テレビ東京開局60周年特別企画 ドラマスペシャル『晴れたらいいね』を鑑賞。
看護師の永野芽郁が80年前の1945年にタイムスリップし、フィリピンで戦争の過酷さに触れながら自分を見つめ直すヒューマンドラマ。
あらすじ、ネタバレなしの感想、ラスト結末ネタバレ解説、視聴後の忖度なしの感想・評価をまとめました。
ドラマ『晴れたらいいね』あらすじ・作品情報
監督:深川栄洋
脚本:岡田惠和
原作:藤岡陽子の小説
あらすじ:高橋紗穂(たかはし さほ/永野芽郁)は東京の病院で看護師として働いていた。仕事はできるほうだが、感情を殺して激務をこなしている毎日に疲れてしまった。誰も褒めてくれないので夜勤明けにビールを飲む。
そんなある日、元看護師長で現在は入院して寝たきりの雪野サエ(倍賞美津子)の看病をしていると急に地震が起きた。
雪野サエが起き上がっている。紗穂は意識を失った。
紗穂は森で目覚める。
看護婦で同僚の美津(芳根京子)や軍医の佐治誠(稲垣吾郎)、看護婦長の富貴子(江口のりこ)が頭から血を流して倒れている紗穂を助けてくれた。
紗穂は野戦病院へ連れて行かれる。パニックになりながら同僚に今何年でここはどこ?と聞くと1945年のフィリピンの野戦病院だと言う…。皆が紗穂のことを看護婦の雪野サエとして扱う。2024年の紗穂の意識がタイムスリップして1945年の雪野サエに乗り移ってしまったようだ。
なぜ紗穂はこの時代にタイムスリップしたのだろうか。そんなこともわからないままに戦争で傷を負った兵士たちの看病をするうちに、大事なことに気づいていくのだった。
キャスト↓
高橋紗穂|cast 永野芽郁
藤原美津|cast 芳根京子
今井章一朗|cast 萩原利久
菅野富貴子 |cast 江口のりこ
佐治誠|cast 稲垣吾郎
雪野サエ|cast 倍賞美津子
岩倉民子|cast 藤間爽子
高沼節子|cast 豊嶋花
大西茂子|cast 富山えり子
奥山正子|cast らじぬの
堀井光男|cast 高橋努
ドラマ『晴れたらいいね』ネタバレ・ラスト結末
森の中の野戦病院に今井章一朗(萩原利久)が運ばれてきた。今井は足に傷を負っており、佐治の治療で泣き叫ぶ。紗穂が看病をした。
今井は回復していく。紗穂は今井と仲良くなった。2人はお互いを意識する。
美津(芳根京子)はサエが別人になっていることに気づいた。問い詰められた紗穂は未来から来たことを説明する。
紗穂は仲間の看護婦たちにドリカムの曲「晴れたらいいね」を歌って聴かせた。
やがて今井はまた戦地へ旅立つことに。
戦況が悪くなり、紗穂たち看護師は自力で日本に帰ってくるようにと通達が来る。ジャングルを移動する際にも護衛などもつかない。
紗穂は佐治(稲垣吾郎)にも未来からきたと話した。天体観測が好きな佐治は未来の話を喜んだ。佐治は北部で勤務することになったようだ。
紗穂たちは船がある海岸へ向けて出発する。途中で食料がなくなって看護師長の富貴子が倒れる。紗穂は諦めずみんなで交代で背負うことを決めた。
紗穂たちはついに海岸に着く。しかし敵の戦闘機からの銃撃を受けた。紗穂はみんなを守るために盾になる…鋭い銃声がこだまする。
気がつくと紗穂は2024年令和6年に戻っていた。数日のあいだ意識を失っていたようだ。雪野サエ(倍賞美津子)と美津(吉行和子)が紗穂を見守っている。
1945年のあの海岸で紗穂が撃たれそうになったとき、意識が入れ替わったらしい。看護婦メンバーはみんな生きて日本に戻ることができたようだ。
みんな紗穂にお礼を言いたくて2024年まで生き延びようとしていたが、サエと美津以外のメンバーは死んでしまったようだ。しかし数年前にはみんなでドリカムのライブへ行ったという。
紗穂は今井の故郷にある神社へ。そこで古いラムネを発見。今井から紗穂に向けた手紙が入っていた。今井は戦地を生き延びて夢だった音楽教師になったという。
紗穂は凛々しい顔になり、看護師の職業に誇りを持つようになっていた。
ドラマ『晴れたらいいね』感想・評価:意外性もリアリティもない
永野芽郁さんも芳根京子さんも好きだが、完全にNot For Me!の作品だった。
何が見どころなのかよくわからない超薄味の人生教訓ドラマ…(個人の意見です)。
タイムスリップモノとしても伏線などが想定内のものしかない。もう少し意外性があると良かったのに。
永野芽郁演じる紗穂が普通にベッドで目覚めるラスト結末にも意外性が1mmもなくて逆に驚愕した。
全体的にリアリティもなかった。
1945年の紗穂や美津の爪が汚れていたのは良いとして、衣装や顔は美術さんがそれっぽくススをつけました…。みたいな感じでリアリティがない。髪型もキマっている。普通に可愛いいんだけど、戦争ドラマでそれじゃダメでしょ。戦争のなまなましさや悲惨さがゼロだった。唯一、傷の手当ての激痛で今井が小便を漏らしたところがリアルだなと思った。傷口に湧くウジ虫についても、ウジ虫をどっかから連れてきました〜みたいに見えた。白いガーゼと赤い血の上で踊るウジ虫たちが不思議と全然キモくない。
別に戦争の悲惨さを伝えるコンセプトはなかったのだろうけど、戦争を題材にしているわけだからもっとリアルさを出すのが少しばかりの義務ではないだろうか。
紗穂はタイムスリップして野戦病院で働くのだが、婦長や他の看護婦との衝突も少なく、すぐに仲良くなるため、全体のストーリー展開が乏しい。
美津に未来では看護婦じゃなくて看護師と呼ぶ…と説明していたが、そういう現在のモラルを過去に伝えるくだりも必要あるのか疑問。命の危機にさらされてたくさんの救えない命を目の当たりにしているはず。そんな状況下でだれが看護婦か看護師かなど気にするだろうか?視聴者に向けた必要のないポリコレ要素に見えた。
ネットでは「明るい感じで良かった」という感想が目立つ。おそらく、「キツい展開を見て辛くなることがなくてほっとした」という意味だろう。それだけリアルで残酷な現実に耐えられなくなっている人が多いのだと思う。
社会が悪くなっていくと、人は明るい歌や明るい話を求める。逆に社会が良い状態だと悲劇や悲しい歌が流行る…そんな説がある。
明るい感じでよかった…この感想から、日本が辛すぎる社会になってきていることが伺えてため息が漏れる。
そもそもなぜ映画の尺でドラマと謳っているのかもよくわからない。
ちなみに看護師長の萩野みどり(宮澤美保)は紗穂がタイムスリップした瞬間に居合わせながら、あとで何も聞いてこなかった。みどりもタイムスリップしたことがあるのでは?
まとめると、テレビ東京開局60周年特別企画 スペシャル『晴れたらいいね』は誰得なのかわからない微妙なドラマだったと思う。
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