映画『事故物件ゾク 恐い間取り』ネタバレ考察ラストの意味/伏線の全解剖,感想はひどい?

2.5

映画『事故物件ゾク 恐い間取り』

映画『事故物件ゾク 恐い間取り』(じこぶっけんぞく こわいまどり)を鑑賞。

ホラーの金字塔『リング』や『事故物件 恐い間取り』を大ヒットさせた中田秀夫監督が手掛けた新たな事故物件シリーズの面白さやクオリティはどうだったのか?本当にゾクっとするのか?

  • ネタバレなし感想
  • ネタバレ結末・ラスト解説
  • ラストシーンの意味を徹底考察
  • “呪物”は誰が置いた?
  • 藤吉と花鈴の行動の謎
  • 忖度なしの感想と評価:良い点と悪い点

これらの情報をまとめました。好きな項目からどうぞ!

映画『事故物件ゾク 恐い間取り』あらすじ・作品情報

公開:2025年7月25日
長さ:118分
監督:中田秀夫
脚本:保坂大輔
原作:松原タニシ
主題歌:Snow Man「SERIOUS」

あらすじ:福岡県に住む29歳の桑田ヤヒロ(渡辺翔太(Snow Man))は、タレントになる夢を叶えるために上京。

紹介された芸能事務所の社長・藤吉清(吉田鋼太郎)に言われて“事故物件住みますタレント”の仕事を始めることに。

最初に住むことになった物件では、以前の入居者が和室で自殺したらしい。

怯えながらも事故物件に住み始めたヤヒロ。女性に首を噛まれる夢を見て、起きてみると実際に歯型がついていた

ヤヒロは同じくタレントを目指す春原花鈴(畑芽育)と出会い仲良くなる。

しかし自宅に来た花鈴が取り憑かれて驚愕の行動に出た…

キャスト↓

映画『事故物件ゾク 恐い間取り』のキャスト

©︎公式サイト

ネタバレなしの感想

前作『事故物件怖い間取り』よりはまだ怖くて面白かった気がする。

最近の中田秀夫監督作品だと『それがいる森』や『スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナル ハッキング ゲーム』よりは全然マシで『禁じられた遊び』よりはつまらない…という微妙な立ち位置。

ちゃんとしたホラー映画を観たかった人からしたらさぞかし拍子抜けすることだろう。長澤まさみの『ドールハウス』を選ぶことをお勧めする。そちらの方がホラー映画としてのクオリティは何倍も高い。

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主人公が4軒の事故物件に住んでいく話なのだが、4つの物件に特につながりがなく、主人公の青春と恋愛要素でタテグシを刺した稀有なホラー。中田秀夫監督はある意味で新境地に達した。

ストーリーの細かい部分がかなり意味不明で、これは考察してほしいのかなんとなくこんな感じになってしまったのか?大いに謎の残るつくりだった。

良くも悪くも高校生カップルが観に行く感じの軽いノリの作品。

映画『事故物件ゾク恐い間取り』ネタバレラスト結末の解説

【1軒目】自殺アパート

ヤヒロは以前の住人が自殺した部屋に住むことに。

夜、女性に首を噛まれる夢を見て起きると…実際に歯型が!

頭を壁に擦り付ける女性の霊を目撃。窓の下には折れた女性の爪が…。

ヤヒロはCMの撮影で花鈴と出会い、仲良くなる。花鈴がヤヒロの家にくると、女性の霊に取り憑かれて倒れた。

心霊番組で霊媒師・神室(山田真歩)と出会う。

ヤヒロと神室は部屋に呪物を発見し、「ここにいてはいけない」と忠告。

その呪物とは、女性の目玉だった。確かに女性の霊には右目がなかった。

ヤヒロ、ついに退去。

【2軒目】旅館(心霊ロケ)

