛じゃない?鑑賞中にそんな疑問符が浮かんだ。
そして結局 湊は薬物療法で全快したので、やっぱり言っておけば良かったじゃん感!がものすごく強まった。
そして、いろんな要素を詰め込んだはいいが、引き算が上手くできなかった作品だと感じた。
主人公とヒロインともにWで病気っていう設定もやり過ぎ。
詰め込み過ぎのせいで全体として転機となる出来事だけで構成されていて、過程がはしょられていたのが残念すぎる。
湊が美海に白血病のことを伝えなかったのも母親が白血病で死んだ悲しい別れがあるからというのも理屈ではわかるが、その背景について描かれているシーンが少なかったので説得力がなかった。
高校生活、大学生活などがほんの少ししか描かれていないのが残念。何気ない日常を活用して湊と美海のキャラクターをもっと伝えたほうが良かった。
湊=美海のことが好きな人、美海=湊のことが好きな人…2人のパーソナリティは相手を好きなことで成立している。記号的なキャラ造形のお手本のよう。
あと、おい、琉晴(りゅうせい/中島裕翔)がかわいそすぎだろ!
引き立て役の極みみたいな存在。ついには両者公認の托卵…。
最後に美海は歌を聴きながら死んでしまったようだった。琉晴とひまりと3人で最後のときを過ごすはずじゃなかったの?最後は心が湊と共にあったような描かれ方でモヤっとした。琉晴かわいそう。
ちなみに沖縄の男はみんな琉晴みたいに立派じゃないぞ(一般論として沖縄の男は働かないと言われている笑)。
また2012年に湊が沖縄に帰ってくるとき、結婚式の前にビーチで美海とひまりと再会したのは妄想じゃないよね。その時も何も言わずに別れた。ほんと大事なことは相手に伝えない2人。
あと大学生が東京で暮らすにしてはアパート広くない?家賃いくら?仕送り数十万の金持ちなの?(今私が住んでるアパートより広いんだけど。。)
映画『366日』は美しい海と楽曲、2人のすれ違いの切ない運命に感動もしたけど、ツッコミどころも多かった作品でした。
邦画レビュー↓
コメント