Netflix映画『ブリック(BRICK)』ネタバレ考察ラスト結末感想,心の壁の可視化と解説

3.0

Netflix映画『ブリック(BRICK)』2025

Netflix映画『ブリック(BRICK)』2025配信を鑑賞。

ドイツの都市部のアパート全体が黒いレンガに覆われて脱出不可能!

破局寸前の夫婦や住人たちが脱出のために奮闘する心理スリラー!

  • あらすじ・ネタバレなしの感想
  • ネタバレラスト結末
  • 考察:夫婦のトラウマを可視化した壁
  • 正直な感想と評価

これらを忖度なしで語っていきます!

Netflix映画『ブリック(BRICK)』あらすじ・予告

公開:2025年7月11日
長さ:100分
監督・脚本:フィリップ・コッホ
主演:マティアス・シュヴァイクホファー

イヴ(オリヴィア)は2年前に流産し、それをきっかけに・夫ティム(マティアス・シュヴァイクホファー)と心が離れていた。

ティムとイヴはある朝、住むアパートが謎の不気味な黒いレンガの壁にぐるりと囲まれていることに気づく。窓だけでなく、外へ出る壁も完全に封鎖されている状態

黒い壁は4つの正方形が組み込まれた磁気を帯びたデジタルなレンガで構成されている。

ドアは塞がれているが、壁を壊して隣の部屋へ行けることがわかる。

ティムとイヴは隣人たちと協力しながら脱出を目指すが、最悪な事態が次々と巻き起こる。

ネタバレなしの感想

Netflixの視聴はこちら

ザック・スナイダーのNetflix映画『アーミー・オブ・ザ・デッド』やその前日譚『アーミー・オブ・シーブズ』に出演しているマティアス・シュヴァイクホファー主演の脱出スリラー。

