映画『事故物件ゾク 恐い間取り』(じこぶっけんぞく こわいまどり)を鑑賞。
ホラーの金字塔『リング』や『事故物件 恐い間取り』を大ヒットさせた中田秀夫監督が手掛けた新たな事故物件シリーズの面白さやクオリティはどうだったのか?本当にゾクっとするのか?
- ネタバレなし感想
- ネタバレ結末・ラスト解説
- ラストシーンの意味を徹底考察
- “呪物”は誰が置いた?
- 藤吉と花鈴の行動の謎
- 忖度なしの感想と評価:良い点と悪い点
これらの情報をまとめました。好きな項目からどうぞ!
映画『事故物件ゾク 恐い間取り』(2025)あらすじ・作品情報
あらすじ:福岡県に住む29歳のヤヒロ桑田ヤヒロ(渡辺翔太(Snow Man))は、タレントになる夢を叶えるために上京。紹介された芸能事務所の社長・藤吉清(吉田鋼太郎)に言われて“事故物件住みますタレント”の仕事を始めることに。
最初に住むことになった物件では、以前の入居者が和室で自殺したらしい。
怯えながらも事故物件に住み始めたヤヒロ。女性に首を噛まれる夢を見て、起きてみると実際に歯型がついていた。
ヤヒロは同じくタレントを目指す女性・春原花鈴(畑芽育)と出会い仲良くなる。しかし自宅に来た花鈴が取り憑かれて驚愕の行動に出てしまう…。
キャスト↓
©︎公式サイト
ネタバレなしの感想
前作『事故物件怖い間取り』よりはまだ怖くて面白かった気がする。
最近の中田秀夫監督作品だと『それがいる森』や『スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナル ハッキング ゲーム』よりは全然マシで『禁じられた遊び』よりはつまらない…という微妙な立ち位置。
ちゃんとしたホラー映画を観たかった人からしたらさぞかし拍子抜けすることだろう。ホラー好きな人からすれば全然怖くない部類に入る。
長澤まさみの『ドールハウス』を選ぶことをお勧めする。そちらの方がホラー映画としてのクオリティは何倍も高い。

主人公が4軒の事故物件に住んでいく話なのだが、4つの物件に特につながりがなく、主人公の青春と恋愛要素でタテグシを刺した稀有なホラー。中田秀夫監督はある意味で新境地に達した。
ストーリーの細かい部分がかなり意味不明で、これは考察してほしいのかなんとなくこんな感じになってしまったのか?大いに謎の残るつくりだった。
良くも悪くも高校生カップルが観に行く感じの軽いノリの作品。
映画『事故物件ゾク恐い間取り』ネタバレラスト結末の解説
1軒目:自殺アパート
ヤヒロは1軒目のアパートで女性の霊が頭を壁に擦り付けるのを目撃。窓の下には女性の爪が挟まっていた。
ヤヒロは心霊番組に呼ばれ、霊能力者の神室と出会う。
神室はヤヒロの部屋で呪物を見つけ、呪物のせいで霊が集まっていると告げる。そしてヤヒロに早く引っ越せと言った。
ヤヒロはさすがにやばいと思って家を出る。
2軒目:心霊旅館
ヤヒロは心霊番組のロケで栃木にある旅館へ。ヤヒロは旅館の上階からどんどんという音を聞く。
番組が始まると、ヤヒロは「この旅館には病気の少女が療養に来ていたが、一向に治らないため不憫に思ったお母さんに首を絞められて殺された」と無意識に喋り出した。
ヤヒロは夜に旅館の上階で、少女の霊が母親の霊に首を絞められているのを目撃。朝起きて夢かと思ったが、旅館のオーナーから「実際にあった話だ」と伝えられる。
3軒目:シェアハウス
ヤヒロは事故物件のおかげでだんだん名前が売れてきたことを実感。次は霊が出ると噂のシェアハウスに住むことにした。
小山(加藤諒)と久米(金田昇)がルームメイトだった。
