映画『まる』を鑑賞。想像以上に意味不明な話だったが、いろいろ深く考えさせられる不思議さもあった。
映画『まる』あらすじ
美大を卒業してアートで生計を立てられず現代美術家のもとでアシスタントの仕事をしている沢田(堂本剛)。ある日同じくアシスタントの矢島(吉岡里帆)から沢田さんはアイデアをパクられてこき使われて搾取されてそれでいいの?と質問される。沢田は何も答えられなかったが、帰りの自転車で雨が降る中で飛ぶ鳥の群れを眺めていたところ事故り、利き腕の右手を骨折してしまう。沢田は仕事をあっさりクビになった。
沢田はその帰りに公園へ行くと、池の鯉に餌をあげている先生(柄本明)を見つける。先生は食パンに丸く穴を開けていた。
アパートに帰った沢田は床に敷いたキャンパスの上をはう蟻(アリ)を見つける。沢田は何かインスピレーションを受け、ハケを使ってアリの周りに黒い丸を描く。それを古美術商に持っていった。
沢田はコンビニバイトで食い繋ぐことに。ミャンマーからの留学生・モー(森崎ウィン)にちゃんと仕事しろと言われる。隣人で売れない漫画家の(綾野剛)に絡まれるのがうざかった。
ある日、沢田のアパートに土屋というアートディレクターがやってきて、あなたが描いた円を1枚100万円で買うと言った。まるい黒丸は円相というらしく、禅では悟りの境地らしい。さわだは事情を飲み込めなかった。
その後、美術商で自分のまるの絵が飾られているのを見る沢田。後日いくと絵が売れていたので店内で美術商に声をかけてみると奥に通されて個展を開かないかと言われた。沢田はまるの人として超有名人に。人生が自分が描いたまるに取り込まれそうになる。
映画『まる』ネタバレ考察と感想:蟻の正体
堂本剛の哀愁漂う演技が素晴らしい。いっぽうで映画としては評価がかなり難しいアート系の作品。
まるという現代アート作品についての話で、映画のテーマ自体もアート的。さまざまな丸が重なり合ってまた1つのまるを描くような美しいコンセプトを感じた。そして(考察を書いておいて何だが)映画に意味を求める愚かしさのようなものも感じられた。意味があるかないか…白か黒かの西洋文化に対する批判にもなっている。
ただストーリーに大きなアップダウンがなく、賛否分かれる作品になるだろう。
荻上直子監督は『川っぺりムコリッタ』でもそうだったが、仏教にかなり関心があるのだと思った。
次のページでは、主人公・沢田と蟻の関係、現代アートや社会に対しての皮肉、結局何を言いたかったのかについて徹底考察していく↓↓
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