Netflixドラマ『阿修羅のごとく』最終回まで全7話のあらすじネタバレ解説の記事です。
「物語の考察」と「視聴後の感想」「良い点・悪い点」を忖度なしでぶっちゃけてます。向田邦子の原作ドラマ(1979年)との比較も!
『阿修羅のごとく』あらすじ
阿修羅とはインド民間信仰の神。外には仁義礼智信を掲げるが、内には猜疑心が強く、日常で争いを好み、事実を曲げ、他人の悪口を言いあう、怒りの生命の象徴…。
ドラマ『阿修羅のごとく』は、日本で暮らす四姉妹の葛藤や怒りの表情を阿修羅になぞらえた物語。
四姉妹の三女・滝子(蒼井優)は父・垣太郎(國村隼)が不倫をしているのを知り、長女・綱子(宮沢りえ)、次女・巻子(尾野真知子)、四女・咲子(広瀬すず)を呼び出して家族会議を開く。
父親の不倫問題をどう解決しようか悩むうちに、四姉妹それぞれの家庭や恋愛における泥沼の関係や日常生活における闇が浮かび上がってくる。果たしてこれは悲劇か喜劇か。
Netflix『阿修羅のごとく』最終回まで全話ネタバレ解説
1話ネタバレ
四姉妹の三女・滝子(蒼井優)は、長女・綱子(宮沢りえ)、次女・巻子(尾野真知子)、四女・咲子(広瀬すず)のそれぞれに電話し「話があるから今夜集まろう」と言った。
夜に巻子の家に集まる4人。巻子の夫・鷹男(本木雅弘)も同席した。
滝子は、この前 父・垣太郎(國村隼)が別の女性と男の子と遊んでいるのを目撃し、興信所の勝又静雄(松田龍平)に調べてもらったところ不倫だと発覚した…と話す。
四姉妹はピンボケした父と不倫相手の写真を見て動揺する。
垣太郎は定年後も火曜と木曜だけは働きに出ていたが、午後には愛人の家に通っていたのだ。
鷹男は「とりあえず義母さんの耳には浮気の件を絶対に入れるな」とその場を取りまとめた。
翌朝、巻子は綱子の家へ行く。そして綱子が男の人/桝川貞治(内野聖陽)といちゃついているのを目撃。巻子はパニクって逃げる。しかし綱子に家に引っ張られ、出前のウナギを食べながら不倫の言い訳をされた。巻子は自分の夫・鷹男も浮気しているようだ…と言葉を返す。
鷹男は興信所の勝又に会い「本当のことを知っても誰も得をしない。義父の不倫は間違いだったことにしてくれないか?」と頼むが、断られる。
勝又はやってきた滝子と鷹男に戸籍謄本を見せる。不倫相手の子供は、別の男性の子供だった。
滝子は、私たちはやっぱり4人姉妹だった…と涙ぐむ。
咲子は母・ふじ(松坂慶子)を呼び、同棲しているボクサー・陣内英光(藤原季節)を紹介した。
鷹男は義父・垣太郎に、浮気は揉み消せると言った。しかし垣太郎は言い訳はしないと返した。
四姉妹の母・ふじは、夫・垣太郎の上着に入っていた車のおもちゃを握りしめ、壁に投げつけた。夫の浮気にずっと前から気づいていたのだ。
四姉妹と母・ふじは、夫を寝取られた妻の情念を題材にした文楽を見ていた。女人形の表情が狂気に変貌する。
2話ネタバレ
巻子は、父・垣太郎が切腹しようとしている横で母が針仕事をしていて、自分たち4姉妹が子供の頃のようにパジャマに腹巻を着て切腹を止めようとしている…という夢を見る。
起きた巻子は鷹男に夢の内容を話す。鷹男は、お義父さん夫婦の問題に口を出すなという意味では?と言った。
新聞の朝刊には波風というタイトルで、“私たち3姉妹のお父さんには愛人がいます。私の夫ももう40なので、不倫をするかもしれません。波風を立てないようにするべきでしょうか?”という投書があった。
投書に気づいた咲子は「巻子が書いたんでしょ?3姉妹になっているけど私は姉妹の数に入らないの?」と責める。巻子は「私じゃない、綱子ではないか?」と返す。綱子でもなかった。
綱子は生花の契約をしていた料亭の主人・貞治(愛人)と豊子(夏川結衣)からクビを宣告される。
鷹男はその料亭にやってくる。綱子は後ろから来た鷹男を愛人の貞治だと勘違いした。
鷹男は料亭に滝子と勝又を呼んでいた。2人の仲を深めてもらうためだ。意図に気づいた滝子は怒って帰ってしまう。勝又が追いかけ、駅の曇りガラスに“好き”と書いた。
