映画『アンダーニンジャ』を鑑賞。
シュール系コメディ『アンダーニンジャ』が福田雄一監督によってどう実写化されるのか?思った以上にヤバい感じになっていた。
あらすじ、ネタバレなし感想、ラスト結末のネタバレ解説、劇場観賞後の忖度なしの感想をまとめました。
映画『アンダーニンジャ』あらすじ・キャスト
キャストと相関図
雲隠九郎|cast 山﨑賢人(『今際の国のアリス』『ゴールデンカムイ』)
野口彩花|cast 浜辺美波(『六人の嘘つきな大学生』『ゴジラ-1.0』『シン・仮面ライダー』)
加藤|cast 間宮祥太朗
鈴木|cast 白石麻衣
山田美月|cast 山本千尋
蜂谷紫音|cast 宮世琉弥
瑛太|cast 坂口涼太郎
担任の先生|cast 長谷川忍(シソンヌ)
川戸愛|cast 木南晴夏
大野|cast ムロツヨシ
猿田|cast 岡山天音
主事|cast 平田満
吉田昭和|cast 佐藤二朗
教頭先生|cast 野添義弘
野口の父|cast 佐藤正和
野口の母|cast 映美くらら
ちょこっと感想(ネタバレなし)
人を選ぶどころではない。まず原作漫画やアニメの『アンダーニンジャ』がシュールすぎて人を選ぶ作品なことに加え、福田雄一監督も好き嫌いが大きく分かれることで知られる。
『アンダーニンジャ』も福田雄一も両方好きじゃないと厳しいきわっきわの作品。
アニメと原作漫画を少し読んでいる程度のニワカな私からすると、『アンダーニンジャ』の超シュールな要素が福田雄一監督の独特のセンスで中和されて非常に微妙な雰囲気になっていた。
原作やアニメの良い部分が中途半端になってしまった印象。下ネタも大幅カット…。
映画なので仕方ないがストーリーが大幅にカットされているため、原作漫画やアニメを見てない人は意味不明な物語になると思われる。
映画『アンダーニンジャ』ネタバレ・ラスト結末解説
ある日の夜、九郎は局部切断事件の犯人(外国人)と戦って敗れそうな鈴木を発見。間に割って入り、外国人を絞め落として倒した。
野口(浜辺美波)はクラスメイトの佐藤に九郎のことが好きになっていることがバレて慌てふためく。
鈴木(白石麻衣)は表向きは編集者であり、歴史小説家の吉田昭和(佐藤二朗)の家で原稿にダメ出しをしていた。鈴木は吉田のことが好きだった。
九郎は主事(雑務をこなす人/平田満)が忍者だと気づいてボイラー室へいく。そこで主事と戦いになった。
九郎は遁(NIN所有の人工衛星。レーザーでピンポイント攻撃ができる)の力を借りて主事の刀を折った。戦いは決着がつかずに終わる。主事は、NINとUN、そして国家の聖域である講談高校を守っていると話した。
九郎が外へ出るとクラスメイトの山田美月(山本千尋)がいた。
九郎(山﨑賢人)は野口の幼馴染で盗撮好きのクラスメイト・瑛太(坂口涼太郎)を不良の野辺地と東から助ける。
九郎の実力に感動した不良の野辺地は、講談高校の地下に伝説のヤンキー・左衛門三郎(さえもんさぶろう)が住んでいると聞く。九郎は珍しすぎる苗字・左衛門三郎に萌えまくった。
鈴木は道端でクノイチの教官を殺した猿田(岡山天音)に襲われる。
鈴木と猿田は忍術学校の同級生で、猿田に告白されて鈴木が思いっきりフッた過去があった。2人は戦うが、猿田が「おまえが死ぬのは今じゃない」と言って去っていった。
夜、九郎は野口の部屋へ行き「明日は学校に来るな」と言った。UN(アンダーニンジャ)による攻撃の情報が入っていたのだ。
翌日、九郎は学校裏から地下へ入る通路を見つける。左衛門三郎がいるのだろうか?九郎は上層部の命令を無視しして地下へ入っていく。
地下は巨大な空間で、迷路のようになっていた。しばらく進んでいくと山田美月がいる。彼女こそがアンダーニンジャだった。
講談高校の教室には猿田が侵入し、生徒たちを刀で斬殺しまくった。蜂谷と鈴木が止めに入る。猿田は最終的に加藤によって倒された。
怪我をした鈴木は瑛太や佐藤たちと一緒に、主事の指示で地下通路から脱出した。
遁(人工衛星)がUNに乗っ取られた。フルパワーのレーザーが講談高校に直撃する。高校は徹底的に破壊される。蜂谷と加藤はなんとか脱出した。