ヤヒロは夜に久米の部屋から老婆の泣く声を聞く。ヤヒロは小山と久米に協力してもらい交霊の儀式をしてみた。すると「私の血だ」というメッセージと共に、天井から久米に血が降りかかってくる。
後日、久米は屋上から飛び降りた。ヤヒロは久米が飛び降りる瞬間に老婆におぶさられたのを確かに見た。
久米は一命を取り留めた。シェアハウスに前に住んでいた老婆が飛び降り自殺していたと判明。その老婆が久米に取り憑いたのだろう。
ヤヒロは事故物件住みますタレントの仕事が怖くなる。
4軒目:彼女の秘密、ラスト結末
ヤヒロは花鈴と仲良くなり、一緒に住むことになる。
花鈴は雷が鳴ると押し入れで泣き叫んだ。花鈴は「父が妻と付き合った男性を殺してしまった。私は殺人者の娘だ」と語る。
同じ時期に、ヤヒロは藤吉社長が実は幽霊で、実在しないことを知る。
ヤヒロは花鈴の部屋で金縛りにあう。そばには男性の霊が立っていた。
ヤヒロの母の体調が悪くなったと連絡があり、ヤヒロは花鈴を連れて実家に帰ることにする。
しかし花鈴が突如、霊に取り憑かれて走り出す。
ヤヒロはGPSで花鈴を追う。花鈴はボロアパートにいた。男性の死体があった。藤吉社長だった。
花鈴は孤独死している父(藤吉)を見て涙を流す。2人は藤吉の葬式をすませた。
ヤヒロはこれからも事故物件タレントとして生きることを決めた。
映画『事故物件ゾク 恐い間取り』終わり
映画『事故物件ゾク 恐い間取り』考察まとめ
ラストシーンの意味
ヤヒロは最後に憧れの勝俣州和に会う。勝俣州和には少女の霊がついていた。
勝俣もヤヒロと同じく優しい人間なので、本人は気づかないうちに霊に頼られて取り憑かれていると考えられる。
少女の霊は勝俣を利用して何かを叶えようとしていたが、ヤヒロに邪魔されると思ったのかもしれない。
また、ヤヒロが幼少期に演説を聞いた時には勝俣はすでにこの少女の霊に取り憑かれており、ヤヒロもなんらかの霊的な影響を受けた可能性もある。
つまり、ヤヒロがタレントになったのには霊の影響もあったという示唆かも。
呪物は誰が置いた?
1軒目のアパートに呪物(女性の右目)が置かれていた理由は謎のまま。
女性の霊がヤヒロを好きっぽかった描写(花鈴には出ていけと言っていた)があった。
そこから推測するに、女性の霊は付き合っていた男を他の女に奪われ、それを苦に自殺したのかもしれない。
鏡の奥に呪物(自分の目玉)を置き、部屋に霊体として存在できるようにした。そしてヤヒロや花鈴を使って自分のやり残したことを果たそうとした。
ただ霊能力者の神室が、呪物について「たくさんの霊を呼びよせる」と言っていたのも気になる。
アパートにはもともと呪物の目を置いた女性の霊と、自殺した女性の霊が2体いた可能性もある。
自殺した女性は呪物によって殺されたと考えることもできる。
藤吉社長と花鈴の行動の謎
藤吉は幽霊で孤独死をしていた。
死んだ後で娘の花鈴が心配になったので、ヤヒロが花鈴と出会うように仕組んだのだろう。
花鈴の部屋には男性の幽霊がいた。この霊は藤吉ではない。藤吉が殺した男性(花鈴の母と付き合っていた人物)だと考えられる。
- 藤吉の霊は、花鈴が自分が殺した男性に取り憑かれていると知った
- そこで藤吉の霊は優しいヤヒロを選び、彼を事故物件に住まわせることで霊に対しての耐性をつけさせ、花鈴をサポートするよう計画した
こういう経緯だと考えられる。
花鈴に取り憑いていたのは誰の霊なのか?という疑問も残る。
藤吉の霊が直接取り憑いていた可能性もある。しかし父が娘に憑依するのはしっくりこない。