咲子は陣内のボクシングの試合を見に行く。父・垣太郎も来てくれた。しかし咲子は打たれる彼を見ていられずに外へ出た。
陣内は負けた。脳震盪で寝ている。垣太郎は自分が使うぶんの札を取り、財布のほうを咲子に渡した。
実家に来た巻子、綱子、滝子。咲子もやってくる。
夜になっても父・垣太郎は帰ってこない。鷹男の調べで、愛人の息子がバイクとぶつかりそうになって軽い怪我をし、病院に付き添っていることがわかった。
垣太郎は朝方にやっと帰ってくる。
巻子は新聞社からの景品を見て、波風…の投書をしたのが母・ふじだと気づいた。母は父の浮気にずっと気づいていたのだ。
3話ネタバレ
咲子がカフェで倒れた。彼氏の陣内が減量をしているから自分も食べないようにしていたのだ。巻子が駆けつける。アパートへ連れて帰ると、陣内は知らない女性(マユミ)と寝ていた。しかもラーメンを食べている。
咲子は浮気よりラーメンを食べたことに激怒する。巻子も陣内を責めた。
陣内は「俺が減量中だから食べるななんて頼んでない。迷惑だ」と言い放つ。
部屋を出た咲子は、巻子の家で餃子を食いまくる。
いっぽう勝又は滝子を夜の公園に呼び出し「垣太郎の調査をなかったことにしたい」と言う。2人の関係の始まりが浮気調査だと言うのが嫌だったのだ。勝又はその場で調査資料に火をつける。しかし落ち葉に燃え移り、ちょっとしたボヤ騒ぎになってしまった。
鷹男が警察に呼び出され、事情を説明。滝子たちは解放してもらった。
滝子は部屋で勝又と不器用に抱きしめ合った。
鷹男は大阪出張に行くと言って家を出た。
巻子は家で鷹男からの電話を取る。鷹男が浮気相手にかけた間違い電話だった。
巻子は、母・ふじのところで一緒に漬物をつける。巻子は夫の浮気のことを話した。ふじは「女わね。言ったら負け…」と答えた。
巻子は帰りに父の不倫相手のアパート近くにフラッと立ち寄る。なんとすぐ近くに母・ふじも来ていた。ふじは驚き、なんとも言えない表情を浮かべ、その場で倒れた。
四姉妹と鷹男が病院で意識不明のふじに寄り添う。酔っ払った垣太郎が入ってきた。巻子は「お母さんは許してなんかいなかった!」と激怒した。
垣太郎は「浮気相手が結婚する。フラれた」と言い、ふじのそばで泣いた。
綱子の家に豊子がやってきて銃を向ける。貞治は綱子の後ろに隠れる。銃は水鉄砲だった。豊子は笑って帰る。綱子は貞治に出ていけと言った。
ふじは意識が戻らないまま死亡。数カ月後に家族は墓参りに集まる。咲子は陣内と結婚して妊娠していた。
滝子と勝又は夏目漱石の小説「虞美人草(ぐびじんそう)」の最後の一説を語り合っていた。
…すべてが喜劇である。最後に一つの問題が残る。生か死か。これが悲劇である
4話ネタバレ
巻子は鷹男が秘書の赤木啓子(瀧内公美)と不倫をしているのではないかと思い悩み、気がつくとスーパーで万引きをしていた。店主たちに事情を話し、なんとか勘弁してもらう。
そんな中、父・垣太郎が寝タバコでボヤ騒ぎを起こす。四姉妹は駆けつけ、父の文句を言いながら畳替えをした。咲子は息子・勝利(かつとし)の世話もあって疲れているようだった。
綱子は、父が戦後まもない頃にも浮気をした…と話す。父が帰ってこない夜分、母・ふじが石臼で小麦を引いていたのが怖かったという。
四姉妹は母の形見分けをする。着物を漁っているとタンスの1番したから春画が出てきた。昔は嫁入りのときに母親が性教育代わりに娘に持たせたという。
巻子は、母が夜な夜な春画を見ていた…母も女だった…と悟ってなんとも言えない複雑な気持ちになる。
父の一人暮らしは危ないということで、勝又が同居することになった。
滝子は引っ越しを手伝う。勝又が釘を打っている滝子の足にすがりついた。滝子はこんなの嫌と拒否する。トンカチが勝又の頭に落ちる。
勝又は夜、垣太郎との食事で緊張して喉を詰まらせ、俺は初めてで失敗する運命だ…と滝子にぽろりと口にする(勝又と滝子は初夜にうまくできなかった)。
5話ネタバレ