病気の少女が療養していた旅館に宿泊。

ロケ中にヤヒロが“憑依”されたかのように語り出す。
「病気の療養に来ていた少女がいたが、病気で苦しむのを見かねた母親に首を絞められて殺された」と…。

夜、ヤヒロは旅館の上階で母に首を絞められる少女の霊を目撃。少女が足をバタバタさせていたので、旅館の上階から大きな物音がしたのだ。

朝になると、旅館オーナーが「少女と母親の話は実話だった」と仄めかす。

【3軒目】シェアハウス

人気が出てきたヤヒロは事故物件のシェアハウスへ。

同居人は小山(加藤諒)と久米(金田昇)。

久米の部屋から老婆の泣き声が…。

3人で交霊を試みると、「私の血だ…というメッセージとともに」天井から血が降る。血は久米に降り注いだ。

後日、気が触れた久米が屋上から飛び降りるが一命を取り留める。ヤヒロは飛び降りる瞬間に久米背中に老婆の霊がしがみついていたのを目撃。

過去にこの家で老婆が飛び降りていたことが判明した。

【4軒目】彼女の秘密と衝撃のラスト結末

住む場所がなくなったヤヒロは花鈴(畑芽育)の家に招かれてそこで暮らし始める。

だが花鈴の様子がおかしい…。

雷で取り乱し、押し入れに隠れる花鈴。

花鈴は「父が人を殺した。私は殺人者の娘…」と告白。

同時にヤヒロは藤吉社長が“この世に存在しない”ことを知る。

花鈴が突然何かに取り憑かれ、失踪した。

ヤヒロが追跡すると、古いアパートで“藤吉の遺体”を発見。

花鈴の父・藤吉の死体があった。孤独死だった。

2人は葬儀を済ませ、ヤヒロは事故物件タレントを続ける決意をする。

映画『事故物件ゾク 恐い間取り』終わり

映画『事故物件ゾク 恐い間取り』考察まとめ

ラストシーンの意味

ヤヒロは最後に憧れの勝俣州和に会う。勝俣州和には少女の霊がついていた。

勝俣もヤヒロと同じく優しい人間なので、本人は気づかないうちに霊に頼られて取り憑かれていると考えられる。

少女の霊は勝俣を利用して何かを叶えようとしていたが、ヤヒロに邪魔されると思ったのかもしれない。

また、ヤヒロが幼少期に演説を聞いた時には勝俣はすでにこの少女の霊に取り憑かれており、ヤヒロもなんらかの霊的な影響を受けた可能性もある。

つまり、ヤヒロがタレントになったのには霊の影響もあったという示唆かも。

呪物は誰が置いた?

1軒目のアパートに呪物(女性の右目)が置かれていた理由は謎のまま。

女性の霊がヤヒロを好きっぽかった描写(花鈴には出ていけと言っていた)があった。

そこから推測するに、女性の霊は付き合っていた男を他の女に奪われ、それを苦に自殺したのかもしれない。

鏡の奥に呪物(自分の目玉)を置き、部屋に霊体として存在できるようにした。そしてヤヒロや花鈴を使って自分のやり残したことを果たそうとした。

ただ霊能力者の神室が、呪物について「たくさんの霊を呼びよせる」と言っていたのも気になる。

アパートにはもともと呪物の目を置いた女性の霊と、自殺した女性の霊が2体いた可能性もある。

自殺した女性は呪物によって殺されたと考えることもできる。

藤吉社長と花鈴の行動の謎

藤吉は幽霊で孤独死をしていた。

死んだ後で娘の花鈴が心配になったので、ヤヒロが花鈴と出会うように仕組んだのだろう

花鈴の部屋には男性の幽霊がいた。この霊は藤吉ではない。藤吉が殺した男性(花鈴の母と付き合っていた人物)だと考えられる。

  1. 藤吉の霊は、花鈴が自分が殺した男性に取り憑かれていると知った
  2. そこで藤吉の霊は優しいヤヒロを選び、彼を事故物件に住まわせることで霊に対しての耐性をつけさせ、花鈴をサポートするよう計画した