花鈴が取り憑かれたときの目の状態が1軒目と最後で同じだったので、1軒目の自殺した女性の霊が藤吉(霊)に頼まれて花鈴に取り憑いた線も考えられる(妄想にはなるが)。
もしかするとヤヒロにはいろんな霊がついており、その霊のどれかが取り憑いたのかもしれない(霊の運び屋的な役割)。
またGPS情報によると、花鈴は日中にある場所にずっといたようだ。藤吉のアパートにいたのだろう。
藤吉はヤヒロに最後にお礼が言いたくて、(花鈴を使って)家に呼び寄せたと考えられる。
映画『事故物件ゾク 恐い間取り』感想と評価
良い点:キャッチーで見やすいお手軽ホラー
中田秀夫監督が『リング』で見せた貞子の風貌のような女幽霊が多数登場。ビジュアルもまあまあ怖くて、少し涼みたいときには丁度いいくらいの怖さだった。
インターホンに女性の霊が映っていたり、女性の霊が壁に頭を擦り付けていたりなど、“人間でない超常的な何か”を表現させたらさすが中田秀夫だと感じた。
推測にはなるが、中田秀夫監督は小学生〜高校生くらいが楽しめる程度に怖さを調整したのだろう。
映画をヒットさせたい場合、ガチ怖だったり攻めたグロ表現を取り入れたりしてしまうとR15指定になって小学生が来れなくなってしまう(私の隣の席も小学生女子の2人組がいた)。
子供たちが程よく楽しめるようにストーリーは複雑でなく、怖さも丁度いい塩梅にし、さらに恋愛要素やコメディ要素をしっかり入れ込んでみやすくしたのだと思う。
ホラーガチ勢はぜんぜん満足できないだろうけど、制作側の配慮や戦略がしっかりと伝わってきた作品だった。
亀梨和也さんが本人役でカメオ出演していたが、前作で主人公だった彼は事故物件タレントとして名前が売れて有名になったということなのだろう。
主人公・ヤヒロの名前は八尋神社から取られているのだろうか。ヤヒロの存在自体が厄除けになっていると思った。
ひどい点:意味不明な部分が多すぎ!
評価は5点中2.5点!
4つの事故物件でどんな恐怖体験があったか?という構造なので、映画としてストーリーに大きなオチがない。そのためカタルシスもない。ドラマを4話見ている気分になった。
花鈴の父親が藤吉だったという弱いオチで締めくくられたのが残念。1本の映画として芯がなく、物語自体は面白くない。
加えて意味不明な点が多すぎる。特に藤吉が何をどうしたかったのかについては、こちら側が妄想レベルで色々考えないと納得できない。藤吉自身が花鈴に取り憑いて自分のアパートに呼んだのか、他の霊なのか不明。
ヤヒロを花鈴に引き合わせたいだけなら、わざわざ事故物件の仕事をしろと言わなくても良かった気がするが、これはヤヒロの霊的能力を引き出すためだったのだろうか。
脳内がツッコミ過多の状態でキツかった。鑑賞中は論理的思考を停止することがマナーとして求められる作品。
ヤヒロが施錠されていたはずの事務所に入れたりしたのはナゼ?すり抜けたの?まさかヤヒロまで幽霊だったら笑うけど。
藤吉は幽霊のくせにCMの仕事を取ってきたりメールを送ったりはできるの?
細かい点をツッコミ出すとホントキリがない。色々考察しても深いメッセージが得られるとかも特に無し。
キャスト
桑田ヤヒロ|cast 渡辺翔太(Snow Man)
春原花鈴|cast 畑芽育
藤吉清|cast 吉田鋼太郎
山中|cast 滝藤賢一
籔越|cast 諏訪太朗
金原|cast じろう(シソンヌ)
神室|cast 山田真歩
大宮|cast 正名僕蔵
小山|cast 加藤諒
久米|cast 金田昇
謎の女性|cast 佐伯日菜子
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