咲子が寿司を持って実家にやってくる。夫・陣内は日本チャンピオンになり、金回りもよくなっていた。
滝子は咲子の見下すような態度に耐えられず、2人は大げんか。
咲子が家に帰ると、義母・まき(高畑淳子)がいつものように家にたくさん人を呼んでお経を唱えている。嫌だったが言えなかった。
巻子は、鷹男が胃カメラをのんで調子が悪くなったと聞かされて病院へ。秘書の赤木啓子が鷹男の顔をハンカチでぬぐっていた。自分と同じコートを着ている。
表面上は啓子にお礼を言ったが、鷹男が同じものをプレゼントしたと知ってハラワタが煮え繰り返った。
勝又は垣太郎に、浮気を調べたのは自分だと正直に告白する。垣太郎は笑った。
勝又は滝子との夜の関係に成功した。滝子は髪を結うのをやめ、女っぽくなる。2人は結婚すると家族に報告した。
結婚式当日、滝子は咲子と陣内が自分たちより派手な服で登場したことに怒る。陣内はよろけて勝又の服に酒をかけてしまった。滝子は2人に帰ってと叫んだ。垣太郎が場をなだめる。
式の最中、陣内が倒れて病院へ運ばれた。
6話ネタバレ
陣内は打たれ過ぎで頭にダメージがあるようだった。しかし咲子は、姉たちに見下されたくないためにすぐに退院させる。
陣内は家で少し気が変になり、母がたくさん人を呼んでいる部屋に入って「拝むのはやめろ!」と叫ぶ。ちょうど家に見舞いに来た巻子にもみかんを投げつけた。
勝又は料理屋の豊子から浮気調査を頼まれて5万受け取り、それに勘づいた夫の貞治から10万円もらった。そのことを巻子、綱子、滝子に相談する。
巻子は笑う。綱子は滝子を別の部屋にやって、「浮気相手は私。もう関係は切れてる」と言った。
陣内は回復し、スパーリングを行う。夜、咲子は「もうやめてもいいんだよ」と言った。しかし陣内は、もう少しで夢に手が届くと返した。
鷹男が残業で旅館に泊まると電話してきた。巻子は不倫が心配で旅館へ行く。すると娘の洋子とばったり出会った。
洋子は巻子が持ってきたシャツを取り、偵察してくると言って旅館に入っていった。鷹男や秘書の赤木啓子、社員たちがせわしく働いているだけだった。
巻子と鷹男の提案で綱子はお見合いをすることになる。見合い相手と雅楽を見にいくが、貞治のことが忘れられずに退席。
綱子は家に貞治を呼び、愛し合った。
陣内の世界前哨戦が始まった。陣内はギリギリのところで逆転勝利。しかしその場で意識を失い病院へ運ばれる。
咲子はもうダメだと、父・垣太郎の胸で泣く。垣太郎が病室から出たあと、服を脱ぎ、意識が戻らない陣内のベッドにもぐった。
最終回7話ネタバレ
垣太郎は省二(浮気相手の息子)とこっそり会っていた。省二は僕のパパという絵を渡す。垣太郎の絵だった。新しいパパはいなくなったらしい。
陣内の意識は戻らない。咲子は義母・まきから「お前は息子の体が悪いのを知っててボクシングを続けさせた」と言われて喧嘩。そのときに綱子、巻子、滝子が見舞いに入ってくる。
咲子はとりつくろうように、「今が1番夫婦を感じている」と強がった。
夜、咲子は街角で宅間(中島歩)という男性に声をかけられ、コーヒーを飲み、体の関係になってしまう。
咲子は陣内の足にへのへのもへじを書き、これが笑ったら(動いたら)彼が回復したことになると言った。
そんな中、巻子は綱子が心中したと連絡を受け病院へ駆け込んだ。
最終回のネタバレ・ラスト結末
綱子は生きており、ガス管が外れただけだと笑っている。足の裏にはへのへのもへじが描かれていたので巻子は笑う。綱子は陣内のを見て実験してみたと言う。
相手の貞治は病院から家に帰り、妻・豊子に足の裏のへのへのもへじを見られて激怒された。
後日、巻子は綱子に本当は心中だったのでは?と尋ねるがやんわり否定される。
垣太郎は省二と喫茶店で会おうとするが、元浮気相手の友子に止められる。朝子は省二に、パパとはもう会えないと言った。
巻子は赤い毛糸で縫い物をしながら、帰ってきた鷹男にどこの女のところに行っていたのか尋ねた。鷹男は否定する。
