ドラマ『誘拐の日』最終回を鑑賞(日本版)。
日本版のラストはどうなるのか?原作小説や韓国版と違う衝撃のラストにすごく驚いた!
- 最終回のあらすじネタバレ解説
- 秘密によって政宗(斎藤工)が闇堕ち?驚愕のラスト結末の本当の意味!
- 薬のレシピを完成させた黒幕=政宗説!
- 政宗と汐里の対比から見える怖いテーマ
- 最終話の感想レビュー:続編はある?
これらを徹底考察していきます!
『誘拐の日』韓国の原作小説ラスト結末までネタバレ解説はこちら↓

『誘拐の日』最終回あらすじネタバレ解説

凛と須之内の大逆転劇!
新庄政宗(斎藤工)は凛(永尾柚乃)と引き離され、県警に連行される。通報したのは妻・新庄汐里(安達祐実)だった。
須之内司(江口洋介)も政宗を匿っていた罪で拘束されていた。
凛と山崎忠(深澤辰哉)が手を組み、メールの履歴から副理事長・七瀬富雄(長谷川初範)と刑事部長・辰岡泰明(徳重聡)の繋がりを発見。
富雄が七瀬家の財産を自分のものにするために辰岡に凛の捜査を中止するように依頼していたことが発覚した。辰岡は逮捕される。
その結果、須之内刑事が事件の捜査に復帰。凛にもアドバイザーとして加わってもらう。
いっぽう汐里はケビン福住(鈴木浩介)から10億円を受け取り、ペンダント(次世代知能開発プロジェクトのデータが入っている)を渡した。
ケビン福住は薬のレシピ(組成表)のデータが抜けていることに気づく。福住は須之内たちに逮捕された。鮫洲はいつか政宗と酒を飲み交わす約束を思い出しながら両手を差し出し、逮捕された。
事件の真相と真犯人の逮捕
凛は国外逃亡をはかろうと空港へ向かう汐里に電話して児童養護施設の教会に呼び出した。
凛は自分が推理した事件の経緯と犯人の動機を、汐里に向かって語り出す。
汐里は3年前にエイズを発症してから自暴自棄になり、政宗と芽生を捨てた。そして七瀬守を脅して金を受け取っていた。
七瀬守は脅迫してくる汐里と実験の邪魔をする妻・さやかを両方消したかった。そこで事件の数日前に松田を呼んで防犯カメラを撤去させた。
7月7日、守はペーパーナイフで妻を殺害。汐里を呼び出して、痴情のもつれで彼女が妻を殺したことにしようとした。しかし、殺されそうになった汐里はとっさに日本刀を抜き、守の首を切って殺害。
汐里はどうしていいかわからず松田を呼び、隠蔽工作をしてもらう。汐里は起きてきた凛に麻酔を打ち、もう1日眠らせた…。凛は麻酔によって汐里を見た記憶を失った。これが事件の真相だった。
凛から「あなたは私と同じ。政宗と芽生を捨ててくれてありがとう」と言われた汐里は激怒し「私が七瀬守を殺した」と自白してしまう。張り込んでいた須之内たちが確保するために突入。
汐里は血のついたメス(病院で盗んでいた)で自分の手を切りつけて血を出し、凛の首に向ける。凛にも同じ苦しみ(HIV感染)を味あわせてやる。そんな気持ちだった。
政宗が出てきて(須之内に連れてこられていた)「汐里を大切に思っている。愛している」と気持ちを伝えた。汐里はメスを置く。汐里は七瀬守の殺害で逮捕された。
ラスト結末:凛と政宗のその後
後、凛は無事に治療を終えた芽生と一緒に学校へ行く。2人は一緒に暮らしており、山崎弁護士が後見人となって面倒を見ていた。
水原博士(内田有紀)は息子が手を動かしているのを見て涙を流す。
水原は刑務所にいる政宗と面会し「ペンダントのデータに組成表はなかった」と話した。
政宗はそのデータを見て、栄作と実験室にいた過去の記憶を思い出す。
政宗は過去の記憶をすべて取り戻していた。刑務所の庭の壁全面に子供を天才にする薬のレシピ(組成表の化学式)を書き殴る。
『誘拐の日』最終回ラストシーンの意味
ラストの意味、記憶が戻った政宗が闇堕ち?
政宗は教会にやってきたことで汐里と過ごした幼少期を思い出し、さらに実験されていた時の記憶まで思い出してしまったのだろう。鈴の音は記憶を取り戻したことを示唆する演出。
凛が裁判で証言したとき、政宗は暗い表情で項垂れていた。この頃にはもう過去の記憶を思い出していたと考えられる。
刑務所での政宗の表情を見るに、記憶を取り戻しただけでなく、人間性まで変わってしまったようだ。
おそらく、過去に政宗は栄作の薬によって1度は本物の天才になった。しかし汐里が頭痛薬を与えなかったことなどで記憶と頭脳を失ってしまったのだろう。
真の医道は善き心に宿る…というのは、薬の組成表が政宗に託されていた伏線だった。あくまで深読みすればだが、政宗こそが七瀬栄作の後継者ともとれる演出だ。
政宗は薬の組成表を壁に書き殴っていた。これは、栄作の呪いを受け継いでいる証明に見えた。栄作は死んでいるはずが、研究者として政宗の中で生き続けているようだ。負の連鎖は消えないのか。
ブッ飛んだ考察にはなるが、確か七瀬栄作の死因は明らかになっていない→過去に一時的に記憶を取り戻した政宗が、栄作を殺した可能性すらあると思った。いずれにせよ想像の余白が多分にある重めの結末だった。
政宗が薬のレシピを完成させた黒幕説
なぜ記憶を取り戻した政宗が暗く無口になってしまったかも気になる。政宗は9話の予告で、「あの日、自分が何をしたのか?」と語っていた。
