映画『ショウタイムセブン』(SHOWTIME 7、ショータイムセブン、ショータイム7)を鑑賞。
阿部寛演じる落ちぶれた人気司会者とテロリストが生放送で対決する!
終盤で真犯人の正体がわかり、キャストにもびっくり。
ネタバレなし感想、ラスト結末のネタバレ解説、最後の展開の考察、忖度なしの感想をまとめました。
映画『ショウタイムセブン』あらすじ・作品情報
©︎公式サイト
キャスト↓
折本眞之輔|cast 阿部寛
安積征哉|cast 竜星涼
結城千晴|cast 生見愛瑠
矢吹一平|cast 前原瑞樹
兼子健祐|cast 内山昂輝
城大作|cast 平田満
水橋孝蔵総理|cast 佐野史郎
伊東さくら|cast 井川遥
東海林剛史|cast 吉田鋼太郎
Perfume:Perfume(本人)
ネタバレなしの感想
ザ・報道サスペンスエンタメ。テレビ局のスタジオだけというほぼワンシチュエーションで物語が展開していく。
時間がリアルタイム(映画内では午後7時に始まって9時前に終わる)で進んでいくことに加えて、いつ阿部寛の頭が爆発で吹き飛ぶかわからない緊張感があり、すごく面白かった。
報道の正義についてや、政府、巨大企業、メディアの癒着をあらわにする社会派でもある。
某有名人とフジテレビの女子アナ問題が話題になっている昨今、非常にタイムリーなテーマだ。
シチュエーションについてはすごくリアリティがあるわけではないが、ラストには意外性と驚きもあり万人が楽しめる作品になっている。
映画『ショウタイムセブン』ネタバレ・ラスト結末解説
折本は「なるべく多くの人に主張が伝わった方がいいだろ?」と犯人(テロリスト)に打診。犯人も同意する。折本はプロデューサーの東海林(吉田鋼太郎)にテロ犯との交渉を独占放送できると話した。
犯人は生放送で経緯を語る。自分の父親が6年前に大和電力の発電所の増設工事をしていた最中に現場の安全が確保されておらず事故で死亡したこと。事件は隠蔽され、世間に公表されなかったことを伝えた。そして「大和電力の社長をTV局に連れてきて謝罪させろ!」と要求。
折本が「流石にそれは無理だ」と言うと、先程爆発した場所の隣にある発電所が爆発した。
ショウタイム7の生放送で司会をやっていた安積征哉(竜星涼)は自分が犯人と交渉すると言うが、犯人から断られた。
安積の横に座っていた結城千晴キャスター(生見愛瑠)の机にある備品が爆発。結城は驚いて気を失った。
折本がショウタイムセブンのデスクにつく。すると犯人は、折本の耳のピンマイクに爆弾を仕掛けたこと。外したら爆破すること。スタジオにも爆弾を仕掛けてあるので部屋を出たり、要求に従わなかったりした場合は爆破することを伝えた。
要求は総理大臣・水橋孝蔵(佐野史郎)の謝罪にエスカレートした。政府は大和電力から賄賂を受け取っており、ズブズブな関係だというのが理由だ。
折本は仕方なく、犯人と生放送でやりとりしながら総理大臣の危機管理室の知り合いに電話。スタジオに来ている一般市民の命が危ないから総理大臣に来てもらうように説得した。しかし当然、要求は了承されない。
そんなとき、犯人の知り合いだという城大作(平田満)がスタジオにやってくる。折本は彼と犯人を対話させる。城は犯人が通っていた高校の教師だった。城は熱くなって犯人に説教をしてしまう。その直後にマイク機器が突然爆発。城は生放送中にその場で死亡した。
その後、キャスターの安積が犯人からメールを受け取る。“3カ月前に折本が番組を降板したのは、薬害事件を起こした製薬会社アブシルから2000万年の賄賂を受け取っていたから”という内容だ。
安積は生放送中に折本にアブシルの件について本当のことを話せと追求した。
時間が経つ。折本には総理大臣が来ないことがわかっていた。折本は床に落ちていた金縁の眼鏡(城がかけていたもの)を見つける。そしてスタジオでの爆破はないこと、真犯人がすぐ近くにいることを確信。スタジオの扉を開ける。
真犯人(錦戸亮)が入ってきた。そして死んだはずの城が起き上がる。2人はグルで、城は死んだフリをしていたのだ。城は真犯人の祖父だった。
