Netflix映画『セキュリティ・チェック』(Carry On)を鑑賞。
冴えない空港保安検査員の男性が、クリスマス・イブに前代未聞のテロに巻き込まれる見事なプロットの傑作サスペンスアクション!
『キングスマン』や『SING』シリーズで有名なタロン・エジャトン(タロン・エガートン)が主演!
僕たちが見たかったジャウム・コレット=セラ監督が帰ってきた!!!
本作を見るべきか? あらすじネタバレ・ラスト結末、わかりにくい部分の解説、忖度なしの感想を書いていきます。
Netflix映画『セキュリティ・チェック』あらすじ・キャスト
主人公・イーサン|cast タロン・エジャトン
ノラ|cast ソフィア・カーソン
旅行者(犯人)|cast ジェイソン・ベイトマン
警察官の採用試験に落ちたイーサン・コーペック(タロン・エジャトン)は、空港の保安検査員としてやる気のない日々を送っていた。
そんなある日、彼女のノラ(ソフィア・カーソン)の妊娠が発覚。
イーサンは仕事を頑張って昇格を目指す。検査中に謎の旅行者(ジェイソン・ベイトマン)からイヤホンを渡される。
スマホに“今すぐ耳にはめろ”とメッセージが入った。イヤホンから音声が聞こえる。イーサンは旅行者から「これからある荷物を通過させないと彼女・ノラの命はない」と言われる…。イーサンは最悪のテロを防ぐことができるのか!?
ちょこっと感想(ネタバレなし)
序盤は警官になる夢が破れた冴えない空港検査員が…って感じで始まるんだけど、脚本も演出もめちゃくちゃ緻密ですごく引き込まれた。
頭をしっかり使うタイプのサスペンスで、主人公と犯人のギリギリの駆け引きが魅力!アクションも迫力満点。
緻密なサスペンスアクションを求めている人は120%満足できると思う。Netflixオリジナル作品にしては非常にハイクオリティ!
映画『セキュリティ・チェック』ネタバレ・ラスト結末の解説
イーサンはイヤホン越しに話しかけてくる旅行者について最初はいたずらだと思っていた。しかし旅行者が恋人のノラが妊娠している情報や家族の情報など、あり得ないことを知っているとわかり、恐ろしくなる。空港の監視カメラのハッキングもしているようだ(仲間の“監視者”が情報を旅行者に送っている)。
旅行者は「ある荷物をゲートから通過させろ。お前の仕事は何もしないことだ」と言った。
イーサンはテロの可能性を考える。イヤホンからスナック菓子を食べる音が聞こえる。
イーサンはバーカウンターにいる人物が犯人だと考え、ある人物の搭乗チケットにブラックライトでしか読めない文字を書き込む。警備のライオネルがそれを受け取った。
ライオネルは旅行者にぶつからた後、倒れた。旅行者がトリカブトの毒を刺し、心臓発作で死亡したのだ。
イーサンは旅行者が本気で人を殺すと悟って怯える。
イーサンが離れている間に、検査の持ち場はジェイソンが担当することになってしまった。
イーサンは旅行者の指示に従うためにジェイソンのコーヒーを酒入りのものとすり替え、上司のサーコウスキーに報告。ジェイソンは奥に連れて行かれ、クビになった。
持ち場に戻ったイーサンは、旅行者から「赤い帽子を被った男のトランクを通過させろ」と言われる。X線に謎の液体と爆破装置のようなものが映りこんでいる。最悪だ。
イーサンは赤い帽子を被った男性の名前がマテオ・フロレス(トナティウ)だと知る。
いっぽう、LA市警のエレーナ(ダニエル・デッドワイラー)は、空港近くでマフィアのオレクの死体を発見(旅行者が彼を殺してノヴィチョクという神経毒を奪った)。死体の腕時計に仕掛けられていた盗聴器から「ノヴィチョク」という言葉を聞いて、空港か機内でテロ事件が起こるのではないかと考える。
エレーナは捜査官としてやってきたアルコットと一緒に空港へ向かう。しかし彼は偽物だった。高速道路を走る車内での格闘の末にアルコットを射殺した。
エレーナの報告により、空港でランダムの荷物検査が行われることに。イーサンは上司サーコウスキーの権限を利用してランダム検査の対象者にマテオ・フロレスを入れる。
恋人のノラを守れば爆弾の機内持ち込みを阻止できると考えたイーサンは、同じ空港内で働くノラのもとへ走る。しかしノラの頭に赤いライトが見える。向かいの建物から監視者(旅行者の仲間)にライフルで狙われていた。イーサンは何もできずにノラのもとから去る。
イーサンの前に旅行者がやってくる。イーサンはトイレで旅行者と格闘になり、彼の銃を取って脅す。しかし、旅行者は起動のスイッチを押して「10分の時間がある。お前が解除してこい」と言う。ノヴィチョクという神経毒が入っており、空港内で爆発したら1万人ほどが犠牲になってしまうという。
イーサンは個室でランダム検査されているマテオのところへ。検査しているのはサーコウスキーだった。イーサンは仕方なくサーコウスキーに銃を向けるが撃てない。
マテオが悲しい顔をしながらサーコウスキーの首にペンを突き立てて殺した。マテオの耳にはイヤホンがある。彼も大事な夫を人質に取られ、旅行者の言いなりになっているのだ(監視者がいるバンに拉致されている人物がマテオの夫・ジェシー)。
