最高におもしろくて気持ち悪かった人喰い村の狂気を描いた『ガンニバル』。
- 最終回の内容まとめ
- 供花村の村人も人を喰っていた!?徹底解説
- 地下牢や柱の「逃げろ」や最後の「逃げるな」の意味・書いた人物を考察
- ましろと白銀の関係性、ましろはカニバリズムに目覚めた?
『ガンニバル』最終回のあらすじ解説
人を喰っていたのは村人(ガンニバル最終回のネタバレあり)
漫画『ガンニバル』の最終回で1番読者に投げっぱなしにされた大きな謎は、最後に人間の指をくわえていた老婆ふくめ、村人たちがどの程度まで食人に関わっていたか?です。
まず漫画で判明した事実を箇条書きしてみます。
後藤家について↓
- その昔、供花村に流れついて差別された旧後藤家は奉納祭の生贄をさらって食っていた
- 旧後藤家の金次や定は人を喰ってない(銀の発言)
- 地下牢は後藤家に出た狂い病の患者を隔離する場所だった
- あの人=白銀は食人による狂い病を克服した存在
- 戦争中にやってきた岩男の祖父の一族がもともとの食人族
- 銀と岩男の祖父たちが旧後藤家を殺して乗っ取った
供花村について↓
- 供花村では昔から奉納祭で生贄を捧げていた
- 村人たちも昔は供花村に流れついた一族
- 狂い病は人を喰うと発症する
- 正宗は狂い病
- 村の老婆が人を喰っている
これらを統合すると事実はけっこう複雑です。
まずは後藤家から見ていきましょう。
後藤家の食人
狂い病の患者のための地下牢があるので、この地に流れついた後藤家たちが一時期 食人していたことは確かでしょう。
その後裕福になった定や金次の時代は人を喰っていませんでした。
しかし食人族だった岩男たち(現在の岩男の祖父)たちが旧後藤家とすげ代わります。
まとめると旧後藤家は人喰いの過去が一応あったものの、それは大昔の食料がなかったときのことで仕方なくやった。
銀が覇権を握って新後藤家になってからは人を喰っていたのは白銀だけ。
しかし、岩男の祖父は裏で人を食っていたかも…ということになります。
正宗や村人による食人
さて本題の村人や前神主・神山正宗についてです。
高齢の正宗は狂い病でした。
若い頃の正宗は「狂い病を克服して巨体になった人物が、来乃神が地上におりた現人神(あらひと)と呼ばれていた記録がある」と発言していました。
人を喰った狂い病の人物を神と崇めた記録があることから、昔の供花村では食人の風習があったのでしょう。
神主の家系は生贄を捧げる奉納祭を取り仕切っていることもあり、正宗の代までは食人に関わっていたのだと思います。
つまり神主も村人も人を喰っていたわけです。
しかし時代が変わり、食人の風習を隠すために差別される側だった後藤家だけが人を喰っていることにしたのではないでしょうか。後藤家に食人の責任を押し付けた格好です。
村人が人間を喰ってもぜんぶ後藤家のせい、というわけです。
供花村の住人の祖先は他の土地からの流れ者だったそうです。住民の祖先がこの地にやってきたときに地域に住んでいた集落の人々を食い殺したのが因縁のはじまりだったのではないでしょうか。
『ガンニバル』考察:逃げろ・逃げるなの意味!
ガンニバル考察の最難関が“逃ゲロ”の意味です。
駐在所の柱だけでなく、“あの人”こと白銀(しろがね)がいた地下牢の格子にも書かれていました。
しかも同じ筆跡です。
ということは同じ人物が書いたか、もしくは血のつながりがある人物同士が書いた可能性が高いでしょう。
漫画ではいつ書かれたものかまでは判別できないうえに判断材料も少ないので断定はむつかしいですが、考えられるパターンを書いていきます。
狩野治が書いた
地下牢にも大悟たちがいる駐在所にも逃ゲロと書かれていました。
狩野治は後藤家につかまって白銀の地下牢に入れられたときに「逃ゲロ」と書いた可能性があります。
(狩野を牢に入れたら白銀に食われそうですが、白銀は出歩くこともありますし、中にいなかったのかもしれません。)
(生贄となる子どもたちがいる牢に狩野を入れた場合、子どもたちが人質に取られてしまうので白銀の牢に入れたのでしょう)
ちなみに狩野の失踪前に後藤家で撮影された映像で彼がすでに狂乱状態だった理由は、村人たちに何らかの形で脅されたからの可能性があると考えます。
狩野は村人たちの危険性を考慮し(最終巻でこの地下牢にたどりついた刑事のように)捜査でやってくる外部の人間に向けて「逃ゲロ」と書いたのではないでしょうか。
狩野治の妻・幸子(ゆきこ)が精神病院で「逃ゲロ!」と連呼していたので彼女が書いたのかとも思いましたが、幸子は後藤家に行ってません。
なのでやはり狩野治がやった可能性のほうが高いと思います。
逃げるなの意味:ましろが書いた?