こういう経緯だと考えられる。

花鈴に取り憑いていたのは誰の霊なのか?という疑問も残る。

藤吉の霊が直接取り憑いていた可能性もある。しかし父が娘に憑依するのはしっくりこない。

花鈴が取り憑かれたときの目の状態が1軒目と最後で同じだったので、1軒目の自殺した女性の霊が藤吉(霊)に頼まれて花鈴に取り憑いた線も考えられる(妄想にはなるが)。

もしかするとヤヒロにはいろんな霊がついており、その霊のどれかが取り憑いたのかもしれない(霊の運び屋的な役割)。

またGPS情報によると、花鈴は日中にある場所にずっといたようだ。藤吉のアパートにいたのだろう。

藤吉はヤヒロに最後にお礼が言いたくて、(花鈴を使って)家に呼び寄せたと考えられる

映画『事故物件ゾク 恐い間取り』感想と評価

良い点:キャッチーで見やすいお手軽ホラー

中田秀夫監督が『リング』で見せた貞子の風貌のような女幽霊が多数登場。ビジュアルもまあまあ怖くて、少し涼みたいときには丁度いいくらいの怖さだった。

インターホンに女性の霊が映っていたり、女性の霊が壁に頭を擦り付けていたりなど、“人間でない超常的な何か”を表現させたらさすが中田秀夫だと感じた。

推測にはなるが、中田秀夫監督は小学生〜高校生くらいが楽しめる程度に怖さを調整したのだろう。

映画をヒットさせたい場合、ガチ怖だったり攻めたグロ表現を取り入れたりしてしまうとR15指定になって小学生が来れなくなってしまう(私の隣の席も小学生女子の2人組がいた)。

子供たちが程よく楽しめるようにストーリーは複雑でなく、怖さも丁度いい塩梅にし、さらに恋愛要素やコメディ要素をしっかり入れ込んでみやすくしたのだと思う。

ホラーガチ勢はぜんぜん満足できないだろうけど、制作側の配慮や戦略がしっかりと伝わってきた作品だった。

亀梨和也さんが本人役でカメオ出演していたが、前作で主人公だった彼は事故物件タレントとして名前が売れて有名になったということなのだろう。

主人公・ヤヒロの名前は八尋神社から取られているのだろうか。ヤヒロの存在自体が厄除けになっていると思った。

ひどい点:意味不明な部分が多すぎ!

評価は5点中2.5点

4つの事故物件でどんな恐怖体験があったか?という構造なので、映画としてストーリーに大きなオチがない。そのためカタルシスもない。ドラマを4話見ている気分になった。

花鈴の父親が藤吉だったという弱いオチで締めくくられたのが残念。1本の映画として芯がなく、物語自体は面白くない。

加えて意味不明な点が多すぎる。特に藤吉が何をどうしたかったのかについては、こちら側が妄想レベルで色々考えないと納得できない。藤吉自身が花鈴に取り憑いて自分のアパートに呼んだのか、他の霊なのか不明。

ヤヒロを花鈴に引き合わせたいだけなら、わざわざ事故物件の仕事をしろと言わなくても良かった気がするが、これはヤヒロの霊的能力を引き出すためだったのだろうか。

脳内がツッコミ過多の状態でキツかった。鑑賞中は論理的思考を停止することがマナーとして求められる作品

ヤヒロが施錠されていたはずの事務所に入れたりしたのはナゼ?すり抜けたの?まさかヤヒロまで幽霊だったら笑うけど。

藤吉は幽霊のくせにCMの仕事を取ってきたりメールを送ったりはできるの?

細かい点をツッコミ出すとホントキリがない。色々考察しても深いメッセージが得られるとかも特に無し。

映画『事故物件ゾク 恐い間取り』感想まとめ:小学生から高校生向けにキャッチーに作られたホラー!ゾクっとする怖いシーンはあるものの、全体的にゆるめのテイストで完成度が高いホラー映画とは言えない。
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キャスト

桑田ヤヒロ|cast 渡辺翔太(Snow Man)

春原花鈴|cast 畑芽育

藤吉清|cast 吉田鋼太郎

山中|cast 滝藤賢一

籔越|cast 諏訪太朗

金原|cast じろう(シソンヌ)

神室|cast 山田真歩

大宮|cast 正名僕蔵

小山|cast 加藤諒

久米|cast 金田昇

謎の女性|cast 佐伯日菜子

この記事を書いた人

映画やドラマの考察歴5年。映画好き歴20年。映画鑑賞累計2000本前後。ドラマは数百本。Webライター歴8年。いくつかのメディアでの執筆歴あり。映画やドラマの本質を追求するような解説や考察が書けるように日々精進しています。パーソナルな感想に普遍的な何かが少しでも宿っていれば幸いです。

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