映画『グランメゾン・パリ』ネタバレ感想 三つ星は?衝撃ラスト結末の意味考察レビュー

映画『グランメゾン・パリ』(GRAND MAISON PARIS)

映画『グランメゾン・パリ』(GRAND MAISON PARIS)を鑑賞!

ドラマのストーリーがついにパリで完結した!

あらすじとネタバレなしの感想、

ラスト結末のネタバレ解説良い点・悪い点の忖度なし感想ラストで尾花が出した答えの本当の意味を徹底考察をまとめました。

映画『グランメゾン・パリ』あらすじ

映画前日譚のスペシャルドラマのあらすじはこちら↓

グランメゾン東京スペシャルネタバレ感想/全部ブチ壊すところから始めよう!映画前日譚ドラマあらすじ
2024年12月29日21時から放送された『グランメゾン東京のスペシャルドラマ』を鑑賞。ドラマ11話の続編でありながら、映画『グランメゾン・パリ』の前日譚でもある本作。あらすじとネタバレありのラスト結末解説。映画の予習にどうぞ。そして最後に...

フランス・パリで『グランメゾン・パリ』をオープンして数年。京野陸太郎(きょうの りくたろう/沢村一樹)が尾花夏樹(おばな なつき/木村拓哉)にミシュランの審査の結果を告げる。今年も2つ星だった。がっくりとうなだれる尾花。

有名料理人たちを呼んでの食事会でグランメゾン・パリチームが料理を提供することになる。リンダ(冨永愛)もきていた。

尾花は早見倫子(はやみ りんこ/鈴木京香)のソースにダメ出し。現場は最悪の空気で、料理の評判も悪かった。

日本人だからか、仕入れでは数年経った今もまだ最高の食材を卸してもらえない。

尾花は師匠でありグランメゾン・パリにテナントを貸してくれているルイから「次の借りてがいるから出ていってくれ」と言われる。

尾花は、次のミシュランで三つ星を取るまでは待ってくれ!と言った。

グランメゾン・パリのメンバー:尾花、倫子、京野、相沢(及川光博)、パティシエのリック・ユアン(オク・テギョン)たちは、再び心を一つにして最高の料理を提供できるのか?

ちょこっと感想(ネタバレなし)

ドラマ11話とスペシャルドラマを締め括るのに相応しい出来栄えだった。

革新的で美しいフランス料理が映画館の巨大スクリーンを彩る。見ているだけで美味しい

つい先日、お財布と勇気を振り絞って高級フレンチを食べに言った私にはタイムリーな“食べる”映画だった。

レストラン存続の危機に対しての起死回生の一手も良かったし、フランス料理のなんたるか?に挑戦するコンセプトも完璧にはまっていた。

劇的なラスト結末にも大いに感動。年末に見るべき映画はコレ!

いっぽうでドラマ未視聴の人が楽しめるかは微妙なところだと感じた
登場人物の背景はほとんど描かれない。尾花、倫子、京野の3人の関係性についてはドラマを見て体に染み込ませたほうが絶対に楽しめると思う。

グランメゾン・東京の祥平(玉森裕太)、芹田(寛一郎)、萌絵(吉谷彩子)たちの出番がほとんどないのも寂しかった。

映画『グランメゾン・パリ』ネタバレ・ラスト結末

尾花は料理の腕が鈍ってきた倫子に八つ当たりする。倫子は「店を辞める」と言った。尾花は「クビにしようと思っていた」と憎まれ口で返す。倫子は出ていった。

尾花、相沢、小暮(正門良規)たちは肉や野菜の卸業者に一級品を降ろしてくれと頼み込むが、地元に馴染みのない日本人シェフだと思われて断られ続ける。

6カ月後。

尾花は借金取りに殴られているパティシエ・ユアンを助ける。彼の家に行くと、デザートに使う食材が所狭しと並べられていた。高級な食材で研究するために借金をしていたのだ。

ユアンは、昔パリでエスコフィユ(尾花の前の店)で料理を食べたときに感動したと当時の心境を話す。

しかしその後、借金取りはレストランまできて警察沙汰になった。

尾花はルイに呼び出され「店を立ち退いてくれ」と言われる。前途ある次の料理人に貸したいというのだ。

尾花は「次のミシュランで必ず三つ星を取るから、それまでは待ってくれ」と頼んだ。

相沢が必死に頼み込んだ結果なのか、肉屋だけは一級品をおろしてくれるようになった。

そんな中、倫子が店に戻ってきて、ホールスタッフとして働くという。尾花は文句を言ったが、京野が独断で決定していた。

尾花と倫子は最高級のキャビアを卸してくれと頼みに行く。責任者に最高のキャビア料理を作って食べさせた。しかし「地元の料理関係者とのしがらみがあるから…」と断られた。

倫子はもうダメかもしれない。諦めようと言う。尾花は諦めるわけねえだろ!と返した。

ある日、ユアンの部屋に借金取りが来て、彼を縛って火をつけていく。尾花はユアンの不在に気づき、爆発ギリギリのところでユアンを助けた

鎮火したが、火事のせいでユアンのアパートに隣接する老舗のチーズ屋で温度管理ができなくなってしまう。尾花は店の責任だからと全部買い取ることにした。

仲間が借金取りと火事の被害にあったにもかかわらず尾花はチーズ店を助けたと巷で話題になり、八百屋や魚屋が最高級品をおろしてくれることになった。借金取りは逮捕される。