朝起きたらアパート全体が黒いデジタルレンガの壁に覆われている設定がキャッチーで面白い

映画『Cube』っぽいけど、『Cube』よりも宗教性や哲学性は薄め。

巷では『CUBE』と『プラットフォーム』が融合と言われているけど、その2作品と比較すると刺激はかなり少なめ。

夫婦が過去のトラウマに向き合うのがメインテーマの、比較的わかりやすい不条理脱出ゲームモノとなっている。

個人的な評価は5点中3点。脱出モノとしてそこまでカタルシスは感じられなかった。時間ある人は見たら?くらいの印象。

映画『ブリック(BRICK)』ネタバレラスト結末の解説

Netflix映画『ブリック(BRICK)』2025 主要キャスト2名

©︎Netflix

隣室にはマーヴィンとアナのカップル、そして2階には老人・オスヴァルトと孫のレア、1階にはユーリとアントン(エンジニア)がいた。

大家の部屋へ行くと、彼は黒い壁の前で両腕を切断された状態で死んでいた。

ティムとイヴは脱出を試みて階下へと移動。1階ではすでにアントンは死亡していた。

ユーリは終末論者で「外は核戦争中、壁は絶対開けるな。死の世界だ」と言い張る。

ティムたちは地下への穴を開け、地下通路から外へ出ようとするが、出口もやはり黒い壁で塞がれていた。

地下脱出も失敗し、激昂したマーヴィンが壁に向けて撃った銃弾が跳ね返ってくる。その銃弾でオスヴァルトが死亡、レアは泣き崩れる。

ティムは監視カメラの録画映像でアントンの部屋が壁から発光する瞬間を目撃し、彼が壁を開いたと気づく。

さらに映像を見てアントンの死の真相、つまりユーリによる解読コード隠蔽と殺害に気づいた。

その後、ユーリはコードを見ていたレアを殺害して完全に暴走。ティムとマーヴィンは彼を拘束するも、緊張は限界に達する。

ティムはアントンが残したデータを解析。

黒い壁のレンガはQRコード上に並べられており、アプリで画像を読み取り、4つの正方形部分を押すことで外へ出られると突き止める。

アプリを操作した直後、アナが壁に触れて吸い込まれ、胴体が真っ二つになって死亡。これに絶望したマーヴィンはユーリを撃ったのち、自ら命を絶つ

イヴとティムは、拘束を解いて追ってきたユーリをどうにか倒し、壁のコード解除に成功。

ようやく出た外の世界。しかし広範囲の住宅地が黒い壁で覆われており、軍隊のヘリが辺りを飛んでいる。

ニュースによると、ナノディフェンス社の火事によって防衛システムが暴走し、大惨事を引き起こしたらしい。

2人は壁に覆われたハンブルクを眺め、わずかな希望を胸に車を走らせる

映画『ブリック(BRICK)』考察

夫婦のトラウマを可視化した壁

『ブリック(BRICK)』の黒い壁は、出口が見えなくなった夫婦関係を表現していると感じた。

2年前の流産以降、ティムはイヴに向き合えず、イヴの心は凍てついた。

黒いレンガは2人の心の壁であると同時に、夫婦関係に出口がないことを示唆していた。

アプリを作って脱出するロジックは重要でない。2人が協力して外へ出たことが大事なのだ。

バンに乗って旅立つ2人。心の壁を乗り越えて新たな人生を歩もうとしている。

個人は解放されても社会はディストピア化

2人は黒い壁に覆われたが、都市全体の住居がまだ壁に覆われている。

まだ出られていない人もたくさんいるのだろう。

自分の壁から抜け出せていない人がどれだけ多いか示唆していると共に、社会は心の壁で断絶されていると表現するメタファーだと思った。

また、個人ベースでは救いや解放、希望があっても社会はどんどん出口が見えなくなっている現代社会を表現していると思った。個人に希望はあっても社会にはない。

陰謀論とテクノロジー暴走

ユーリが終末論を信じているように、陰謀論も一つのテーマではある。

陰謀論者は他人まで自分の部屋(考え方)に閉じ込めようとするとの寓話だろうか。

また、テクノロジーをどれだけ完璧に制御しようとも、火災などアナログな厄災で一気に暴走することもあると表現しているようでもあった。

汎用AIとか作って完全に制御しているつもりでも、地震とかでデータセンターに被害→暴走というシナリオがあるという予言的な意味もあるのかも。

映画『ブリック(BRICK)』感想と評価(ネタバレ)

良い点

朝起きたら黒い壁に囲まれる設定、隣の部屋には行ける設定が興味深く、主人公夫婦と隣人との連携や心理描写が見応えあった。

壁を壊して3階から2階→1階へ到達するまでの前半がワクワクした。

最後の一縷の光がある結末も良かった。ティムとイヴの夫婦は絶望を乗り越え、これからも黒い壁が立ちはだかることはあるだろうけど前に進んでいけるのだろう

悪い点:キャラクターが薄い

2年前の流産というトラウマを背負っているティムとイヴの夫婦や陰謀論者のユーリはいいとして、マーヴィンとアナのバカップル、おじいちゃんオスヴァルトと孫娘・レアは記号的なキャラクター過ぎて深みがなかった。

マーヴィンたちは場を乱すバカキャラ。おじいちゃんオスヴァルトが死亡し孫娘が残される…スリラーあるあるすぎるし、この4人のキャラクター像をもっと深掘りできていれば印象が全然違う映画になったと思う。

主人公のティムとイヴが心の壁を乗り越えた結末はいいけど、その他の登場人物の存在意義が薄い。トラブル的に死ぬパターンばかりで、心の葛藤と展開がリンクしていなかった。

まとめ:Netflix『ブリック(BRICK)』は設定とラスト結末はいいけど、登場人物が死んでいく過程にいまいち説得力やカタルシスがない凡作

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この記事を書いた人

映画やドラマの考察歴5年。映画好き歴20年。Webライター歴8年。いくつかのメディアでの執筆歴あり。映画やドラマの本質を追求するような解説や考察が書けるように日々精進しています。パーソナルな感想に普遍的な何かが少しでも宿っていれば幸いです。

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