映画【推しの子】The Final Actネタバレ感想,カミキヒカルの最後を考察&実写版解説レビュー

映画【推しの子】The Final Act

映画【推しの子】The Final Act(ファイナルアクト)を鑑賞。

実写版のネタバレ&ラスト結末と、カミキヒカルやアクアの最後、パラレルワールドについての徹底考察

映画の構成としてどうなのか?という部分もあったので忖度なしで感想や評価をぶっちゃける

映画【推しの子】The Final Act:あらすじ

十数年前の過去:宮崎病院に勤める雨宮吾郎(成田凌)は、アイドルB小町のアイ(齋藤飛鳥)の熱狂的なファンである天童寺さりな(稲垣来泉)の面倒を見ていた。しかし、さりなは病気で死亡。

さりなの意思を受け継いだ吾郎はアイの熱狂的なファンになる。そんなある日、アイが産婦人科にやってきた。吾郎はパニックになった。アイは双子を妊娠している。

数ヶ月後のアイが産気づいた当日、病院にアイを訪ねて不審者・リョースケがやってくる。吾郎はリョースケを追いかけるが…。

現在:アクア(櫻井海音)は「妹のルビー(齊藤なぎさ)と自分が殺されたアイの実子だ」と世間に公表する。ルビーはアイの嘘を守り通さなかったアクアに失望した。

父親でありアイを殺した犯人である人物を特定したアクアは、「15年の嘘」という映画を企画し、映画の公開によって犯人を追い詰めようとするが…。

ちょこっと感想(ネタバレなし)

劇的な悲劇の渦に飲み込まれていくラストが素晴らしかった。

そのいっぽうで、映画というよりドラマの続きを映画館で見せられた感じは否めない。最初の1時間をたっぷり使って吾郎とさりなとアイのプロローグを描いたこともあり、映画的な構成とは少し違う。(そのままドラマで配信すればよかったのに)

アマプラの実写ドラマ版の全8話は絶対に見てから映画を鑑賞した方が良いと思う。原作やアニメを見ている人でも、ドラマを見ていないとキャストに全く感情移入できないだろう。

また原作やアニメのストーリーや登場人物が端折られていたり変更されていたりしてファンは泣き叫ぶかもしれないが、それは実写化の宿命で仕方ないと思う(「東京ブレイド」のエピソードはその予行演習)。

よく言えばギュッとまとめられている。

キャスト

映画【推しの子】The Final Act キャスト

アイ|cast 齋藤飛鳥
アクア|cast 櫻井海音
ルビー |cast 齊藤なぎさ
有馬かな|cast 原菜乃華
黒川あかね|cast 茅島みずき
MEMちょ|cast あの
雨宮吾郎|cast 成田凌
リョースケ|cast 杢代和人
五反田泰志|cast 金子ノブアキ
斉藤ミヤコ|cast 倉科カナ
斉藤壱護|cast 吉田鋼太郎
神木輝(カミキヒカル)|cast  二宮和也

映画【推しの子】The Final Act:ネタバレラスト結末

ネタバレ1:吾郎の転生

過去:吾郎は不審者リョースケ(杢代和人)に崖から突き落とされて死亡。そしてなんとアイの子供、推しの子・アクアとして転生した。双子の妹・ルビーも自分と同じ転生組のようだ。

アクアとルビーは成長し、アイも子供を産んだことを世間には公表しないままドーム公演当日を迎える。

しかしアイは自宅にやってきたリョースケにナイフで刺されてしまう。アイはアクアとルビーに「愛している」と言い残して死亡した。

ネタバレ2:15年の嘘

現在:アイからのビデオレターを見たアクア(櫻井海音)は、自分たちの本当の父親でありアイを殺させた犯人が芸能事務所を運営するカミキヒカルだと気づく。

アクアはカミキヒカルを追い詰めるために15年の嘘という映画を企画し、五反田泰志(金子ノブアキ)に監督を依頼。プロデューサーは鏑木(要潤)に頼んだ。

アクアはカミキヒカルを演じることにする。

黒川あかね(茅島みずき)がアイ役を狙うが、この役はルビー (齊藤なぎさ)がやるべきだと考えて、他の役を選択。

有馬かな(原菜乃華)も15年の嘘に出演することにする。有馬は演技に専念するためにアイドル・新生B小町を卒業することを決意した。

斉藤壱護(吉田鋼太郎)はアクアから真実を聞き、ミヤコ(倉科カナ)のもとへ戻ってきた。

映画『15年の嘘』の内容

アイは劇団ララライのワークショップに参加し、そこで当時中学生のカミキヒカルと出会う。カミキヒカルは劇団のまとめ役である女優の姫川愛梨(ひめかわあいり)から性◯虐待を受けていた。

アイは「カミキは自分と同じ空っぽだ」と考え、惹かれ、体を重ねる。

アイは双子を妊娠したが、カミキは興味を示さなかった。カミキはアイの熱狂的なファンであるリョースケに妊娠の事実を告げ、命を狙わせる。しかしリョースケは吾郎を殺して逃げることに。

