映画『真相をお話しします』を鑑賞。大森元貴(Mrs.Green Apple)と菊池風磨のW主演で送るサスペンス。結城真一郎の同名小説が原作だ。
自身の衝撃体験を語って多額の投げ銭を集める生配信で、衝撃的な4つの事件が告白されていく!
4つの事件から紡がれる想定外過ぎるラスト結末に驚愕!予想していたより全然面白かった。
- あらすじ・キャスト登場人物の相関図
- ネタバレ・ラスト結末解説
- ラストの意味やコンセプトの考察
- 原作小説と映画の比較
- 忖度なしの感想と評価:良い点・ダメな点
これらの情報をまとめました!

映画『#真相をお話しします』あらすじ・作品情報
キャスト 登場人物の相関図
©︎公式サイト
鈴木|cast 大森元貴(Mrs.Green Apple)
桐山(警備王)|cast 菊池風磨
#真相をお話ししますの管理人|cast 岡山天音
ヨガ教室を経営者する女性|cast 中条あやみ
剣持ケント|cast 伊藤英明
女子大生・美雪|cast 福本莉子
主婦|cast 桜井ユキ
宇治原(桐山の親友)|cast 伊藤健太郎
茂木(桐山の親友)|cast 栁俊太郎
カテキョ(本名は片桐)|cast 綱啓永
(音声のみ出演)二宮和也
ネタバレなし感想
邦画サスペンス系は結構微妙な作品が多いけど、本作はアタリ!
期待を大幅に上回るクオリティだった。
最悪で奇怪な4つ事件のフルコースが堪能できてお腹いっぱい。1粒で4度美味しいサスペンスだった。劇場で見て損はない。
厳密にいうと、設計が優れているタイプの作品でディティールや行動原理に多少のツッコミどころはある。そのあたりを許容できるか否かで評価が大きく変わってくると思う。
またサスペンスとしてのつくりが面白いだけでなく、SNS社会に対して痛烈な問題提起を投げかけている点も評価したい。
生配信型のエンタメサスペンス作品だが、深く考えさせられる部分も多かった。
映画『真相をお話しします』ネタバレ・ラスト結末
惨者面談(三者面談)
1人目のスピーカー(告白者)はアカウント名・カテキョ。本名は片桐(演-綱啓永)。
片桐は大学時代に家庭教師の営業のバイトをしており、事前に会社がアポを取っていた矢野家を訪問した。近所では空き巣被害の捜査でパトカーが止まっている。
矢野家の前にはゴミが散らかっており、家の中で叫び声が聞こえた。何かがおかしい。
片桐が中に入ると母親の真理(演-桜井ユキ)と息子・悠(はるか)がいた。
悠は怯えており、真理の態度もおかしい。事前情報によると息子の名前の読みは「はるか」にもかかわらず、真理は「ゆう」と呼んでいる。
片桐が悠に練習問題を解かせる。悠は「110」と答えを書いた。110番のことだ…片桐は自分が履いているスリッパの裏に血がついていることに気づく。
片桐はパニックになって部屋を出た。トイレに悠の本当の母親・真理の死体があった。
その後、母親・真理のフリをしていた女性は捕まった。女性の正体は少し前に隣に越してきた主婦・桂田恵子だった。
桂田は真理とトラブルになり、もみ合いになったときに誤って彼女を殺してしまった。
その直後に片桐が訪問して来たので真理のフリをして乗り切ろうとしたのだ。
その後、片桐は悠の父親・慎一と会ってさらなる衝撃の事実を聞かされる。なんと息子の悠は半年前に交通事故で死んでいた。悠が死んだあと母親・真理は気が変になり、隣人・桂田(桜井ユキ)とトラブルになったらしい。
では片桐が見た悠の正体は? たまたま矢野家に空き巣に入った少年だった。
少年は空き巣に入ったときに桂田が真理を殺害した現場にでくわした。
桂田は空き巣の少年を悠だと思い、脅して従わせていたのだった(訪ねてきた片桐に何も問題がないように見せるため)。