最終巻では駐在所の柱の「逃ゲロ」の文字が→「逃げルナ」に書き換えられていました。
書き換えた理由は真相に迫って多くを知っている大悟たちを喰うためだと思います。
もしくは、食人の習慣をなくしたい誰かが大悟に残って調査をしてもらいたかったのかもしれません。
あとは、カニバリズムに洗脳されたましろが書き換えた可能性もあります。ましろは供花村に残って食人したいと考え、今後その機会を伺っていくのではないでしょうか?
地下牢の文字は銀が書いた?
地下牢の文字を書いたのは銀だという可能性もあると思いました。
逃ゲロと書かれていたのは白銀が住んでいた牢の内側です。逃ゲロは白銀に向けられたメッセージと考えることもできます。
白銀に何かメッセージを残すのは、母である銀だけでしょう。(後藤家の人間は、崇拝する白銀に逃ゲロと書かないだろうし)
白銀は言葉は少ししゃべれるものの文字は読めるかわかりません。それでも銀はメッセージを残したのかもしれません。
銀は大悟が銀の死体を発見した前日までは生きていたようです。
ただ晩年の銀は狂い病におかされており、みんなからは“ボケていた”と言われています。
病ではっきりしない意識のなかで、自分が殺されることを予感し、大規模な争いが起こるから白銀に逃げてほしかったのかもしれません。
数十年前の若い銀は、後藤家を乗っ取り村人たちを支配下において争いが終わっても白銀が地下牢から出てこないことを後悔していました。
いっぽうで銀は、恐怖で村人を支配するために白銀を食人の儀式で利用し続けます。
狂い病で理性がなくなっているのに反比例して息子・白銀への母性は増し、「逃ゲロ」と書いたのではないでしょうか。
駐在所の文字も、もしかすると銀が自分で書いたか誰かに書かせたのかもしれません。彼女が書いたとすれば、村と無関係の人をこれ以上巻き込みたくないという意思でしょう。
カニバリズムの感染:大悟とましろの今後…
大悟は最終13巻のラストシーンで洋介から村人たちの食人の可能性を聞かされ「逃げるわけねえ」と言って不敵に笑っています。
独自で捜査を続けるつもりで、後日譚の『ガンニバル B話』では大悟は後藤家を殺しまくった村人・河口尊(かわぐちたける)相手に聞き取りをしていました。
まず、今の供花村でも食人の風習が続いている場合、多くの村人が関わっているため敵が多すぎて大悟が生き抜ける保証はありません。
狩野治と妻・幸子を精神的に狂わせたのは後藤家でなく村人の可能性も高いため、大悟も同じ道をたどってしまうかも…。
そして仮に大悟が村の秘密を暴くことに成功したとしても不安要素は残っています。
最終話のラストシーンでは、娘のましろが逃げルナの柱で指先を切って出た血をすごい表情で見つめたあと、自分でなめてました。
白銀や岩男の仲間たちが人を喰らうのを間近で見たましろも、カニバリズムの狂気に感染してしまったことを意味しています。大悟が今野(ましろのストーカー)を撃ち殺したときにましろは彼の血を浴びていました。その時に血を舐めて味を覚えたのかもしれません。
さらに、ましろ自身が村を出たくないから柱の文字を「逃げるな」に書き換えた説も考えられます。
食人するために大悟を焚きつけたのが娘のましろだとしたら…。超バッドエンドですね。
銀→白銀→真白(ましろ)。名前のメタ的な関連も気になります。
白銀はましろが人喰いの性質を持っていると勘づいたから指をあげたのかもしれません(1巻)。
後藤家と供花村の住人の狂気の連鎖も、人々がカニバリズムの狂気に逆らえずお互いの人間を犠牲にし続けたせいだと思います。
供花村の狂気は振り子のように連鎖し、当分消えなさそうです。
以上で『ガンニバル』の考察を終わります。
いろいろな謎が残ったまま完結というのが、良い意味での後味の悪さを残した傑作漫画だと思いました。
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