Netflix映画『木曜殺人クラブ』(The Thursday Murder Club)を鑑賞。
高級施設で暮らす老人たちのウィットに富んだ会話と、二転三転するミステリーが楽しめる!世界的ベストセラーシリーズの実写化!
- あらすじ
- ラスト結末までネタバレ解説
- 感想と評価:新しい老後
- 殺人事件の背景にあるイギリスの闇
これらを徹底解説していきます!
Netflix映画『木曜殺人クラブ』作品情報・予告
キャスト
エリザベス(元スパイ):ヘレン・ミレン(『クィーン』『ゴスフォード・パーク』『RED/レッド』)↓
ロン(元労組活動家):ピアース・ブロスナン(『007/ゴールデンアイ』/『トーマス・クラウン・アフェアー』/『マンマ・ミーア!』)↓
イブラヒム(元精神科医):ベン・キングズレー(『ガンジー』/『シンドラーのリスト』/『ヒューゴの不思議な発明』)↓
ジョイス(元看護師):セリア・イムリー(『ブリジット・ジョーンズの日記』/『カレンダー・ガールズ』/『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』)↓
ドナ・デ・フレイタス巡査|cast ナオミ・アッキー
イアン・ヴェンサム|cast デヴィッド・テナント
ボビー・タナー|cast リチャード・E・グラント
スティーヴン(エリザベスの夫)|cast ジョナサン・プライス
あらすじ:舞台は英国の高級リタイアメント施設〈クーパーズ・チェイス〉。ここで毎週木曜に集まるのが“木曜殺人クラブ”――元MI6の切れ者エリザベス、元労働組合のリーダーで熱血漢のロン、温厚な元精神科医イブラヒム、そして新参の元看護師ジョイス。
みんなで木曜日に集まっては未解決事件の“真相当て”をしている。そんな中、施設の共同オーナーの一人、トニー・カランが自宅で殴打され死亡する実際の殺人事件が起きてしまい…。
ネタバレなし感想と見どころ
英国コージー・ミステリーの王道ともいえる作品で、原作小説のファンたちにとっては待望の実写化となった。
キャストもミレン、ブロスナン、キングズレーといったイギリス映画界の超有名どころが集まり、期待値爆あがり!
思っていた通りというべきか、高級老人ホームを舞台に、血なまぐささは抑えめ、洒落た会話と人間味あふれるキャラクターが魅力的。
ただ、人生経験あふれる高齢者のユーモラスな会話は楽しいが、個人的に殺人ミステリーとしてもう少し刺激が欲しかった。
イギリスのサスペンス×コメディとしては、『ナイブズ・アウト』シリーズの方が断然好み。


映画『木曜殺人クラブ』ネタバレ・ラスト結末の解説
開発計画と第二の犠牲者
クーパーズ・チェイスのもう一人の共同オーナー イアン・ヴェンサム は、離婚や資金難から施設の土地をディベロッパーに売り払おうと強行手段に出ようとする。
トニーが殺されてからさらに数日後、老人たちのデモ集会のさなかにヴェンサムが突然倒れて死亡――体内からフェンタニルが検出された。
背後にいた裏社会の大物、犯人の自白
エリザベスたちは、施設に第三の出資者が潜んでいた事実に到達。その人物こそが裏社会の大物ボビー・タナーだ。
ボビーはポーランドから移民を受け入れてパスポートを奪い違法労働に従事させていた。
ボビーは殺されたトニー・カランの仲間だった。エリザベスはボビーに会い、友人のポーランド人労働者・ボグダンがカランにパスポートを奪われていたことを聞いた。
ボグダンが、トニー殺害を“事故として”自白。没収されたパスポートを取り返そうともみ合い、結果として致死に至ったという供述だ。ボグダンは逮捕される。
1970年代の失踪事件、ラスト結末
木曜殺人クラブはもともと古い未解決事件――1970年代にアンジェラ・ヒューズが何者かに殺され、その恋人 ピーター・マーサーが失踪した事件を追っていた。
エリザベスは、ボグダンが開発で墓を掘り返して発見した白骨遺体が、失踪したピーターのものであると推理した。
