映画『ビーキーパー』(The Beekeeper)を鑑賞。
ジェイソン・ステイサムの人気の凄まじさか、正月の三が日だからか、映画館は蜂の巣の中のように蜜の状態!
現役養蜂家(今年はじめた新米ですが)の私がジェイソン・ステイサムの『ビーキーパー』を徹底解説&考察していきます。
映画『ビーキーパー』あらすじ
国家機密レベルの暗殺部隊・ビーキーパーに所属していたアダム・クレイ(ジェイソン・ステイサム)は引退した後に田舎で養蜂家として生活していた。
納屋を貸してくれている老婦人エロイーズ・パーカー(フィリシア・ラシャド)は、クレイに唯一優しく接してくれるかけがえのない隣人だった。
ある日、エロイーズのパソコンの画面に警告の文字と電話番号が…電話をかけてみるとセキュリティソフトの会社に繋がった。エロイーズは相手の言うがままにパスワードを入力してしまい、慈善事業の資金など200万ドル以上を盗まれてしまう。
絶望したエロイーズは自殺。娘でFBI捜査官のヴェローナ・パーカー(エミー・レイヴァー=ランプマン)は悲しみ、真相究明を誓った。
クレイはフィッシング詐欺の会社と、その裏にある巨大権力に立ち向かうことを決意。立ちはだかるものは全員殺す…。
キャスト↓
アダム・クレイ(元秘密組織の養蜂家)|cast ジェイソン・ステイサム
ヴェローナ・パーカー(FBIでエロイーズの娘)|cast エミー・レイヴァー=ランプマン
エロイーズ・パーカー(クレイに優しくしてくれる隣人)|cast フィリシア・ラシャド
デレク・ダンフォース(詐欺会社のボス)|cast ジョシュ・ハッチャーソン
ウォレス・ウエストワイルド(元CIA長官でデレクの部下)|cast ジェレミー・アイアンズ
ちょこっと感想(ネタバレなし)
ジェイソン・ステイサムの色気とキリングアクションを存分に堪能できる2時間。
弱者をだまして大儲けする権力者たちをジェイソン・ステイサムが単身で排除していく脳筋プロットで、とにかくスカッとする。
「やってやったぜええ」というカタルシスがすごい。ストレスが溜まっている人におすすめ。
ただしストーリー性を求める人には完全に不向き。
そして意外にも養蜂家の殺し屋という設定が鋭い社会風刺につながっており、これがアメリカで大ヒットした大きな理由だと思う(考察の項目で詳しく解説)。
超迫力の社会派脳筋アクションをご堪能あれ!
映画『ビーキーパー』ネタバレ・ラスト結末
クレイ(ジェイソン・ステイサム)は秘密組織ビーキーパーに電話を掛け、隣人のエロイースに詐欺を働いた会社UDG(ユナイテッド・データ・グループ)のアジトを突き止める。そこに単身乗り込んで警備たちを圧巻の格闘術で倒し、ガソリンを巻いてビルのワンフロアを全焼させた。
UDGをまとめていたミッキー・ガーネット(デヴィッド・ウィッツ)は親会社のボス/デレク・ダンフォース(ジョシュ・ハッチャーソン)に電話をかけて危機を知らせる。
ミッキーは武装した兵士を連れてクレイの家に乗り込み、蜂の巣箱を破壊。しかし兵士たちはクレイに殺され、ミッキーも手の指を切られた末に川に沈められて殺される。
FBIのヴェローナは、一連の事件が死んだ母と親しかった隣人・クレイの仕業だと突き止めて彼を追う。
デレクは警備主任で元CIA長官のウォレス・ウエストワイルド(ジェレミー・アイアンズ)に養蜂家について相談する。ウォレスはパニックになり、お前は馬鹿なことをしたとデレクをたしなめた。
ウォレスは現CIA長官に養蜂家のことを話し、秘密組織ビーキーパー内部での対処を依頼。
ビーキーパーのメンバー/アニセット(メーガン・レイ)がガソリンスタンドでクレイを襲う。
クレイはアニセットを倒し、ガソリンで燃やした。秘密組織ビーキーパーは手を引くことになる。
クレイは詐欺を働いているデレクの他の会社ユナイテッド・ナイン・グループの住所を突き止めて乗り込む。先回りしていたFBIの特殊部隊を倒して中に侵入。
ウォレスが雇った兵士たちを倒し、責任者から黒幕の正体がデレクで、彼が現大統領ジェシカ・ダンフォース(ジェマ・レッドグレイヴ)の息子だと情報を得た。
クレイはヴェローナの追跡をかわして逃走する。
デレクはクレイの脅威から逃げるため、母ジェシカに頼んで別荘に避難する。ウォレスは別荘にラザルス(テイラー・ジェームス)たち超一級の傭兵を呼んで警備に当たらせた。さらに外ではFBIの特殊部隊が警備をする。