その後、リョースケは再びカミキにそそのかされ、ドーム公演当日にアイを殺害した。

最後:カミキヒカルと対決

ルビーは、アクアこそが最愛の人・吾郎の生まれ変わりだと知って彼を抱きしめる(ルビーはさりなの転生)。

そして映画の撮影が終了。ルビーは殺されるシーンで慈愛に満ちた演技をして「母・アイだったら犯人を許すはず…」とアクアに伝えた。

アクアはついに神木輝(カミキヒカル 二宮和也)と対峙する。

カミキは「映画を見たけど大体の内容は合っている」と告げた。アクアはカミキが空虚な人物だと悟り、復讐をやめて今後は自分の人生を歩むことを決意した

しかし映画のプレ公開当日に映画館で何者かがボヤ騒ぎを起こし、観客や記者たちはパニックになる。アクアは何者かに(ヒカルが雇った女性)に腹を刺されてしまう。さらにルビーが誘拐された。アクアのスマホに位置情報が送られてくる

港にある廃墟ビルの屋上でカミキが待っていた。隣には薬で眠らされているルビーがいる。

カミキは「価値ある命を奪うことでしか生きている実感が湧かない」と笑う。そして「君が僕を殺したら、ルビーは殺人犯の妹だ」とアクアにナイフを渡した。

アクアはナイフを落とし、カミキと一緒に海へ落ちた。2人の死体は上がらなかった

事件は事故で処理された。

その後、ルビーは落ち込むものの、アイドルとして頂点を目指すために再び立ち上がる。

映画【推しの子】The Final Act 徹底考察

カミキヒカルについて

原作のカミキヒカルについては転生組では?と言われているが、映画ではカミキがアクアに「なんで医者(吾郎)の話わかったの?」と言っていたので、転生した人物ではないという解釈だと思う。

原作のカミキはアイを愛していたが、実写映画ではそんな様子は見られない(ここが原作と実写の大きな違いだろう)。

カミキは心が空虚なサイコパスとして描かれる。

そして、カミキとアイの対比が浮き彫りにされていた。カミキとアイは大人から虐待を受けており空っぽな人物との共通点があるが、アイはアクアとルビーを産んで人間性を取り戻し、逆にカミキは誰にも救われなかった悲しいサイコパスと化した。

カミキヒカルがアイを殺した理由は、大切な人生を奪うことで自分が生きていると実感したいから。

さらに紐解いていくと、アイはアイドルや母親として他人に愛を与えた。カミキは他人の全てを奪っていった。その対比が美しい

アイとカミキは表裏一体の関係なのだ。

カミキは愛を理解できなかったので、たくさんの愛で満たされた他人の人生を奪うことで愛を感じようとしていたのだと思った。

タイトル「The Final Act」の意味はアクアとカミキ

タイトルのThe Final Actとは最終幕や最終章の意味。

これはアクアの人生にかかっていると感じた。アクアの人生自体が復讐のための演技であり、人生こそが復讐という作品だった。

アクアはカミキヒカルと心中することでそんな人生に幕を閉じた。

アクアは転生前は吾郎だった。吾郎は自分が生まれる時に母親が死亡したことで、母親を殺してしまったと心に傷を負っていた。

いっぽうカミキも両親からネグレクトを受けているふうだったし、劇団の姫川愛梨から虐待を受けていた。

アクアとカミキの対決は、母を殺してしまった者と、母に(心を)殺されてしまった者の対消滅だったのだ。

アクアは再び転生する?

すでに死んだアクアが独白した物語こそが本作なのだろう。

アクアの死体が上がらなかったのは、もしかすると転生していることの示唆かとも考えた(原作ではアクアの死体が見つかる)。

アクアは第3の人生で、アイと自分の物語を語り、今はルビーを再推ししているのかもしれない。

カミキヒカルも転生してそう。

アクアとカミキがルビーの双子の息子として転生している未来を想像してしまう。

パラレルワールド

原作では海に沈むアクアが、病気のさりなが元気になってB小町に加入し、アイと歌っているパラレルワールドを目撃する。

劇中劇や、アクアの「すべてはフィクションだ。どうせ嘘なら…」というメタ発言を含め、パラレルワールドを匂わせるコンセプトがあると感じた。

実写映画版では、吾郎がB小町のアイを好きになったのはさりなが死亡した後だった(原作と違う)。

吾郎にB小町のチケットを取ってもらっており、そのチケットをタイムカプセルに埋めていたが、ドーム公演のチケットじゃなかったっけ?(記憶朧げ)

どことなく違う世界線のようにも見える。

作品内に複数のパラレルワールドがあり、かつ実写映画自体が、原作やアニメ版のパラレルワールであることを示唆しているようにも考えられる。

映画【推しの子】The Final Act:感想ネタバレあり解説

良かった点

改めて、推しの子として生まれ変わって母を殺した犯人を探すストーリーが素晴らしいと感じた。

アクアが犯人であるカミキヒカルを道連れにして心中する結末は賛否あるだろうが、ドロドロサスペンスが好きな私は受け入れられた。

駆け足で終わったためアクアが転生した理由(原作では目的はルビーを救うため)や2人の関係がボヤけてしまっていた気もするが、そこは考察の余地がある余韻として残されていたと感じた。

演技ではカミキヒカルを演じた二宮和也さんが出色だった。彼がカミキヒカルだから物語に説得力が生まれたように思える。同じ脚本でも他のキャストだったら印象が全然変わるんだろうな〜と改めて実感させられた。

残念な点・ひどい点

推しの子という実写化困難なコンテンツという意味では及第点だと思う。

ただストーリーの複雑さがそのまま演じることの難しさに繋がっていたため、没入感があって感動する映画!とまではいかなかった。理由をくわしく解説していく。

演技や映画の構成についての感想は次のページへ↓↓

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