エリザベスはクラブの創始者で元警部補のペニー(今は意識不明で療養中)が、アンジェラ殺しの真犯人で当時無罪になりそうだったピーターを殺し、その夫ジョンが墓に埋めたことを突き止めた。
ヴェンサムが土地開発で墓を掘り返せば、ペニーが殺したピーターが発見されてしまう。そこでジョンはヴェンサムを殺したのだった。
ジョンは警察に逮捕されるのではなく、寝たきりで意識のない妻・ペニーと2人一緒に自死する道を選んだ。
エリザベスたちはペニーとジョンの葬式で悲しみを見せる。
正式にクラブの一員となったジョイスの娘がクーパーズ・チェイスを買い取ってクーパーズ・チェイス存続の道が開ける。
映画『木曜殺人クラブ』感想と評価:孤独と共同体の再生
老人ホームという「人生の終着点」に見える場所が、実は人々の知恵と絆が再び交錯する舞台になっていたのが非常に興味深い。
歳を取ったらクーパーズ・チェイスで暮らしたいと本気で思えた。
クーパーズ・チェイスと木曜殺人クラブは孤独な現代社会における新しい共同体のモデルといえるだろう。日本にもこういう施設あるのかな?高そうだけど…。
殺人事件が起こったらニヤけるジェイスなど、イギリスらしいブラックジョークが随所に盛り込まれていたのも笑える。一方で、酸いも甘いも経験してきたエリザベスたちは殺人くらいで動揺しないという頼もしさもある。
さらに、1970年代のピーター殺しの犯人だったのが施設で寝たきりのペニーで、旦那のジョンが妻と心中を図ろうとしているのをエリザベスたちは全員知っていたが退室している。
老人同士、最後は尊厳を守る。悲しいけど慈愛にも満ちた結末だった。
『木曜殺人クラブ』考察:犯人の背景にあるイギリスの闇
背後にイギリスの移民問題
事故で雇い主のトニー・カランを殺してしまったポーランド人移民・ボグダンの例はイギリスが抱える深刻な社会問題。
イギリスでは2004年のポーランドEU加盟をきっかけに多くの移民労働者が流入した。移民は建設や農業で不可欠な存在となったが、ブレグジット(イギリスのEU脱退)後はEU市民であっても労働にビザやスポンサーが必要となり、雇用主への依存度が増して搾取されやすくなった。
典型的な流れは、仲介業者に「高賃金」を約束されて借金を負って周辺国からイギリスへ渡る→到着後は住居と移動を雇用主に握られて逃げられなくなるというもの。
最低賃金や有給が外され、賃金は派遣会社や下請け・孫請け会社を経由して不透明になり、パスポート預かりや通報の脅しで沈黙を強いられる。ボグダンのようなパスポートを預かられるケースは事実としてあった。恐ろしい。
移民労働者は借金や雇用主への依存で問題に声を上げにくい。
これが映画でボグダンが殺人を起こしてしまったキッカケとなっている。ボグダンのような労働者はグレーゾーンの仕事に対しても文句は言えない。さらに自分も移民なのに移民を仲介して搾取する側に回る人もいる。
1970年代の事件に絡む女性蔑視
1970年代当時の警察は圧倒的に男性社会。昇進や捜査の主導権は男性に握られ、女性は「補助要員」とみなされることが多かった。そのため、女性警官が重大事件を追及しても組織内で軽視され、声を無視されることは珍しくなかった。
同時に、性犯罪や家庭内暴力に対しても社会的偏見が強く、被害者の証言は「感情的」「信頼できない」とされがちだった。
結果として、加害者が有力な立場の男性や地域の有力者である場合、無罪や不起訴となるケースが多発。つまり、女性の被害は切り捨てられていた。
アンジェラ・ヒューズが殺された事件も、男性社会によって闇に葬られた典型例といえる。
恋人のピーターが足を負傷した名誉軍人で、地元の権力者と繋がりがあったと示唆されていた。
ペニーはピーターへの疑いの声を無視され、さらにピーターが殺人を犯しながら罪を逃れようとしており我慢の限界だったのだろう。
ペニーの殺人は歴史に埋もれてきた「女性警官の孤独な闘い」や「男性権力による犯罪の隠蔽」を象徴している。
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