大統領のジェシカは自分の大統領選の資金が息子・デレクの詐欺会社によって稼がれた汚い金だと知って失望する。デレクは同じ部屋で話を聞いていたCIAの副長官を殺害した。
クレイはマンホールから大統領の別荘に向かうトラックに侵入。別荘内のパーティーに現れた。
そして傭兵や特殊部隊を次々に倒していく。クレイはラザルスと対決し、腹をナイフで刺されながらも勝利。
クレイは立ちはだかるウォレスの腕を骨折させて扉を開ける。そしてデレクの脳天を撃ち抜いて殺した。
クレイは窓から去っていく。ヴェローナはクレイに銃を向けるが撃てなかった。クレイは砂浜で潜水服に着替えて逃亡する。
映画『ビーキーパー』終わり
映画『ビーキーパー』感想と考察:アメリカ人の不満を体現
ジェイソン・ステイサムの世直し
一言でいうと、ジェイソン・ステイサムが狂ったアメリカ社会を世直しをする痛快作。
アクションは相変わらず最高で、相手を巴投げして車に追突させるシーンや、車にロープで繋いで川に沈めるシーンなどが特に好きだった。エレベーターを落として敵の体がちぎ○るシーンも好き。
いっぽうでストーリーは脳筋ながらも、今のアメリカの現状を反映してかなり鋭く風刺していると感じた。
女性大統領はトランプ大統領(次期)をイメージしたキャラクターだろう。
トランプ大統領の企業や経営している長男が利益を不正に得ているとして訴えらたことがあるそうだ。クズ息子デレクと大統領ジェシカは実話ベースのキャラクターと言っても良いだろう。
またアメリカではトランプの暗殺未遂において狙撃犯を肯定する発言が許容されていたり、保険会社のCEOを射殺した人物がカルト的な人気をはくしていたりする。日本人の私から見るとかなり狂った社会である。
社会システムの穴をついて一部の人間が不当に大儲けしている現状に我慢の限界なのだろう。
保険会社と契約したはいいが、事故があってもお金が不当に支払われないなどの問題が蔓延っているらしい。
権力を持っている側が法の隙間をついてやりたい放題して搾取するのが許せないのは当然だ。
ジェレミー・アイアンズ演じる元CIA長官が詐欺会社に天下りしているが、そんな例もたくさんあるだろう。
本作の大規模なフィッシング詐欺会社は極端な例かもしれないが、法でさばけないところで弱者から金を盗み取っている人たちは実際にいる。日本でも詐欺が組織化して深刻化している。
現実は変えられない。しかし映画ではジェイソン・ステイサムが全員ぶっ殺してくれる。こんなにスカッとすることはないだろう。
フィッシング詐欺に無力だった老婦人・エロイーズはアメリカの一般市民の象徴である。クレイ(ジェイソン・ステイサム)は個人的な復讐と言っていたが、意味合いとしては一般市民全員の復讐になっている。
映画『ビーキーパー』はアメリカの大衆が求めた映画、人民の人民による人民のための映画なのだ。
また、アメリカではイギリスから独立した建国の経緯などから、政府の誤りは民衆が武装蜂起して正さなければならないという思想が色濃い。
法律でどうにかできないことはジェイソン・ステイサムが暴力でどうにかする!という脳筋プロットにも日本人と比べて共感しやすいのだろう。
『ビーキーパー』はグラップラーバキの範馬勇次郎が権力者に雇われた特攻野郎Aチームみたいなヒャッハーな暗殺部隊を相手取って無双するあり得ない話ではある。しかしいっぽうでアメリカの社会情勢が巧く反映されていた。
養蜂家を主人公にするコンセプト
筆者も養蜂を始めたので憧れのジェイソン・ステイサム先輩が養蜂家を演じてくれてものすごく嬉しかったが、映画のストーリーにもマッチしていた。
アメリカの国家と市民が蜂の群れ(巣箱)に喩えられている。本作の大統領が女性(女王蜂)なのも必然だ。
ビーキーパーは巣箱(国家)を外側からコントロールできる。
いわば社会システムを超越した存在であり、メタ的な意味ではステイサムが無双するのも納得できる。
女王蜂が老いたり働きが悪かったりすると、働きバチに殺されるのも事実。
養蜂家が産卵能力が落ちた女王を交換することがある。
養蜂家のジェイソン・ステイサムが働きの悪い大統領を排除する、ハチ社会になぞらえられた物語だった。
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