後日、巻子の家に赤木啓子がやってきて、結婚するから仲人を頼みたいと言ってきた。浮気相手だと疑われていたことを知っていて、誤解を解きたいとも言った。
咲子は一夜の相手・宅間から「100万都合しろ」と脅される。咲子は滝子に相談した。滝子は陣内の病室にやってきた宅間に向かって「脅かすんなら幸せな人を脅かせ」と怒鳴り退散させた。
その後、滝子は妊娠。四姉妹は実家で漬物をつける。
垣太郎は省二と電話で楽しそうに喋っている。勝又は「四姉妹が仲が良いのか悪いのかわからない」と言う。鷹男は「女は阿修羅だ。外側を取り繕っても裏では悪口を言い合う。気をつけろ」と言った。四姉妹がこっちを向いた。
咲子とまきは、意識不明の陣内の足が動くのを見て喜ぶ。
赤木啓子の結婚式に参加した巻子は「あなたが浮気していないというのを信じていない」とこぼした。
Netflixドラマ『阿修羅のごとく』終わり
Netflixドラマ『阿修羅のごとく』考察
(『万引き家族』のちょっとしたネタバレあり)
是枝監督らしく細かい演出が効いていた。
1番面白いと感じたのは、勝又と体の関係になった滝子が髪を結うのをやめ、対照的に夫が植物状態になった咲子は髪を結うようになった点。自分以外の人間に心が開かれているか、閉じられるかを髪型で表現していたのだろう。
是枝監督は『万引き家族』『ベイビーブローカー』などで犯罪を土台とした疑似家族を描いていたが、『阿修羅のごとく』では“本当の家族が抱える不道徳を超えた繋がり”のようなものが表現されていた。
セリフまでほとんど向田邦子の脚本を踏襲してはいるが、テーマは原作ドラマより伝わりわかりやすかった。
昭和の家族は不倫まで相談する仲だったのだろうか。ある面で家族の結びつきは現在よりも深いのかもしれない。というより、四姉妹もそれぞれ別人格ではなく、四姉妹で1人の人間を成しているようで考えさせられる。それを阿修羅と表現している面もあるのだろう。
向田邦子脚本の原作とネトフリ版で違うのは、咲子と陣内の描き方。咲子が序盤で試合前の陣内になし崩し的に抱かれるシーンが、咲子が拒否するシーンに変わっている。そういった現在ではいろんな意味でアウトシーン以外は、ほとんど原作に忠実だった。
海外でも配信されるので、咲子まわりの主体性のない体の関係が現代風にアップデートされていた印象。
ちなみに終盤で倒れた陣内が一旦回復して試合するくだりも原作ドラマにはなかった。
あとは結局、鷹男は不倫をしていたのか?について。大阪出張のときに巻子に“怪しい”間違え電話をしていたので、不倫自体はしていたのだろう。
相手が誰かについて明確に提示されていない。秘書の赤木啓子ではなさそうだが、赤木と不倫をしていた可能性も否定はできない。(赤木だと仮定すると、彼女も阿修羅の1人…という解釈もできなくもない)
コメントで頂いた「母親・ふじが投書で“3姉妹”と書いたのは、咲子が父親・垣太郎の娘でないから」という説が面白かった。
ふじは墓場まで持っていくはずの秘密を抑えきれず、投書で復讐したのだろうか。垣太郎だけがその意味をわかったのかもしれない。
ふじも不倫と托卵をしていたとなると、女は男への恨みで一生はらわたが煮えくりかえり続けるテーマが複雑になってしまうが、解釈の1つとしては興味深いと感じた。
Netflixドラマ『阿修羅のごとく』視聴後の感想・評価
良い点
全シーンが美しかった。お酒を飲みながら眺めていたい古き良き場面が多い。
挙げればキリがないが、6話で綱子(宮沢りえ)が雅楽を見ながら不倫相手に情念を燃やしているように見えるシーンが特に印象的だった。
Netflixドラマ『舞妓さんちのまかないさん』もそうだが、近年の是枝監督は日本文化をどう世界に伝えるかに腐心しているのかもしれない。
残念な点
正直言って完コピしすぎ…だと思った。1979年の原作ドラマと一字一句同じセリフが多数。場面も一緒。話数も一緒。無音で次回予告の映像が流れるところまで一緒…。
原作ドラマを観たことがある人にとっては、映像がみやすくなっているだけの全く同じストーリーなのがかなり残念なのでは?