ヤリモク(パパ活)
2番目のスピーカー・ミーコが語り出す。
巷ではパパ活女子が6名殺される事件が起こっていた。各現場には「マッチングアプリ利用女子懲らしめ隊」の文字が残されている。
剣持ケント(伊藤英明)がアプリで知り合った若い女の子・マナの自宅マンションへ入った。
ケントには妻子がある。ケントは娘の美雪(福本莉子)がパパ活をしていることに悩んでいていた。
ケントがシャワーから戻ってくるとマナの彼氏だと名乗る元締めらしき人物(原嘉孝)がいる。マナは美人局だったのだ。
ケントは笑いながら彼氏をナイフで殺す。そしてマナも殺した。
パパ活女子を殺していた犯人=マッチングアプリ利用女子懲らしめ隊の正体=ケントだった。
ケントは娘・美雪のパパ活をやめさせたくて、恐ろしい事件を起こしていたのだった。
2人を殺したケントはマナの彼氏(元締め)のスマホを見て、娘の美雪も彼と関係があり美人局をやっていたと知り、パニック状態で部屋から出ていく。
その時に指紋のついたガムテープを回収し忘れたため、ケントは逮捕された。
警備王の話:三角関係(三角奸計)
警備王・桐山(菊池風磨)がスピーカーに選ばれて喋り始める。桐山はある事件後に人生が暗転し、現在は警備の仕事をしていた。
告白の内容:東京で商社マンをしていた桐山は、大阪にいる大学時代の親友・茂木(栁俊太郎)から電話を受け、宇治原(伊藤健太郎)も合わせた親友3人組でリモート飲みを開催。
茂木と宇治原は向かい同士のアパートに住んでいた。茂木は桐山に、宇治原が向かいのアパートで手を振っている映像を見せる。
3人は誰が1番早くUber Eatsを呼べるかの勝負を始める。
桐山と茂木は宇治原から「婚約者の有村ほの香が浮気をしている」と悩み相談された。宇治原は大学の時に浮気をした彼女を殺そうとして止められたことがある少しヤバいやつだった。
そんなとき、茂木の部屋の奥に一瞬謎の女性が映った。
桐山に宇治原からメールが入り、「俺の婚約者と浮気してるのは茂木。婚約者に仕掛けたGPSが茂木の家を指している。今から茂木を殺しに行く」と書かれていた。
宇治原がチャットから抜けていた。桐山は茂木に「宇治原が来ても絶対にドアを開けるな!」と言った。
そんなとき桐山の部屋に彼女のミナミがやってくる。その直後、茂木から宇治原の彼女の写真が送られてきた。なんと桐山の彼女・ミナミだった。
桐山はミナミにどういうことかを問いただす。
ミナミは、宇治原のSNSで桐山の写真を見て気に入り、偽名で近づいた…と告白した。桐山の彼女・ミナミ=宇治原の婚約者・有村ほの香だった。
突然、大阪にいるはずの宇治原が桐山の部屋に現れた。
宇治原はリモート飲みにバーチャル背景で参加し、ずっと桐山のマンションの前で待機していた。Uber Eatsを呼ばせて桐山の部屋を特定し、鍵が開いている(彼女がくるから)とわかると侵入。その後は風呂場に隠れていたのだ。
すべては宇治原と茂木が、桐山が婚約者だと知ってて付き合っているか確かめるために計画したことだった。茂木の部屋の女性も、宇治原のアパートで手を振っていた人物も茂木の友人だった。
宇治原は「桐山はミナミが自分の婚約者だと知らなかった…」と知り、婚約者をハンマーで撲殺した。
告白が終わる。桐山は500万円もの投げ銭を手にした。
ふるはうすデイズの真実、ラスト結末
最後のスピーカーはなんと桐山の隣にいた鈴木だった。鈴木こそが「ふるはうすデイズ」で人気だった少年・チョモランマだったのだ。
鈴木と管理人・砂鉄はふるはうすデイズ事件の真相を知らしめて復讐するために「真相をお話しします」のサイトを立ち上げたのだった。
鈴木は腰や全身に腫瘍があり、余命1年だった。