尾花はグランメゾン・パリのチームメンバーに頭を下げ、最高のコース開発に協力してほしいと言う。みんなの心が一つになる

買い占めたチーズはグランメゾン東京の祥平に送り、代わりに湯浅から味噌や酒を送ってもらった。

それ以外にも韓国や中国、マレーシア、スコットランドなど各国の食材を集め、多様な人種が集まったスタッフで多様性のある料理を提供することになった。

尾花は、肉屋が一級品を卸してくれるようになったのは、店を辞めていた倫子がしばらく肉屋に勤めて頼み込んだからだと知った。

そして倫子の腕が落ちたのはコロナで味覚障害がしばらく出ていたからだと判明。今は完全でないまでも感覚が戻っている。

倫子はスーシェフに戻った

グランメゾンパリ、木村拓哉と鈴木京香

ついに最高のコース料理が完成。尾花の師匠のルイ、息子のパスカル、リンダが食べにくる。

ルイは感動し、日本語でごちそうさまでしたと言った。

リンダもこれまで食べたフレンチの中でも最高の体験だったと絶賛の記事を書く。

ミシュランの発表会。ついに尾花夏樹シェフのグランメゾン・パリが三つ星を獲得。尾花がスピーチの壇上に立つ。倫子や京野は歓喜した

映画『グランメゾン・パリ』終わり

『グランメゾン・パリ』感想レビュー(ネタバレ)

良かった点

ついに尾花が三つ星獲得★★★!尾花はもちろん、倫子や京野のこれまでの努力が実った瞬間に感極まれり!受賞スピーチの真っ只中でのフィナーレが最高にかっこよかった。

ドラマの最後では倫子が東京で三つ星を獲得して、映画で尾花がついに本場フランスで三つ星!

尾花が倫子の夢を叶え、今度は倫子が尾花の夢を叶える。これ以上の終わり方はないだろう。

個人的に1番感動したのは、師匠のルイから「三つ星以上、四つ星だ!」と言われた終盤のシーン。師匠がそんな言葉をかけてくれるなんて…という予想を超えた感動があった

フランスが地元じゃないから一級品を卸してもらえない展開…これ、熱意だけで解決したら冷めるな〜と思ってたら、火事の被害にあったチーズ店の商品を全部買い占め、義理人情がフランス人にも伝わるというかなり納得感のある方法で解決してくれた。

黒岩勉さんの脚本は意外性があって本当に素晴らしい。監督の塚原あゆ子さんも『アンナチュラル』『MIU404』『ラストマイル』『海に眠るダイヤモンド』などヒット作を連発しているのがうなづけるクオリティだった。

ユアンが倫子の味噌を見てデザートのアイデアを思いついたり、相沢がユアンの料理をヒントにして新作を考えたりする各スタッフの横の繋がりもよかった。

また考えてみるとストーリーの構成がすごく『ロッキー』的だと感じた。

序盤から中盤にかけてロッキーが自分のこだわりや性格のせいで家族やトレーナーと関係が崩壊→なんとか信頼回復してみんなで頑張る→最後に試合。

グランメゾン・パリもほぼ同じ構成。ロッキー=尾花で、ボクシングの試合=フランス料理のフルコースなのである。

グランメゾンはスポコン青春モノだよね。

残念だった点

あくまでドラマ11話とスペシャルドラマの地続きのストーリーで、単体の映画として超傑作か?と言われると微妙なところ。

グランメゾン・パリからの初登場メンバーの背景を描く時間がほとんどないのも残念だった。
2PMのオク・テギョンが演じたユアンはいいとして、小暮(正門良規)についてはキャラをつかむまえに物語が終わってしまった

とりあえず小暮が芹田ポジションだということはわかったが、芹田の代わりでしかなかった印象。もし続編があれば小暮の魅力をもっと見せてほしい。

東京メンバーもほぼ出てない。味噌と酒を送っただけ(笑)。もうちょっと東京メンバーの凛々しい姿を拝みたかったなあ。

また、ユアンが借金取りに狙われる構図はドラマ第1話の尾花と重なってはいるのだが、食材を買いすぎて借金して追われるってちょっとアホすぎると笑ってしまった。

映画『グランメゾン・パリ』考察:ラストの本当の意味

師匠ルイが言っていた「フランス料理の伝統」に対して、尾花が出した答えはなんだったのか?

さまざまな国の料理を組み合わせた多様性の料理で対抗した!という回答だと不十分だと感じた。

もちろん多様性を活かしたことは事実だが、尾花はそれ以上の伝統的なフレンチの概念を破壊するのが真のフレンチという答えに辿り着いた。

フランスでは絵画の世界でも印象派(マネとかゴッホ)が1800年代に日本の浮世絵を取り入れた。そしてそれまでの絵画を壊した。

哲学(この言葉を聞くだけでもいやな人は多いかもだけど)の世界でもフランスの現代思想は20世紀の柱であり、伝統や固定観念を徹底的に破壊してきた。

ある面ではフランスの伝統=伝統の否定なのである(もちろん普通に表面的な伝統も重視されているだろうけど)。

さまざまな国の料理を組み合わせたことだけが答えではない。

伝統を否定した革新・生まれ変わりこそがフランス料理の伝統!というフランス現代思想・脱構築的なコンセプトが最後に提供したコース料理にうまく当てはめられていた。

伝統を守ること=伝統を壊すこと…そんな矛盾する命題に料理で答えを提示した点が素晴らしい。

「俺たちは日本独自の文化や多様性で勝負するぜえ!」という安直さだけではなく、フランスの壁に正面から向き合っていたことがストーリーの奥深さに繋がっていたと思う。

単なる多様性万歳映画ではないと感じた。

制作陣はここまで考えて作っているのだろう。映画のコンセプトにも舌鼓!

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