映画『エンジェルフライト THE MOVIE』向井理は生きてる?ネタバレラスト考察と感想,批評

3.5

映画『エンジェルフライト THE MOVIE』(2026)

映画『エンジェルフライト THE MOVIE』(2026)をアマプラで鑑賞。評価の高かったドラマ版の続編となる。

佐々涼子「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」(2012)を原作にしつつも、映画版はオリジナルストーリー。

2023年にAmazon Prime Videoで配信された全6話のドラマ(NHKでも放送)もすごく良かったが、本映画も感動した。

しかし思うところもいくつかあったので忖度なしの感想や批評(めいたもの)を書き綴ってみた。
あとは、幸人(向井理)が生きているか死んでいるかの考察もしてみました

『エンジェルフライト』ドラマ全6話の解説レビュー

『エンジェルフライト』全話ネタバレ感想・最終回ラスト解説!あらすじ評価,,キャスト
米倉涼子主演のアマプラドラマ『エンジェルフライト -国際霊柩送還士-』海外で亡くなった邦人を日本に送り届けるために奮闘する米倉涼子と松本穂香、そして遺族の悲しみと別れを描きます。 シーズン1は全6話。一話完結型で見やすいです。 CineMa

映画『エンジェルフライト THE MOVIE』ネタバレ考察:向井理は生きてる?

幸人(向井理)は果たして生きているのか?最後に出てきた幸人は本物なのか?
気になっている人も多いと思うし、そこを考えると本作の価値が深まる気がしたので考察をまとめてみた。

ラストで那美(米倉涼子)が死者の日の花火を見ていると、横に幸人が現れて「やっぱり1人でみるもんじゃないね。花火は」と語った。

調べてみるとメキシコにおける死者の日の花火は、死者に向かって「ここだよ」と合図を出したり、歓迎の意図を伝えたりするためのもの

つまり、演出的には幸人は死者で、死者の日に那美のもとに帰ってきたことを示唆していると取れる。

那美自身も心の奥底では幸人の死を覚悟しているのだと思う。今は生死不明の“宙吊り”状態なので余計辛いのだろう。

那美は現れた幸人に向かって「あなたが帰ってくるのをずっと待っているよ」と答えるが、これは生きていても、死んでいても…という意味だろう。

幸人は、数年前に那美と子供たちと花火を見た際に「もし僕が海外で死んだら…」と言った。「遺体を日本に送ってくれるか?」と言葉を続けたかったと考えられる。

那美の「あなたが帰ってくるのをずっと待っているよ」という言葉は、幸人の「もし僕が海外で死んだら…」に対するアンサーだと思った。

きっと遺体を見つけて、日本に送って、航と海にも会わせて、きちんと送り出してあげる。そんな切なすぎる決意が垣間見えた。

現実問題として幸人が生きている可能性もなくはないが、死者の日に那美のまえに現れたことから、すでにどこかで死んでいる可能性の方が高いと考える。

メタ的な考察になるが、物語としても、海外の遺体を日本に送り届ける国際霊柩送還士の大切な人が生きていました!という展開だと作品のテーマやメッセージにそぐわない。

それでは生死不明の幸人がストーリー上でどんな働きをするかについて。国際霊柩送還士である那美自身が大切な人の遺体が帰ってこなくて苦しむ人物だからこそ、より遺族に寄り添ってあげることができるという意味を持つと考える。

那美は国際霊柩送還士である前に、ずっと海外で家族が死亡した遺族でもある。そこが物語に深みを与えていると感じた。

映画『エンジェルフライト THE MOVIE』ネタバレあり感想と批評

メキシコの女性、日本の赤ちゃん、世界一周旅行をしていた車椅子の青年、日本好きのアメリカ人俳優の4人が死んでしまう。

4人の死者の魂が四重奏のように響く中で、米倉涼子が幸人(向井理)の行方を探すストーリーが差し込まれる。コンセプトは申し分ない。それぞれのストーリーについて感想と批評めいたものを書いていきたい。

メキシコで生きた夫婦の話

メキシコで飲食店を営みながら生活する貧乏夫婦、美沙子(鶴田真由)と譲司(木村祐一)。音楽での成功を胸に抱き、若い頃に家族と縁を切る形で新天地メキシコで生活を始めるが、それから30年、まったくうまくいかなかった。そして美沙子は車事故で死亡。ブレーキ跡がなかったことから自殺とも考えられたが…という話。

この夫婦の話は、私自身と妻の関係に重ねて見てしまったので大きく感情移入してしまった。よく言われる言葉だけど、成功とは大切な誰かを見つけることだと思う。そういう意味では美沙子も譲司も成功者だ

ミゲルは経済的には成功しているかもしれないが、成功者の定義を見失っている時点で敗者なのだと思う。ミゲルはそれを悟ったからこそ、美沙子の言葉を譲司に伝えたのだろう。

美沙子はくも膜下出血で死んでしまったが、苦労はあったが後悔はない幸せな人生を送ったのだと思う。彼女の人生は花火のように美しい。

また、中盤に那美が高台から飛び降りようとする譲司を止めるシーンがあったが、那美からすれば「大切な人の死顔に向き合える譲司は幸せ者だ」という思いを伝えたかったように捉えられる。