鈴木はなぜ「ふるはうすデイズ」が突然終わったか真実を語る。
長崎の離島に住んでいた鈴木(名前はチョモランマ)、砂鉄、同級生の女の子・ルー、そして凛子は皆スマホを持たせてもらえず、自然の中で楽しく遊んでいた。鈴木と凛子は好き同士だった。
しかしある日、親にスマホを買ってもらった凛子が鈴木に“ある衝撃の真相”を語ろうとする。そこにルーがやってきて2人の会話は中断された。
その日の夕方、凛子が崖から落ちて死亡する。事故死で片付けられた。
葬式の日、凛子のスマホを見た鈴木と砂鉄は愕然とした。
自分たちのこれまでの生活が配信サイトでコンテンツ化されていたのだ。自分たちこそが人気チャンネル「ふるはうすデイズ」の登場人物だった。
鈴木、砂鉄、ルーの親たちは家や各場所に監視カメラを仕掛けて動画を撮り、金儲けをしていたのだ。鈴木と砂鉄は何も知らなかった。
鈴木と砂鉄はルーが動画について知っていたと見抜き、彼女が凛子を殺したと考える。鈴木と砂鉄に真実を伝えず、これからも配信を続けるためだ。2人はルーを問い詰める。しかし大人たちに止められ、結局凛子の死は事故で片付けられた。(鈴木の告白終了)
鈴木と砂鉄は「人の真相を売って金儲けした人物たちに復讐する」と言ってカテキョとミーコの個人情報を全部晒した。
カテキョは口座から金を盗まれた。
ミーコの正体はパパ活殺人事件の犯人・ケントの娘・美雪だった。
そして砂鉄は、椅子に縛られたルー(中城あやみ)を連れてくる。横にはボウガンがセットされている。
鈴木は視聴者たちに「お前たちの個人情報を晒すか(高評価ボタン)、ルーを殺すか(低評価ボタン)どちらか選べ!」と選択させる。
視聴者の大多数がルーを殺す方に投票する。桐山が「殺しちゃダメだ!」と叫んだことで、自らの個人情報を晒す方に投票する人も出てきた。
鈴木は映画を見ている私たちに「どちらかを選べ!」と問いかける。
『真相をお話しします』終わり
映画『真相をお話しします』考察まとめ
ラストの意味とメッセージ
『真相をお話しします』は映画を見ている私たちを強制参加させるような形で終幕。強い問題提起を促す作品だった。
ルーはおそらく殺されてしまうのだろう(砂鉄とルーは桐山と同じビルにいるので、桐山が助けるかもと思ったが、そういう趣旨の映画ではない)。
ただ、重要なのはルーの生死ではなく、ルーの生死を視聴者である私たちが決めているというメッセージだ。
私たちはSNSで他人の人生をめちゃくちゃにすることもできる…『真相をお話しします』のラスト結末はそのメタファーになっている。
SNSやネット関連の被害で第一に悪いのは、人の秘密を暴露する告発者だ。
しかし告発者だけでなく、傍観者である私たちもそれを止めようとしないどころか、コンテンツとしてそれを見ることで“当事者の袋叩き”を助長し、それが次の暴露に繋がっている。
“数の暴力”の一助になっているという問題提起があった。
ネットやSNSで、しばしばプライバシー侵害ともいえる情報が拡散される。バッシングが起こり、メンタルを病み、自殺してしまうなどの悲劇が怒る。
情報を発表した人も悪いが、そんな情報を求めてしまう私たち傍観者も悪なのではないか!?
SNSが関連する犯罪行為に、私たちみんなが加担しているのではないか?
そんな鋭い社会風刺があった。
ガー○ーみたいな人が人のプライベートを暴露するのは、数多の視聴者が見てくれて稼げるし有名になれるからだ。
SNSのシステム上、ワンクリックでゴシップがみれるので興味本位での視聴は避けられないかもしれない。しかしそのクリックの積み重ねが、次の誰かのゴシップを求める方向へ働くことも確かだ。
私も自分のSNSの使い方を考え直してみようと思った。
凛子やYoutuberを殺した犯人は?