ここまで完コピだと正直何のためのリメイクか疑問になる。完コピなので、是枝監督のオリジナルの解釈もほとんどない。(あるけど、例えば咲子のキャラクターにより主体性を持たせるくらいのマイナーチェンジにとどまっている)
『阿修羅のごとく』を新しい見やすい映像、聞き取りやすい音声で現在に甦らせた以外に意味があるのか疑問。
原作ドラマをすでに視聴している人にとっては、各シーンの細かい演出を見比べる楽しみ方がメインになるのではないだろうか。
完コピなので、ストーリーが面白くなっているわけではない。
そもそも今見返しても原作が良すぎる。
是枝演出で美しくなっているシーンも膨大だが、母・ふじが不倫相手の家の近くに来ているのを巻子に見られてなんとも言えない表情をして倒れ、卵が潰れる狂気のシーンは断然原作の方が優れていると感じた。
原作でふじを演じた大路三千緒さんによる、恥と怒りが同居したようなトラウマ級の狂気。あれこそ阿修羅。忘れられない名シーンである。
Netflix版の『阿修羅のごとく』も非常にクオリティが高く、観る価値は十分なのだが、原作にあったミラクル、絶妙な化学反応のようなものはない。
悪くいってしまえばすべてが綺麗すぎる。娘に見られて卵が潰れるシーンもどこか綺麗すぎる。これなら原作を見たほうがいい気もする。
(2003年の映画版『阿修羅のごとく』(四姉妹は大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子)よりは是枝監督のリメイク版のほうが良いと思う)
あとは、映像がどうしても1979年っぽくない。家の中とかはかなり頑張っているけど、屋外はどうしても現代っぽい。髪型もみんな現代とそこまで相違ないのが気になる。時代を感じない。
映像の1番の違和感は綺麗すぎる。一見完璧な昭和レトロな家も、小綺麗すぎてセット感がある。意味のないものがひとつもない違和感だろうか…。昭和ってもっと雑さや汚さがあったと思う。
そういう意味で本当の昭和を再現というより、キラキラした美しい思い出の昭和を甦らせた印象を受けた。
まとめると、原作を超える傑作をつくることは難しそうな作品なので、完コピリメイクではなく是枝監督の独自解釈のリブートが観たかった。これに尽きる。
『万引き家族』や『怪物』は神作だった。みんな是枝監督の新解釈が観たかったのでは?良くも悪くも『舞妓さんちのまかないさん』と同じ系統の日本文化を美しく見せる作品だった。
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コメント
こんにちは、私は機械翻訳を使用しています。最近Netflixでこのシリーズを観て、登場人物たちのことが大好きになりました。あなたのレビューのおかげで、今すぐオリジナルのシリーズを見たいと思っています。
質問があります。母親が社説の手紙の中で自分たちはたったの3姉妹であると述べたことにはどのような意味があるのでしょうか?咲子は父親の子ではないのかもしれないという印象を持ちました。私は結局、あれは父親の元々の不貞に対する母親の復讐だったのだと思いました。
ありがとうございます。今後もさらに多くのレビューを読んでいきたいと思います。
こんにちは。「咲子は父親の子ではないのかもしれない」非常に興味深い考察だとおもいますので記事にも掲載させていただきます。
私はシンプルに母親が3姉妹で(明言されてないですが)、父親だけに恨みが伝わるように書いたと考えてました。
咲子が父親の子でないとすると全体のテーマも変わりそうですが、解釈のひとつとしては素晴らしいとおもいます。