イーサンは愕然とするが、時間がないので旅行者の指示通りにトランクを開き、手順通りに爆弾をリセットする。
イーサンとマテオはトランクを持って移動する。マテオが銃でイーサンを撃とうとした。旅行者からイヤホンで指示を受けていたのだ。しかしマテオの銃はプラスチック製のために暴発。マテオは死亡した。
イーサンのもとへ旅行者がやってくる。イーサンは逃げた。
旅行者は監視者に「ノラを殺せ」と命令。監視者が空港に入り込み、ノラを追いかける。
イーサンは爆弾が入ったトランクとイヤホンを置いて逃げた。旅行者はトランクを回収する。
イーサンはノラを助けに地下駐車場へ。監視者に撃たれそうになったが、車内に拉致されていたジェシーが監視者を射殺した。ジェシーは夫・マテオが死んだと聞いて涙を流す。
イーサンはエレーナ警部に接触し、旅行者が持ったトランクのバーコードから601便に乗ると推測。飛行機を止めると旅行者は爆弾のスイッチを押してしまうため、あえて離陸を許可した。
その間にイーサンは601便機内の客室下にある預かり荷物の倉庫へ侵入する。トランクを見かけが同じで少しサイズの大きいものに変えて、手荷物でなく預かり荷物になるようにしていたのだ。
イーサンは爆弾を見つけ、解除しようとする。しかしそれに気づいた旅行者がやってきた。イーサンは旅行者を密閉性の高い冷蔵庫に入れ、ノヴィチョクの液体が入った筒を投げ入れる。旅行者は神経毒で死亡した。
事件は解決した。
1年後、イーサンはノラと子供を連れ、同僚のジェイソンの家族と旅行に出かける。イーサンはロス市警の警官になる夢を叶えていた。
映画『セキュリティ・チェック』感想と評価
ジャウム・コレット=セラ監督が帰ってきた!
久しぶりにサスペンスアクションでここまで面白いものを見た。
ジャウム・コレット=セラ監督が帰ってきた!という歓喜。
ジャウム・コレット=セラ監督作品では『エスター』や『アンノウン』『ロスト・バケーション』が超大好きだけど、最近ではディズニーの『ジャングル・クルーズ』やDCコミックの『ブラックアダム』など大作映画を監督するようになり金儲けに走ってしまったのか?と不安だった。
しかし今作はそんな憂いを吹き飛ばすくらいクオリティが高かった。こういう手堅いサスペンスアクションを作らせたらジャウム・コレット=セラに並ぶものはそうそういないと実感した。
もう大作系はいいから、これからもサスペンスアクションかホラーを作って欲しい。
ジャウム・コレット=セラ監督の作品レビュー↓
弱者が理不尽に加害者になる構造
『セキュリティチェック(Carry On)』はメッセージにも感動があった。
まず、イーサンやマテオのような、指示される側の人間が加害者になってしまう構造が巧い。
弱者の側が利用されて加害者になってしまう理不尽な構図を突きつけていた(現実社会でもよくあるよね)。
旅行者がイーサンに「お前の仕事は何もしないこと」と言っていたのが印象的。
イーサンが人間的に成長したことが1番の感動ではあるが、命令されて搾取される側の人間が、パワーバランスに屈さずに指示する側を倒すという、社会の壁を壊すカタルシスが同時にあった。
緻密なプロットを解説&考察
鮮やかな伏線回収
ストーリーは↓
- イーサンと旅行者の駆け引き
- エレーナ刑事の捜査
この2軸だが、そこに協力者・マテオや監視者も絡んでくるパズルのような構成がグッド。
序盤で「監視者のバンに拉致されていた人物は誰?」と考えさせられ、それを忘れた頃にマテオの夫(脅迫するために拉致した)だと判明する伏線回収が実に見事だった(この“お前も操られていたのか”展開は『ソウ』にも似てる)。
爆弾のケースを少しサイズ大きめのものにすり替えた展開も頭いいなと思った。
爆弾を奪ったとしても旅行者は結局爆発させることができる→座席の上にぎりぎり入らないサイズにして預け荷物にさせる→忍び込んで解除をしようとする。普通はこんな細かい展開思いつかない。
こういうのを緻密なプロットていうんだな…と感心させられた。
タイトルの本当の意味
英題のCarry Onには「持ち込み手荷物」「ただなんとなく続ける」「大騒ぎ」という意味があり↓
- 爆弾が入ったトランク
- 主人公イーサンの目標なくなんとなく生活している様子
- 空港の大騒ぎ
映画の3つの要素にかかっている。タイトルのつけ方も上手いと思った。
(日本語タイトル『セキュリティ・チェック』は、Carry Onだと意味が伝わらないから仕方なくつけられたのだろう)
わかりにくい部分の解説:犯人とテロの目的
犯人=旅行者の目的がわかりにくかったと思うので解説。
まず旅行者は犯罪のプロフェッショナルで、依頼を受けてテロを起こそうとしていただけ。
テロの目的はDTT法案という軍事費増大の法案を可決させること。
DTT法案を推進している議員が乗った飛行機に神経毒の爆弾を仕掛けて殺害。爆弾にあえてノヴィチョクというロシア製の神経毒兵器を使用してロシアの犯行に見せかけ、世論も議会も軍事費の増設に反対できないようにするためだ。
黒幕=依頼主はDTT法案が通ることで巨万の富を得られる誰か。軍需企業とかその辺だと思う。
2024年12月Netflix作品レビュー↓
コメント