山田と戦っている九郎のところへ野口がやってくる。九郎は刀で山田と戦うが、お互いの腹に刀が突き刺さり、相討ちとなった。
九郎は野口にパーカーを渡す。九郎は力尽きて死亡した。地下空間も壊れはじめた。野口は瓦礫に埋もれながらもパーカーの防御力でなんとか生還する。
その後、野口の部屋に九郎がいた。死んだはずでは?彼は九郎の弟・十郎(山﨑賢人)だった。
映画『アンダーニンジャ』感想:心が虚無になる…
どう斬っていいのか難しい作品。とりあえず大部分がNot For Meではあった。
良かった点
忍者同士の戦い・アクションが期待していたよりも全然良かった。刀での戦いもそうだし、体術のせめぎ合いも打撃だけでなく足による絞技(外国人を倒したシーン)なんかもあったし、バリエーション豊か。
九郎が足の指をうまく使って相手の服をつかんでねじ伏せるシーンも忍者らしくて良かった。
キャストでいうと、山﨑賢人さんは原作の九郎の気だるい雰囲気をしっかり出せていたと思う。あとは瑛太を演じた坂口涼太郎さんもキモい感じがヒシヒシ伝わってきて良かった。
隣人・大野を演じたムロツヨシさんもハマり役だったと思う。山﨑賢人がブラジャーをつけるシーンはなかったのが残念だが、ムロツヨシがしっかりやってくれたのがグッド。
残念な点・ひどい点
悪い意味で心が虚無になるような作品だった。つまらないけれども全体的に脱力系だからか不思議と怒りは湧いてこない。
具体的にいうと、原作やアニメの超シュール(不条理)な展開が福田雄一イズムに置き換わっていたのが残念だった。
外国人がチ○コを切断していくめちゃくちゃ意味不明でシュールな展開、母乳変態の佐々魔(ささま)元一等忍尉のくだりなど不謹慎系がガッツリとカットされている。小学生たちが外国人を探すシュールな展開もなし。
また、それぞれのシーンが独立で存在しているように繋がりが感じられず、ストーリー性がほぼない…映画として致命的な感じになっていた。
一本芯の通った何か(キャラの成長でも謎でもなんでもいいんだけど)がない。よって起承転結もない。映画の構成としてどうなんだろ?
映画の2時間尺に収めるために外国人のくだりなど色々な部分がカットされているが、カットされてストーリーの推進力がなくなっていることに対してもはや開き直っている印象。
加えてそれぞれのコメディ要素もかなり微妙。
九郎(山﨑賢人)が勝手にビールを全部飲んで大野(ムロツヨシ)に怒られても悪びれずに「えっ」と言って、大野が喋っている途中で押し入れのとびらを閉めるくだりを何回もやる。何度も何度もなぜそんなに引き伸ばすんだよ…って感じだった。山﨑賢人が笑っているのでアドリブだろうけど、身内(制作陣)で盛り上がってノリで採用したように見えた。
面白くないわけじゃない。引き伸ばしすぎるせいで笑えなくなってくるのだ。くどくどやらないで、もっとスパッと終わったほうが良いのでは?
九郎がパーカーをステルスにする→もとに戻す、ここも何度も繰り返しすぎ。
グダグダした余計なシーンをたくさん入れるなら、もう少し外国人のパートを入れたほうが良かったのでは?
あとは浜辺美波(野口)は可愛いけど、テンション高めで九郎が好きなことを否定するシーンとか、口を開けながら気絶するシーンとか、「あ、ちょっと無理かも」って思ってしまった。浜辺美波でも無理、ウザさがK点を超えてる。
鈴木が作家の吉田昭和(佐藤二朗)のアパートでごちゃごちゃやるくだりも映画としてはいらない気がする。どこかで佐藤二朗のインパクトを出したかったからシーンを長めに入れました…みたいな印象。
同じく福田雄一監督の『新解釈・三國志』のように、アンダーニンジャも前半は微妙なコントの連続で構成されていた。
そして後半はわりと良いアクションがあるのだが、前半から話が地続きになっているように思えなくて眠くなった。あまり大した意味はなくそれぞれの場所でチャンバラしてるだけ。
福田雄一作品には熱烈なファンはいるのだろうけど、やはり私には良さがイマイチ理解できない。それを痛感した映画『アンダーニンジャ』だった。
十郎を主人公にした続編もあるのだろうか?いや、ないだろうな。
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