イカゲーム2ではシーズン3に向けてさまざまな謎が残された。
「フロントマン(イノ)の過去と目的」「ギフンとジュニの関係性」「めんこ男の謎」「マトリックスの赤い薬と青い薬の引用」「運営側のノウル」「シーズン2のテーマ」「ギフンの闇堕ち」など全伏線について徹底考察&シーズン3の内容を展開を予想しています。
記事はイカゲーム2のネタバレに触れているので未視聴の方は注意!
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イカゲーム2の全考察まとめ
フロントマン(イノ)の過去と目的
イカゲームシーズン2で正体を隠しながらギフンの仲間になるという驚愕のどんでん返しを見せてくれたイ・ビョンホン演じるフロントマン(本名ファン・イノ)。
ジュノと義母との会話から、イノの妻は肝硬変を患っているさなかに妊娠し、イノは知り合いから治療費の援助を受けようとするも賄賂だと言われて失職。妻とお腹の子供も死亡してしまったようだ。
おそらく、イノは治療費を工面するためにイカゲームに参加したのだろう。そこで優勝したが、帰ってみると妻はすでに死んでいた。こんな過去があると予想できる。
ギフンも同じような境遇だった(優勝して帰ったら母親が死んでいた)。
つまりイノ(フロントマン)とギフンはコインの表裏、陰と陽なのだ。
イノ(フロントマン)は似たような境遇で闇落ちしなかったギフンの信念をどうしても崩したいのだと思う。そうしないと自分の存在意義が揺れてしまうからだ。
イノがなぜイカゲームの運営する側に回ったのか詳細は語られていないが、すべての人間がクズでその人生は無意味だと実感することでしか妻子を失った過去を受け止め切れないのだろう。
また、イノがシーズン1の黒幕オ・イルナムと同じ001番を選択してゲームに参加したことから、イルナムの意志を引き継いでいるとも考えられる。
イノにとってイルナムは、他の人間をゴミだと考えて生きる方法を教えてくれた恩人なのかもしれない。
ちなみにイノは第1ゲーム:だるまさんがころんだのときにはモニターのまえにいたので参加していない。投票のときにしれっとホールに入ってきたのだろう。
ということは、本物の001番は第1ゲームで死んでいたか、もしくはイノたち運営側に殺された事になる。
利き手を使わないイノ
第2ゲームの5人6脚で、イノはギフンと同じチームになりコマ回しを担当する。
イノはわざと失敗しまくってギフンたちをパニックに陥れようとする。このとき実は右手でコマを投げていた。
イノはギリギリのところで左手でコマを投げ、サクッと成功させる。
本当は左利きだが、右で投げていたのだろう。
イノとジュニの関係
イノ(フロントマン)と妊婦・ジュニの関係も非常に巧妙だ。
イノにとって妊娠しているジュニは、かつての自分の妻を思い起こさせる存在だ。
だからイノは時折りジュニを気遣う言葉を投げかけているのだろう。
フロントマンに戻ったイノだが、シーズン3でジュニを見殺しにできるのか?
ギフンに感化されてたイノがジュニの命を助けようとする展開もありそうだ。
ギフンとジュニの運命がシーズン3の鍵
巫女のソンニョがギフンに「定めより長く生きているのは理由がある…」的なことを言い、直後にジュニを見つめた。
この言葉は、ギフンが3年前の大会で死ななかったのはジュニを助けるためだという意味だと考えられる。
これはギフンがジュニを助ける伏線だろう。
単純にギフンとイノ(フロントマン)の信念の対立だけでなく、2人がジュニの危機にどう対峙するかをシーズン3で見せてくれるのだと思う。
めんこ男の行動原理
コン・ユ演じるめんこ男がロシアンルーレットで見せた狂気はシーズン2の最大の見せ場だった。
彼は、もともと島でピンクガード(デスゲームの運営スタッフ)として大量に死体処理をしていたようだ。父親がゲームに参加して脱落し、その手で引き金を引いて殺したという。
めんこ男がもともとサイコパス気質なことは確かだ。しかし同時に、正義感にあふれるギフンを許せない側面もあるように見える。
ホームレスにパンと宝くじを選ばせ、選ばれなかったパンを踏み潰す変人的な行動は、社会の弱者を虐げるのは弱者自身であると嘲笑して、自分がやっていることを正当化したい心理の現れだと考えられる。
同時にパンと宝くじも青と赤のめんこのようでもある。選択させる者としての権力を行使して楽しんでいるのだろう。
ジュノを監視するパク船長
イカゲームの会場である島を探しているジュノたち。内通者はジュノの命を救ったパク船長その人だった。
パクはフロントマン(イノ)の命令を受けてジュノを救い、その後も監視させているのだろう。
パク船長の裏切りによってイノが弟のジュノを今でも大切に思っていることが伝わってくるのが興味深い。
テーマ『マトリックス』の赤い薬と青い薬
なぜめんこが赤と青なのか?
