映画『名探偵コナン 隻眼の残像』(2025)のストーリーが複雑で難しかったので、長野県警の周辺と真犯人の動きから全体像を時系列でまとめてみました。
- 事件の流れ、真犯人の動きを時系列で解説
- 主要人物の相関図
- ラストシーンのコナンの心理描写
- リモコンのシーンの意味
- 伏線の解説
これらをネタバレありで解説&考察しています。
「隻眼の残像」あらすじネタバレ解説や忖度なしの感想・評価はこちら↓

『名探偵コナン 隻眼の残像』事件の真相&真犯人の行動 時系列(ネタバレ)
8年前:銃砲店強盗傷害事件
御厨と鷲頭隆の2人組が猟銃を盗む事件を起こす(銃砲店強盗傷害事件)。その際に店にいた従業員の舟久保真希が足を怪我してしまう。
捕まった鷲頭は御厨の情報を警察に話し、司法取引により執行猶予がつき服役しなかった。御厨は3年の懲役。
舟久保真希は怪我が原因でバイアスロンの強化選手から外されて自殺。婚約者だった林 篤信は絶望する。
御厨と鷲頭の動き
6年前:御厨が仮釈放中に逃走(裏切った鷲頭隆に復讐するため)。
5年前:執行猶予を終えた鷲頭は自殺した真希への罪の意識がぬぐえず、彼女の墓の近くに炭焼き小屋を建てて住み始める。
10カ月前:八ヶ岳連峰未宝岳雪崩事故
劇中の真犯人・林 篤信(山梨県警の総務課 兼 隠れ公安)が国立天文台野辺山から移動観測車を盗み、八ヶ岳で人工衛生(情報収集衛星)の電波を傍受。日本や同盟国の防衛上の機密情報を入手していた(このとき移動観測車は返されたので、林が盗んだことは気づかれていない)。
八ヶ岳の同じ場所に、銃砲店強盗傷害事件の犯人・御厨を追って長野県警の大和敢助がやってくる。林は敢助に目撃されたため、彼の左目を撃った。
雪崩が発生。敢助が巻き込まれる(八ヶ岳連峰未宝岳雪崩事故)。
雪崩のあと敢助は鷲頭隆に助けられ、そのまま山梨の病院に運び込まれる。
数カ月意識が戻らない状態だったため、上原由衣や諸伏高明は敢助が死んだと思っていた。
山梨県警にいた林は敢助が生きていて入院中だと突き止め、意識が回復すると世話をして様子をうかがった。
林は情報収集衛星から得た情報で政府を脅し、司法取引の法案が改正されないよう圧力をかけた。
4カ月前:TVシリーズ「風林火山」
敢助が死んだと思っていた由衣は、甲斐巡査の事故死を調べるために虎田家に嫁いでいた。
復職して捜査にきた敢助が由衣と再会(TVシリーズ「風林火山」516〜517話)
由衣は事件後にまた刑事として復帰する。
少し前の出来事:公安の鮫谷と内調の動き
実は検察ではなく内閣情報調査室(内調)に所属している長谷部陸夫は犯人がいつどこで人工衛星の情報を得たか調べ、長野の八ヶ岳付近だと気づく。
連絡を受けた鮫谷(隠れ公安)は、人工衛生から情報が奪われた事件と八ヶ岳連峰未宝岳雪崩事故がの場所とタイミングが重なっていることに気づく。
現在(犯人逮捕まで)
真犯人・林は政府を脅す材料を増やすために再び移動観測車を盗もうとする。しかし天文台職員・円井まどかに見つかり未遂に終わる。敢助と由衣がこの侵入事件を調べる。
鮫谷は山梨刑務所に収監された御厨と面会する。
真犯人・林は公安の鮫谷らに人工衛生の情報収集の件を調べられていると気づく。
林は毛利小五郎から敢助の情報を聞き出そうとした鮫谷を殺害し、警察庁へ逃げ込む。
(コナンや小五郎は長野へ↓)
安室が鮫谷が殺された事件を調べろと風見に命令。
風見が林を使ってコナンに盗聴器を仕掛けさせる。
林は敢助の記憶が戻ってはまずいと考え、彼を暗殺しようとする。
炭焼き小屋の大友隆の正体が鷲頭隆だと判明。
コナンたちが林が真犯人だと突き止め、逃亡を抑えて確保。
主要人物の相関図
『名探偵コナン 隻眼の残像』考察まとめ
ラストのコナンのメッセージ:なぜ由衣に敢助が生きていることを伝えたのか
ラストシーンで、コナンが由衣には「敢助が雪崩で生き延びていたこと」をあらかじめ伝えていたとわかる。
ざっくり言うとコナンの優しさであるのだが、由衣や林が劇中で問いかけた「あなたならどうした?」という言葉からより解像度をあげて紐解けると思った。
コナン(新一)には「俺なら蘭に自分が死んだという嘘の報告なんか絶対にしたくない。悲しませたくない」という気持ちがあるので、例えほんの少しの間でも由衣に敢助が死んだと思わせたくないと考えたのだろう。
新一と蘭、敢助と由衣のカップルの対比が光ったラストだった。
ちなみに高明に敢助の生存を伝えなかったのは、そのほうが高明が活躍してくれると考えたからかもしれない。
大和敢助の傷の意味
敢助の左目は塞がり斜めに二つの傷が入っている。それぞれの傷が西の雪崩と北の雪崩を表現していると思った。
リモコンについて
序盤で小五郎の家でテレビのリモコンがなくなった。小五郎はアプリで代用していたが、またラストではテレビのリモコンがテーブルにあった。
コナンが自分が見つけたわけではないと蘭に言っているので、小五郎が見つけたのだろう。
小五郎は司法取引関連のニュースが元同僚・鮫谷の死に関係していたと知り、TVでの情報収集も必要だと考えたのだろうか。
また深読みするならリモコンを無くしたことは古い相棒の鮫谷を失う示唆であり、最後には友情もリモコンも戻った(鮫谷は亡くなっているけど)という意味があるのかもしれない。
小五郎の心理描写をサラッと描いたシーンだったと思う。
『名探偵コナン 隻眼の残像』伏線&細かいポイント一覧
ウサギのキーホルダーがついたカギ→移動観測車の鍵。国立天文台野辺山に侵入した事件について移動観測車を盗んでいた可能性を序盤で示唆する。移動観測車を運転していた越智准教授が犯人ではないか?というミスリードを張る効果もあったように思える。
仮面ヤイバーとパラボナアンテナと衛星放送のくだり→林が移動観測車で衛生を傍受して国家機密を得ていた流れがわかりやすくなるようにこのシーンを入れたと考えられる。
座禅草→大友隆が自分の強盗事件が原因で自殺した真希の墓に備えていた座禅草。
花言葉は「ひっそりと待つ」なので、あなたを死に追いやった罪を償うため御厨に殺されるのをひっそりと待っているという意味が込められていると考えられる。大友隆の罪の意識の深さがうかがえる切ない表現。
敢助のフラッシュバック→終盤の雪崩事故ではコナンのボンベを撃とうとした敢助がフラッシュバックを起こしてしまう。銃が撃てる状態ではなく、最後に小五郎が代わりに撃っていたことがわかる。
このフラッシュバックのとき、敢助は10カ月前の雪崩で見たのが林篤信だと思い出した。
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