
Netflixドラマ『ストレンジャーシングス5』(シーズン5)を最終回まで鑑賞!
特に最終回8話が素晴らしく、感動のフィナーレを迎えた。しかし、いろいろな疑問が残る。
- ラストの本当の意味:エルは生きている?死んでる?
- ヴェクナ(ヘンリー)の過去と、世界を破滅させようとした本当の動機
- アタッシュケースの中身は隕石?
- ホッパーがエルの選択を尊重した理由
これらのストーリーの疑問点&考察に加えて、シーズン5の物語構造やテーマの解説をまとめました!
(ストーリーのあらすじ最終回の結末解説はコチラ↓)




『ストレンジャーシングス5』ストーリー考察まとめ(ネタバレ)
ラストの本当の意味:エルは生きている?死んでる?
エル(イレブン)はみんなで軍のゲートを出て現実世界に戻ったあとで、裏側世界に残って死ぬことを選択。エキゾチック物質の大爆発にのみ込まれて死亡したかに見えた。
しかしマイクは、それから18カ月後の卒業式でスピーカーがハウリング(音が回った)したのを聞いて「エルとの別れ際に、彼女は能力を使って意識の中に僕(マイク)を招いた。そのとき、軍は高周波の音響装置を使っていたのでは!」と回想する。
みんなが最後に見たエルは、ギリギリ息のあったカリが作った幻影で、エルは死んだと見せかけて軍の追走劇に終止符を打った。(カリはいずれにしろ死亡したと考えられる)
ラストシーンでは、2つの滝がある場所にたどり着いたエルの姿も映し出される。
エルが生き延びて新天地を見つけたという希望の結末が示唆されている。
エルはホッパーから「幸せに生きて、今度はお前が子供を心配する未来がくる」と言われ、自ら命を絶つことを考え直したのだろう。
エルがマイクたち全員を騙してまで自分が生きていることを伝えなかった理由は、自分が生きているという情報が万が一にでも漏れれば再び軍の超能力兵器開発プロジェクトが始動→マインドフレイヤーに再びこの世界に近づくチャンスを与えてしまうと考えたから。
エルが生きている場合には、裏側世界が消滅したことによって能力や記憶を失っている細かいパターンもあり得る。
いっぽうで、すべてがマイクの願望であり、エルは死んでいるという解釈もできる。
マイクたち全員が軍につかまった時、高周波装置の音は聞こえなかった。装置が作動していたかは微妙なところだ。
また、アビスの石の力を受け継いだヴェクナの血を受け継いだエルが生きていること自体、マインドフレイヤーに再び世界を破滅させるチャンスを与えることにもなってしまう。
惑星アビスの全貌は明らかになっていないが、他のマインドフレイヤーやさらに上位の存在がいる可能性もある。石の能力を受け継いでいるエルが存在すること自体が地球にとっての危険要素なのだ。
エルは自分がマインドフレイヤーに洗脳される未来まで予想し、やはり自分が死ぬしかないと結論づけた可能性もある。
エルが爆風に巻き込まれる直前にかかっていたのはプリンスの名曲・パープルレイン。
パープルレインの歌詞は抽象的で、簡単に説明すると“世界の終末を舞台に失った愛について歌っている”内容。「青い空が血で染まる=紫の雨」という意味が込められているらしい。
エルとマイクの関係の終わりを意味するのか、エルの人生の終幕を意味するのか。どちらの意味にも取れる。
結論からいえば、エルが生きているようでいて、真実は誰にもわからないという二重性のあるラストだった。
エルは生きている希望に満ちた結末と、世界のために犠牲になった悲しい結末。あなたはどちらを選ぶだろうか。
もしくは、絶望(青)と愛(赤)の中間色が紫であるように、どちらかの結末を選びきらないパープルの曖昧さを味わってもよいかもしれない。エルとマイクが初めて出会った6年前のシーンでも雨が降っており、反射で紫色に見えた。
ヴェクナ(ヘンリー)の動機と過去、アタッシュケースの中身は隕石
ヘンリー少年(ヴェクナ)には、追っ手におびえる研究者を助けようとしたが殺してしまった過去がある。
研究者が持っていたアタッシュケースの中身=赤い石がヘンリーと一体化。マインドフレイヤーの声が聞こえるようになり、超能力を使えるようになる。
赤い石はマインドフレイヤーの体の一部だろうか。惑星アビスの力が宿ったものであることは確実だ。
いずれにせよ、マインドフレイヤーが地球を支配するために隕石として送り込んだものだろう。
隕石が地球にやってくるまで何万年かかっただろう。地球侵略は何万年という長い年月をかけて計画されていたと推測できる。
隕石を送る→誰かを操る→裏側世界(アップサイドダウン)をワームホールとして構築させる→惑星アビスを衝突させて一気に支配する…こんな計画だったと考えられる。
ヘンリーに殺された男性は軍の研究者だろう。研究者は軍で赤い石(アビスからの隕石)を研究していたが、それが異次元への扉を開いてしまう危険なものだとわかり、赤い石を持ち出して軍に追われていた。ヘンリーが逃げていた彼を見つけた…という経緯だろう。
研究者に手を撃たれたヘンリーは、近くにあった石で研究者を撲殺した。おそらく、マインドフレイヤーに操られて攻撃性が増し、殺人を犯してしまった。
ヘンリーは良心を葛藤させる。その葛藤をマインドフレイヤーにつけ込まれてさらに心を蝕まれ、地球侵略に手を貸すことになってしまったのだろう。
ちなみにマックスが見たヘンリーの過去で、ヘンリーがジョイスやホッパーと同級生だとわかる。もしかすると、ヘンリーはこのときから器にするならジョイスの息子がいいかな?と第六感で考えていたのかもしれない。
ホッパーがエルの選択を止めなかった理由
シーズン5でのホッパーの1番の願いはエルの生存だった。
ホッパーはエルに病死した娘・サラを重ね、絶対に死なせたくないと思っていた。
そんな彼が、なぜエルが岩を飛んでアビスに直接行くことを許したのだろうか?
そしてエルが死んだ後も、その死を受け入れてジョイスと新しい未来を築くことができたのか?
ホッパーは、エルの「私はサラじゃない」という言葉で悟ったのだと思う。エルはもう子供じゃない。精神的に自立した大人なのだと。
だから彼女が戦いと死を選択したことも受け入れられたのだと思う。
ホッパーはサラを失ったときからずっと自分を責め続けて生きてきた。しかしエルを失ったあとで自分を責めるのをやめた。なぜ同じ“失う”で前を向くことができたのか。その対比は言語化できないほど美しく、尊い。
私の結論としては、ホッパーはエルを失ったことで、サラを失ったことも受け止めきれたのだと感じた。確かに娘は死んでしまったが、娘と過ごした時間は消えない。そんな娘との思い出を宿す自分を大事にしなければならない…そんなふうに悟ったのだと思う。
エルが自立したことだけでなく、ホッパーが2人の娘の父親として成長した姿が見られたのがシーズン5の最終話だった。
『ストレンジャーシングス5』テーマの考察まとめ(ネタバレ)!