めんこ男のセリフから映画『マトリックス』の赤い薬と青い薬の引用だと明らかになった。
赤い薬を飲めば、人生が根底が覆るかもしれないが真実を知れる、青い薬を飲めば何も知らない平凡な生活を続けられる。ネオ(キアヌ・リーブス)は赤い薬を飲んで最悪の現実を知る…という展開だ。
(ちなみにコン・ユ出演で2024年11月に公開されたNetflix韓国ドラマ『トランク』でもマトリックスの赤い薬と青い薬の引用が出てくる。偶然だろうか…)
そしてシーズン2では投票においてゲーム続行が青色のボタン、中断が赤色だった。
シーズン1では緑色と赤色だったので、今シーズンからマトリックスのコンセプトをねじ込んできたことがわかる。
ギフンたちは赤色の中断を選択する。赤色は真実=借金にまみれた地獄のような現実に戻ることを指している(ギフンは3年前の優勝賞金で金持ちだけど)。
中断を選択した者たちは『マトリックス』のストーリーでいうとネオやモーフィアスのような反体制派であり、そう考えるとピンクガードから銃を奪って武装蜂起する流れは自然だった。
ギフンがシーズン1で赤い髪にしたのも、マトリックスの赤い薬の意味だったのかもしれない。
いっぽうで、青色のボタンは参加者たちに456億ウォンが手に入る幻想を見せてくれる。
また、シーズン1ではゲーム中断になれば参加者は貯められた賞金を持ち帰れなかったが(中断の場合、お金は脱落者の遺族に渡る)、シーズン2は貯まった分は参加者全員で分けて持ち帰れるというルールに変更されている。
この変更によって金が貰えるにも関わらずデスゲームをやめられない人間の愚かさが突きつけられている。
運営側のノウルと部隊長
北朝鮮に生まれたばかりの息子を残してきたカン・ノウル(パク・ギュヨン)。
彼女はピンクガード(運営スタッフ)の011番としてイカゲームに参加している。息子の消息を探すためにこの仕事をして金を稼いでいるのだろう。
黒い衣装の部隊長(パク・ヒスン)は脱北してからの知り合いのようだ。
ノウルは部隊長たちがゲーム脱落者の臓器売買をしていることを知っていて妨害していることから、運営スタッフとして参加するのは初めてではないのだろう。
そして運営側のピンクガードとして、ノウルのような社会的弱者がスカウトされていることがわかった。
運営側のピンクガードは殺人を犯すことになるが、報酬も多くもらえるので参加してしまうのだろう。脱落者を殺した数でボーナスがもらえるのかもしれない。
ゲームの参加者と運営側のピンクガードが同じ社会の弱者で構成されているのがミソだと感じた。
ギフンはピンクガードを殺すことをためらわなかったが、彼らも自分達と同じような社会の弱者だったと知ったときにどうするのだろうか?シーズン3の大きなテーマになりそうだ。
ギョンソクは殺されていない
白血病の少女の父・ギョンソクは反乱の最中、三角マークのピンクガードに撃たれてしまったようだが、おそらく生きているのだろう。
ギョンソクを撃ったのはノウルではないだろうか(ノウルも三角マークだし)。急所を外しているのかもしれない。
シーズン3でノウルがギョンソクを脱出させる展開もあるかもしれない。
弱者 VS 弱者の構図に目を向けたシーズン2
シーズン1ではギフンたち社会の底辺 VS ゲームの運営側で、弱者 VS 体制側というわかりやすい構図だった。
しかしシーズン2では↓
- めんこ男の「お前らは(自分で選んで)パンを無駄にさせた!」発言
- ゲームの続行 or 中断の投票で参加者同士を分断するルール
- ピンクガードもノウルたちのような追い詰められた人間がスカウトされている
これらの事実から、社会の弱者 VS 弱者の構図が浮き彫りになっている。
シーズン1より少しわかりづらいテーマかもしれないが、より社会の本質に近い鋭い社会風刺だと感じた。
例えばアメリカの大統領選もSNSの普及によって大衆は民主党と共和党に分断され、各々が対話すらできなくなっている。
分断されて争わせることで、権力者からしてみればていの良いガス抜きができるわけだ。
異なった意見を十分に議論することには意味があるが、喧嘩腰になってそこでエネルギーを使い果たしてしまえば、本当に変えるべき部分に目が行き届かない。イカゲーム2ではその構造が可視化されていた。
ストーリーにおいても、賭けの対象というだけでなく権力者が何らかのデータを取るためにデスゲームが開催されているのかもしれない。
もしかするとフロントマンは社会を良い方向に変えるための必要悪としてデスゲームを運営しているのか…。シーズン3で明らかになるだろう。
ギフンはシーズン3で闇堕ち?
ギフンはシーズン2ではいわば正義の使者としてイカゲームに参加した。しかし、特別ゲーム?仲間同士の殺し合いでは参加者たちを助けようとせずに見殺しにし、さらに銃を奪ってピンクガードたちを次々に撃ち殺している。
ギフンがデスゲームを許せないのは、目的(金持ちの道楽)のために人の命がゴミクズのように扱われるからだ。しかし考えてみると、ギフンも同じように自分の目的のために他人の命を犠牲にしている。
ギフンが権力者側のマインドに取り込まれつつあるのだろう。
ギフンがシーズン3で闇堕ちして運営側に回ってしまうトリッキーな衝撃展開があるかもしれない。
運営側に寝返ることはなくても、先ほど説明したようにデスゲームの本当の目的が社会改革のためだったと知り、トロッコ問題(大きな目的のために小さな犠牲を許容できるか)に葛藤することになる気がする。
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