映画『ドライブ・マイ・カー』の考察をまとめました。韓国ラストの意味や棒読み演技の理由、劇中劇が表現したものについて解説!
映画『ドライブ・マイ・カー』解説とあらすじ
村上春樹短編の映画化としてはユ・アイン、スティーヴン・ユアン出演でイ・チャンドン監督の韓国映画『バーニング劇場版』(2018)も傑作でした。単純な比較はできませんが、『ドライブ・マイ・カー』はそのクオリティを超えていると思います。
ちなみに本作はカンヌでエキュメニカル審査員賞(キリスト教の審査員が選んだ人間の内面を豊に描いた賞)も受賞。
2023年には役所広司さんが出演した『PERFECT DAYS パーフェクトデイズ』も同じ賞を獲得しています。
あらすじ
2年前に妻を失った舞台俳優・家福(西島秀俊)が、寡黙な若い女性ドライバー・みさき(三浦透子)を雇います。演出家としてチェーホフの劇を演出する過程で妻の元不倫相手で役者の高槻(岡田将生)や他の役者と交流していき…。
映画『ドライブ・マイ・カー』ネタバレ考察
エンタメ性が低いせいか賛否両論の本作ですが個人的には『ドライブ・マイ・カー』は今まで見た邦画で5本の指に入ります。
すでにアカデミー賞作品賞ノミネートを知っていたので期待値は爆上がりでしたが、それでも開始0秒からラストまで3時間ずっと画面に引き込まれっぱなしで、期待を軽々と超えてきました!
村上春樹の短編小説「女のいない男たち」の中から、「ドライブ・マイ・カー」「シェエラザード」「木野」の3つのストーリーから構成されていますが、原作の良さを活かしつつ、キャラや設定などは大きく肉付けされていました。
3つの短編をまとめた濱口竜介監督と大江崇允さんの脚本・脚色のレベルが非常に高いです。
メタファーに満ちたセリフなど、文学が好きな人はもちろんドンピシャでしょう(好みはわかれるでしょうけど)。
一方で、内面とリンクするような絵作りでも優れており、単なる文学の映像化に収まっていないのも凄いところ。
『ドライブ・マイ・カー』考察:ラストはなぜ韓国!?
言葉だけでは抽象的でむずかしいことが、映像でしっかり説明されているからこそ、心を揺さぶられるのです。
棒読み演技や劇中劇が伝えるテーマ性が、演技理論を知らない人にまで伝わるように作られているのも素晴らしい。劇中劇自体にまで見入ってしまうなど、視聴しながら完全に映画の中に吸い込まれていました。
濱口竜介監督の力量と才能のなせる技でしょう。
映画『ドライブ・マイ・カー』の何が凄いかひとことで述べるなら、棒読みメソッドの成功に加え、脱構築的な手法と心理描写のシンクロです。
ただ上記の猫ように、ひとことで解説すると抽象的で意味不明になってしまうので、あとの項目でもっと具体的に説明していきます。
次のページでは、なぜラストが韓国だったのか?棒読み演技の是非、劇中劇ワーニャ伯父さんが何を意味していたのか徹底考察&解説↓↓
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