4つの世界で繰り広げられた冒険
©︎Netflix
シーズン5では↓↓
- 現実
- 裏側の世界(アップサイドダウン)
- 惑星アビス
- ヴェクナの集合意識
主にこの4つの舞台でストーリーが繰り広げられる。
クリストファー・ノーラン監督が『インセプション』で見せた現実と夢合わせて5階層の世界よりはまだマシかもしれないが、ストレンジャーシングスの4階層の世界にも頭を混乱させられた。
最終回ではたくさんの登場人物が4つの世界にバラバラに登場↓
- 現実→ヴィッキー、マックス、ドクターケイ
- 裏側の世界→ホッパー、マレー、カリ
- 惑星アビス→エル、ウィル、スティーブ、ダスティン、ナンシー、ジョナサン、マイク、ジョイス
- ヴェクナの集合意識→ホリー、デレク、マックス(意識だけ)
この他にエルの意識も登場し、エルはそこからヴェクナの集合意識へ直通で行ける。ややこしい。
ホッパーが研究室の水槽を叩いてエルに合図を送るシーンなど、それぞれの階層での連携が見どころだった。
“裏”側世界でジョナサンがナンシーにアンプロポーズするシーンも面白い。普通なら別れを切り出すときにネガティブな感情になってしまう。それをアン(反対)プロポーズという肯定的なカタチに出来たのは、裏側世界のパワーあってこそだろうか。
そう考えると、現実世界では日陰者のオタクたちが裏側世界ではヒーローになるわけだから、表裏2つの世界で役割が構造的に反転していて面白い。
ヴェクナ=負の再生産をする者
ストレンジャーシングスシリーズはずっと、ナード(オタク)たちの友情が世界を救うというコンセプトで進行してきた。
シーズン5でヴェクナの過去や、6年前にウィルが誘拐された理由などが明かされたことで、さらに具体的なメッセージが伝わってきた。
それは、世の中には負を再生産してしまう人と、負の遺産を断ち切れる強い人がいるというメッセージだ。
負の遺産を再生産をしてしまったヴェクナと、負の遺産を断ち切ったウィルたちの対比の構図がある。
(ウィルが言ったように)ヴェクナもマインドフレイヤーに選ばれた被害者だった。マインドフレイヤーの目的を実行する器だったのだ。
そんなヴェクナが今度はウィルを器として誘拐する。
この被害者が加害者になってしまう構図は現実でもよくある。
いじめられっ子だった子が、標的が他の子に移った途端にいじめを回避するためにいじめる側に回るパターン。
虐待を受けた子が大人になって虐待をしてしまう「虐待の世代間連鎖」。
さらに私たちは「上位1%の富裕層が世界全体の個人資産の38%くらいを所有しているってなんかおかしいよね…」と気づきながら、GAFAM(ガーファム/巨大IT企業Google、Apple、Facebook(Meta)、Amazon、Microsoft)に投資したりしている。
普通に生きている限り、何らかの形で資本主義の格差拡大に貢献してしまっているのだ。
なんだか話が壮大になってしまったが、最終話のジョナサンは『反資本主義』というタイトルのホラー映画を作っていたし、ダファー兄弟ら製作者たちにも、こういった様々な種類の負の連鎖を止めたいという願いがあることは確かだろう。
ヴェクナが肉のくだでホリーたちに注ぎ込んでいた灰色の気体は、負の遺産の象徴にも見える。
ヴェクナはずっと1人だった。いっぽうでウィルには、マイク、ダスティン、ルーカスら親友がいた。この違いも大きい。
強引にまとめてしまえば、仲間たちと助け合えば負のスパイラルから抜け出せるというよくあるメッセージに見えるが、もう少し具体的な、負の連鎖に加担してしまう者と、その連鎖を断ち切れる者たちの対比構造があった。
なぜ子供たちがマインドフレイヤーの“器”として選ばれたかについては、悪意や善意を描くキャンパスが無限大に広いからだろう。現実社会でも子供は確かに器で、大人が放つ悪意や善意を存分に吸収してしまう。
ウィルやマイクたちは、そういった悪意に晒されても、子供達ならではの勇気でそれを跳ね除けることができた。
最後にマイクは妹・ホリーたちがD&Dで遊ぶのを見て、地下室の扉から出た。扉がパタンとしまってはいるが、それは世代間の断絶を表しているのではなく、勇気が次世代へ継承された表現に見えて感慨深かった。
2016年7月から2026年1月まで9年以上…制作陣もキャストもお疲れ様でした。ダファー兄弟の次回作も楽しみ!



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