折本は、初めからターゲットは俺だったんだろ?と犯人に呼びかける。
犯人の目的は、6年前に彼の父親が死亡した発電所の事故を報道しなかった理由を折本から聞くことだった。
折本は、アブシルから賄賂を受け取った件はフェイクだが、6年前に大和電力の増設工事で死者が出た件で東海林と水橋(現在の総理大臣)から圧力を受け、ショウタイム7の司会者になる代わりに事件を隠蔽してしまったと真実を話す。そして犯人に謝罪した。
折本からの謝罪を受け、政府と大和電力とTV局が終わりだとさとった犯人は大人しく警察に手錠をかけられる。
折本は、「この2時間本当に興奮した。楽しかったと言い、真実をゆがめることなく話すのは難しい」とTVの前の視聴者に語りかけた。犯人が爆弾のスイッチを渡す。
折本は自分の耳にイヤホン(爆弾が仕掛けられている)を入れ直し、スイッチを入れる。
ほとんど同時刻にロンドンで大人数が犠牲になる大規模なテロがあったとの情報が入る。
映画『ショウタイムセブン』終わり
映画『ショウタイムセブン』考察:最後の意味は?
最後はどうなった?その後は?
最後に折本は爆弾のスイッチを入れ、過去の事件の隠蔽を後悔して自ら爆死したものと思われる。
ロンドンの爆破テロについては、真犯人(錦戸亮)の犯行とかではなく、同じ時間に世界でシンクロニシティが起こっていることの示唆だろう。
虐げられて暴走してしまう人は世界中にいるというメッセージに見えた。
主人公・折本の行動原理について
折本が報道の正義を振りかざしているにも関わらず過去の事件で賄賂を受け取ってショウタイム7のキャスターの座を勝ち取ったこと。そして最後に爆死した行動について意味がよくわからなかった人も多いかもしれない。
折本はショウタイムセブン時代に相棒の伊東さくら(井川遥)と数々のスクープを世に送り出した。スクープを発信することに快感を覚えつつも、正義感は強い人物だったと考えられる。
犯人の父親が死んだ事故について隠蔽する代わりにショウタイムセブンでメインキャスターになり、もっと数多くの正義の報道を為そうとしたのかもしれない。
しかし3カ月前のアブシル薬害事件で上から隠蔽を命じられ、報道に関する正義を完全に見失ったこともあって降板した。
今回の件はメインキャスターに復帰するチャンスだと考える一方で、犯人と対話して自分の中の報道の正義を取り戻した。そして、隠蔽の責任を受け止め自死を選んだ。
わざわざ自殺したのは、折本の正義感の強さの裏返しである。
TV局や上層部の圧力にもまれて道を誤ってしまった男が選択した、極めて武士道的な身の引き方だった。
映画『ショウタイムセブン』感想と解説
良かった点
韓国映画がオリジナルなこともあってか邦画にしてはかなり練られた秀作だと感じた。
主人公・折本の過去の罪の話から、TV局と政府まで芋づる式に吊し上げる展開が圧巻。もはや痛快である。
途中で出てきた老人・城(じょう)が犯人を刺激して殺される→実は生きていました!の展開はホラーの金字塔『ソウ』からの引用だろう。
最後に主人公の折本が自爆するシーンはやりすぎなような気がしなくもないが、それだけ彼が情熱と信念にあふれる人物だったことがわかる。ある面では極めて映画的なラストだった。
残念だったところ
錦戸亮演じる犯人が有能すぎるのがリアリティに欠ける部分だろう。
セキュリティが超万全なはずの火力発電所に爆弾を仕掛けられること自体が現実離れしている。
これがハリウッド映画だと「アメリカのテロ犯はスペック高めだなあ…」なんとなく納得してしまうが、日本を舞台にした話だと「そんなことできんの?」と目についてしまう。
TV局内に爆弾を仕掛けるのも難しそう。TV局内にも共犯はいるのか?でなければ無理だろう。その変のディティールがはしょられていた。
ただエンタメに重心を置いた映画なので、リアルさに突っ込むのは野暮だとも思う。
全体的には好みのサスペンス映画だった。
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