凛子を殺したのはルーでほぼ確定。
ルーは凛子を殺した後で、鈴木の家にやってきて時計を遅らせ、凛子が死亡した時刻に鈴木の家にいたアリバイ作りをした。
ただ、ルーが単独でそれを思いつくかは微妙なところ。ルーの親が入れ知恵をした可能性は否定できない。そう考えるとルーもまた毒親の被害者なのだ。
島にやってきたYoutuber(大水洋介)を殺すのはルー1人では難しいので、ルーの親が関わっていると思った。
ただ原作では「ふるはうす☆デイズ」の熱狂的なファンが聖地である島に立ち入ったYoutuberを殺したことになっているので、実写映画も同じ経緯かもしれない。
『真相をお話しします』原作小説と映画の違いを解説
結城真一郎さんの原作小説は「惨者面談」「ヤリモク」「パンドラ」「三角奸計」「#拡散希望」の5エピソードからなる短編で、それぞれのストーリーが独立している。
生配信サイト「真相をお話しします」でスピーカーがそれぞれの体験を語る設定や、鈴木(チョモランマ)と砂鉄が大人になってから配信サイトを利用して復讐する設定がない。チョモランマと砂鉄は小学生の頃に復讐を果たす。
ここが映画と小説の大きな違いだ。
また原作にある短編「パンドラ」の内容は映画ではカットされている。

映画『真相をお話しします』感想と評価(ネタバレあり)
良かった点:動画配信の闇を可視化
1本の映画だけど、実質4つのどんでん返しストーリーが楽しめた満足度が高い作品だった。
それぞれの事件の告発者が逆に晒される結末も痛快。
鈴木や砂鉄が少年時代に知らぬ間に私生活をコンテンツ化されていた設定には気持ち悪くて生々しいものがある。ジム・キャリー主演の映画『トゥルーマン・ショー』の子供版といえるだろう。
実際Youtubeでは親が子供達の生活を配信しているチャンネルがたくさん。莫大な視聴回数を記録する人気チャンネルもある。
現実では子供に配信を知らせていない人はほぼいないと思うが、子供は判断力がないので後で黒歴史になって病むこともあるかも知れない。
親に言いくるめられればプライベートを切り売りすることを拒否できないし、それがどういう意味を持つのかもわからない。
子供のかけがえのない生活が親の金稼ぎの道具なってしまう構造が『真相をお話しします』で完璧に可視化されていた。
かけがえのないプライベート→コンテンツ化の犠牲になった鈴木と砂鉄が遂げた歪(いびつ)な復讐は、SNS時代を象徴する斬新なものだったように思える。
鈴木や砂鉄が自分たちの親などに復讐はしたのか?本当に悪いのは彼らの親では?という疑問は残る。
しかし、たとえ彼らが親を罰したとしても“晒し行為”をすれば金が稼げる根本的なシステムを変えられるわけではない。自分たち以外の犠牲者も出続ける…2人はそう考えて視聴者巻き込み型の復讐を選んだのだろう。
ラストシーンは縛られていたルーの生死や、鈴木、砂鉄、桐山がどうなるかわからないまま終わったので少しモヤっともしたが、明確な結末を描くよりも強烈なメッセージを送って鑑賞者を参加させたコンセプトが素晴らしい。
原作も非常に評価が高いが、映画も高く評価されるのではないか。
Mrs.Green Appleの大森元貴さんの演技も予想以上に良かった。マルチな才能だなあ。
残念な点:ツッコミどころを無視できる?
この手のサスペンスでは仕方ないけど、鈴木と砂鉄がサイトを視聴していた大勢の個人情報をどうやって知れたのかが気になった。
「真相をお話しします」にアクセスすると情報が流れ込むようになっているのかもしれない。
ただ、鈴木と砂鉄にそんな天才ハッカーのような真似ができるということに少々説得力がない気がする。
また惨者面談では「都合が悪い」と言って家庭教師を追い返す方法もあったはずだし、ヤリモクではパパ活を辞めさせるために連続殺人をする行動原理の破綻が見られる。
人によってはそのあたりが気になって仕方ないかもしれない。
しかし全体で見るとそのへんのリアリティのなさを上手く無視できる作りにはなっていたと思う。直接的な体験を描くのではなく生配信で体験を話すメタ構造なので「細かい部分はツッコまないでいいか…」と思うことができた。
すべて理路を求めていたらサスペンスなんか作れない。個人的にはツッコミどころは許容範囲だった。好みはあるけど、無視すべきディティールをしっかり選択していた印象。
まとめると『真相をお話しします』はクオリティの高いサスペンスの良作だった!
賛否あるかもしれないが個人的には邦画サスペンス・ミステリーの中では久しぶりに満足できた作品。

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コメント
友達と見に行きました。
私たちの考察では、チョモランマ(鈴木)の余命1年は何らかの病気であり、その原因は「ふるはうすデイズ」の親たちが面白がって過去にしたことにあるのかもしれないと思いました。(子供を使って検証しているような動画のサムネが映っていたことから)
親たちの検証動画のネタのために病気になったとしたら怖すぎますね…
わかりやすくまとめてくださりありがとうございます。
真相チャンネルには、投げ銭機能などがあるので、チャンネルに入る際に個人情報などを入力しなければならないサイトになっていたのかも
しれないと思いました。
本当にネットとの付き合い方を考えさせられる作品でした。