政宗は栄作から薬のレシピを受け継いだだけでなく、政宗が栄作にアドバイスしてレシピが完成した事実がある…だから記憶が戻った政宗の表情が暗いのでは?
少年・政宗が薬を完成させた→そのせいで凛が守からの実験を受けることになったとすれば、裁判中に政宗が凛のほうを向けずに呆然としていたのもうなづける。罪の意識からだ。
政宗は薬のレシピを完成させたある意味で黒幕なのかもしれない。
そうすると汐里が政宗に殺人の罪を着せて復讐したことにも納得感が出る。
政宗の今後はどうなる?
政宗は天才的な頭脳を取り戻して薬のレシピを思い出したが、凛が好きだった明るい政宗は消えてしまった。
政宗と凛は記憶を失った者同士で最高のコンビだった。政宗が記憶を取り戻したあともその関係でいられるのか…。
1番最悪なパターンとして、出所した政宗が実験を続けるという今後もあるかもしれない。
政宗が凛と芽生を実験台に…これは考えたくない。
ただ、政宗は記憶を取り戻しただけでこれまでのことを全て忘れたわけではない。
政宗は面会に来た水原に「(腕を動かした彼女の息子について)お母さんと言っているんですよ…」と言っていたので、優しさは残っていると考えられる。
過去の記憶を忘れてもとの政宗に戻るパターンもある(心情としてはそちらであって欲しい)。
刑務所の部屋には芽生が描いたであろう、政宗、汐里、芽生、凛の4人で遊んでいる未来予想図のような絵も貼ってあった。これは希望の象徴だ。
しかし最後の斎藤工さんの表情を見ると、正気を失っている気がして怖い…。刑務官に介護されてるみたいな感じだったし。
政宗と汐里の対比から見る怖い裏テーマ
正気を失っているように見える政宗が、今になって汐里と同じ苦しみを味わっているという切なく悲しい解釈もできる。
「今度は政宗が汐里と同じ苦しみを背負う番」という運命の皮肉なシフトなのか。
政宗は凛や芽生にとって太陽のような存在だった。しかしそれは悲惨な過去の記憶を失っていたからこそだったのかもしれない。
過去の不条理な境遇を思い出してもなお、凛や芽生に愛情を注げるだろうか?そう問いかけるようなラストだった。
政宗と汐里の対比から、誰かを愛するためには忘却が必要なのでは?という考えようによっては怖いメッセージが読み取れた。
犯人・汐里の行動や心情を分解
汐里は政宗や芽生と幸せに暮らしていた時もあったが、エイズを発症したことで再び人生に絶望してしまう。
政宗や凛が問題を自分で解決しようとするのに対して、汐里は松田に頼り、守を揺すってきた。汐里は圧倒的に他責思考(なんでも人のせいにする)である。
汐里の行動は「なぜ自分がひどい目に遭わなければいけなかったのか?」という公正世界仮説的(世界は公平・平等なはずだという思い込み)な不条理を受け入れられない心に起因している。
頑張っている自分がこんな目にあうはずがない。自分がこんな目にあったのは周囲の人間が悪かったから→許せない!という認知バイアスが強く働いていた人物。
このような思考は子供の頃に強い。
汐里は幼い頃に受けた実験・虐待により精神的な成長がストップしてしまったのかも…そう考えると切ない。
金に執着してブランド品を爆買いしたのも「苦しんだぶんだけ自分は報われるべきだ」というバイアスによる。
汐里には、政宗や芽生という家族がいた。汐里がの病状の詳細は不明だが、エイズは適切な治療をすれば普通の人と同じような生活ができ、死に直結しない。
汐里は幸せがすぐそばにあったのに、怒りと憎しみによってそれを捨ててしまった悲しい女性だった。
『誘拐の日』最終回9話の感想レビュー:続編ある?
斎藤工さん、永尾柚乃さんの演技と掛け合いが絶妙で、いつまででも見ていられるドラマだった。サスペンスとコメディが絶妙なバランスで融合している。そして安達祐実さんの怖すぎる演技も存分に堪能できた。
政宗と凛のバディは最強。「誘拐の日(政宗が誘拐した日)」が凛にとっての「救済の日」となっていたのが感慨深い。
そして、政宗が記憶を全て取り戻してしまったある意味で残酷すぎるラスト。
原作小説も読んでいたけど、原作とも韓国ドラマ版ともまた違う結末に衝撃を覚えた。日本ドラマ版の結末はサスペンス好きとしてはかなり好き。
まさかの最終話で不穏なオチ。政宗が今後どうなってしまうか心配だ。
凛と芽生と幸せに暮らして欲しかったが、そんな未来は待っているのだろうか?結末は視聴者の手に委ねられた。
これは続編が見たくなる!現時点で制作は発表されていないが日本版オリジナルで続編やってくれてもいいんじゃないか?明るい政宗と暗い政宗の二重人格みたいな設定にして、また凛とバディ組んで研究の闇を暴いてくれ!
汐里と凛は次世代知能開発プロジェクトの新旧被験者同士として対決したが、役者としても安達祐実さんと永尾柚乃さんは新旧天才子役同士の対決をしていたところも感慨深かった。
凛の「あなたと私は同じ…」というセリフは「新旧天才子役同士という共通点」を指しているようにも見えた。メタセリフ!
キャスティングが神がかっていた。
今季のドラマでは「しあわせな結婚」と並んで大好きだった。終了が残念。
2025年夏季ドラマのレビュー↓


コメント