那美はまだ幸人の死に向き合うことを許されていないのだから。

美沙子と譲司の影に、那美と幸人の関係も交差させて描いた点が巧みだと思った。

赤ちゃん・ミーナのエピソード

日本とイタリアの国際結婚。待望の赤ちゃん。突然死…という悲惨すぎるエピソード。イタリア人男性・ルカの親が妻の真衣をよく思っていなかった設定も辛い。

心をえぐられる思いになった。まずは母親・真衣役の入山法子さんの演技が凄まじかった。凛子(松本穂香)が「お気持ちお察しします」と言って真衣が激怒するシーン。誰も悪くないのにみんな苦しい。見ていて辛すぎるシーン。

また柊秀介(城田優)が語った「ナオキという男の子をしっかり修復できなかったけど両親は感謝を伝えてくれた」エピソードも非常に印象的だった。

男の子の死体の処置、体液の話。。。エンバーミングや死体についてのリアルを少量だけでも的確に入れることで、子供の死が美化されすぎることなく現実感をもって伝わってきた。死が綺麗事だけではないと1番伝わってきた話

車椅子で世界一周した青年・健臣のストーリー

車椅子の青年・健臣(佐藤緋美)がみんなからの投げ銭と助けを頼りに世界一周し、日本に帰る直前で事故死してしまう話。

ここは制作者がアンチや感動ポルノ論争などの社会問題を入れ込みたかった箇所なのかな、と感じた。

健臣の世界一周によって同じく車椅子の泉が行動できるようになった点は素晴らしいと思う。健臣と泉が、俺たち“普通”だよねと会話する昨今の多様性社会で“普通”と言ってはいけないアンチテーゼが感慨深かった。社会に必要なのは“普通”を廃止することでなく、普通の範疇を広げることだと受け取れた。

ただ、アンチや感動ポルノに対しては、「そんなことはない!健臣がやったことは素晴らしいことだ!」という想定内のアンサーだったため、わざわざ社会問題を入れたからにはもうひと工夫あってもよかったかな?と個人的には思った。アンチや感動ポルノ→こういうコメントする人が健臣の行動でどう変わったかまで描かれればベターだったと思う。尺の問題もあったのだろうけど。

俳優マービンの死が意味するもの

アメリカ人俳優マービンについては、柏木史郎(遠藤憲一)とみのり – 野呂佳代お笑いパートのようでいて、同時に日米を跨いだどうしようもない男女のSAGAが描かれていた。

柏木とみのりはサクラ(赤間麻里子)と出会い、彼女がマービンの日本での恋人だったと知る。マービンは生まれ変わったら一緒になろうとサクラに言っていたようだ。

サクラはその言葉を信じているが、マービンにとっての“サクラ”は十人以上いたようで、さらに全員の名前が覚えられないから、全員を“サクラ”と呼ぶクズっぷり。

柏木はアクション俳優マービンの大ファンだったが、真実を知り「しょーもない」とがっかりしている。おっさんになってから若い頃の憧れが砕かれるほろ苦い結末。同時に、いい歳したおっさんが持つ少年の心がリアルに感じられた。

当の利用されていたサクラたちにとってはどうだろう。彼女たちはマービンに意識的にか無意識的にかたぶらかされることで、一生の思い出を得た。ハリウッドスター版ホストというとわかりやすいかもしれない。彼女たちにとっては数年に1度マービンと過ごせることが人生の励みになったことだろう。

死には、故人の世間的にはしょうもないけど極めて人間的な部分が付随してくることを表現した大人びたエピソードだった

(晩年や葬儀に「誰この人、まさか」って人が来たりするんだよね本当に。身内にも本当のところはわからない。)

まとめ

それぞれの話は良かったけれど、2時間で4人の死と家族を描き、さらに那美と幸人のストーリーも入れ込むのはやや詰め込み過ぎに感じた。3つのストーリーくらいで良かったのでは。

また、詰め込み過ぎだとしても、最後に4人が上手い形で合流すればカタルシスがあったかもしれないが、みんなで那美の帰国を祝う普通なラストだったのもガッカリだった。

結果として、全体として感動はあったものの、予想を超える気づきを得られるような作品ではなかった。エグみが少なく、万人受けする作品として作られていた。その結果、それぞれの死がいささか記号的(よくあるパターン)だったと思う。

『エンジェルフライト』の作者は残念ながらお亡くなりになっている。

ドラマとしては続編をたくさん作れそうな話になので、続きがあるとすれば、それぞれの死が唯一無二に描かれるようなものを期待したい。

いろいろ書いたが、死体・遺体と正面から向き合う設定自体が、私を含めて平和ボケした今の日本人に必要だと思う。そういう面で意義深い作品だった

『エンジェルフライト』ドラマ全6話の解説レビュー

『エンジェルフライト』全話ネタバレ感想・最終回ラスト解説!あらすじ評価,,キャスト
米倉涼子主演のアマプラドラマ『エンジェルフライト -国際霊柩送還士-』海外で亡くなった邦人を日本に送り届けるために奮闘する米倉涼子と松本穂香、そして遺族の悲しみと別れを描きます。 シーズン1は全6話。一話完結型で見やすいです。 CineMa
この記事を書いた人

映画やドラマの考察歴5年。映画好き歴20年。映画鑑賞累計2000本前後。ドラマは数百本。Webライター歴8年。いくつかのメディアでの執筆歴あり。映画やドラマの本質を追求するような解説や考察が書けるように日々精進しています。パーソナルな感想に普遍的な何かが少しでも宿っていれば幸いです。

kotairahaをフォローする
ヒューマンドラマ邦画
シェアする
kotairahaをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました